paul hodges講習会2日間に参加してきました。
今日はダフィーカイロです。
先日、Paul Hodges教授による「モーターコントロールを用いた腰痛の運動療法」というセミナーを2日間に渡り、座学・実技と受けてきました。今回はその時の講義内容のご報告です。
Paul Hodges教授とは?
paul hodges教授は、オーストラリアのクイーンズランド大学の腰痛研究をなさっている理学療法士であり、「腰痛患者の体幹深部筋における活動遅延」の研究報告などで世界的に有名な先生です。
paul hodgesの主な著書;
腰痛に対するモーターコントロールアプローチ―腰椎骨盤の安定性のための運動療法
講義1日目
1日目は座学で次のような内容でした。
①痛みについて
・侵害受容器からの情報は危険信号であり、痛み感覚は脳からの出力情報である。
・侵害受容器からの信号量と、痛みの程度は正比例しない。
・痛みは中枢神経系に変化をもたらす。
・痛みは動作パターンを変化させる。
・痛みの種類によりアプローチを変える。
②体幹機能の何をコントロールするか?
・表在筋と深部筋の筋機能とバランス。表在筋と深部筋の活動具合の適正化。
・何故、腹横筋の分離運動を獲得しなければいけないのか?
・モーターコントロールができていない部分の、認知から始める。
・各筋の評価と、超音波診断装置での確認とフィードバック法。
③呼吸機能、骨盤底筋の機能と腰痛との関連
・横隔膜、骨盤底筋、腹斜筋の関係。
・呼吸筋のコントロール不全が腰部に負担を強いる事がある。
・腹圧がかかる時の骨盤庭筋の働き。
・骨盤的筋群による尿圧、膀胱圧のコントロール。
今まで特にスポーツの現場などでは、体幹を鍛えるというと体幹部を固めることにより強度を増し、負荷に耐える。そして動きは股関節の分離運動で行う、みたいな方法論が傾向としてあったように思います。これはバイオメカニクス的側面から腰痛を研究しているStuart McGillをベースとした方法論ですね。
Stuart McGillの著書;こちらも腰痛治療の名作なので一読を。
腰 痛 ─エビデンスに基づく予防とリハビリテーション─【原著第3版】〔Web 動画つき〕
ですが最近の流れとしては、体幹部も適度な強度を保ちつつも、柔軟に動いていけるようにする、というような体幹部のコントロールの質的な変化を求められるようになってきていると思われます。その指標の一つとして腹横筋の分離運動ができるかどうかがあるようです。
今回の講義では、なぜ腹横筋の分離運動の獲得が必要かを理解する事ができたのが収穫の一つでした。
講義2日目
2日目は1日目の講義の内容の実技編です。
主に体幹筋の評価に時間が割かれました。筋の評価はかなり細かく行われました。
ふむふむ、やっぱり、こんぐらい細かくやらないとダメなんだよね~、など認識を新たにさせられました。
そこで実際使わせてもらって、コレ、絶対ほしい!!と思ったのが「超音波診断装置」です。
参加者の大半が理学療法士だったようで、半数くらいの方がすでに使用した事があったようですが、私は使うのが初めてでした。
これを使うことによってクライアント様に腹横筋の使う訓練の大きな補助となります。運動感覚だけにたよると、普段その筋を意識的に使うことができる人であれば、運動感覚を得ることは造作もない事です。しかし、今までその筋を意識的に使ったことがない人には運動感覚を得ることは困難を伴うことが多くあります。自分の筋が動かしているところをリアルタイムで画像から情報を得ることは、運動感覚を理解するために大きな助けになります。
画像診断装置なので、画像から骨折などの「診断」ができてしまいますが、『診断」行為は違法などで診断はしません。しかし、筋の状態の「観察」は行っても問題ありません。超音波画像診断装置は薬事法上ではクラスⅡで、電子血圧計や電子体温計と同じ扱いになっているので、使用しても問題ないと思うのです(まだ、詳しく調べてないので、正確なことは言えませんが)。
しかし、腹部のトレーニングだけにコレを買うとなるとコストが半端ない。う~ん、でもほしい。
どなたか、もう使わないから譲ってやるよ!って方いませんか(できればポータブルで)?
感想とまとめ
腰痛の原因には多岐にわたっており、今回の腰痛アプローチのターゲットは侵害受容性の腰痛(簡単に言うと動くと痛い腰痛) がメインだったので腰痛全てを網羅したものではなかったのですが、それでも我々ができる事や、すべき事はまだまだ多くあるな~という感想を持ちました。
またこの様な研究ベースの知識と、今まで自分が学んできた事や臨床から得た方法や技術が結びつくことにより、ブラッシュ・アップされたり、より自信をもってクライアント様に提供できるなるという意味で有益なものでした。
今後ともクライアント様にさらに貢献できるよう、研鑽を積んでいきたいと思います。では、今回はこの辺で。