バーベル・スクワットによる腰痛の改善策のアップデート2019年版

 

今日は、ダフィーカイロです。

以前、シリーズで掲載していた「バーベル・スクワットで腰痛を引き起こしてしまった場合の復帰法」のアップデート情報です。前回から時間も経ち、新しい情報も入ってきて、また当院で新たに行ってみてそこそこ結果も出てきている方法もあるので、新しく記事を作成しました。

当初、腰痛からバックスクワットへの復帰に関して記事を作ろうとした時は、このようなシリーズものになると想定していませんでした。記事数が貯まってきたのでスクワットという記事カテゴリーを新しく設けて、そちらにまとめました。ご参考までにどうぞ。

 

パーシャル・スクワット

NSCA月刊誌の今年の5月号でハイバーのバックスクワットで上体が過剰に前傾してしまう人のための修正法が掲載せれていました。

ポイントは足首の曲げの柔軟性改善と、しゃがんだ時に体が前かがみになるフォームの修正でした。スクワットフォームの修正で取り入れられていたのは、パーシャルから段階的にスクワットの深さを深くするやり方でした(記事ではベンチスクワットを採用していました)。

以前、当院のブログ記事

でパーシャルスクワットを腰痛からのスクワット復帰のための種目として取り上げてあります。

バーベルのスクワットで腰痛になるのは、フォームの狂いが原因として大きいと考えられます。フォームの修正としてパーシャルスクワットが用いられているということは、腰痛からスクワットへの復帰という面からも適応出来るということです。

スクワットで腰痛を起こす人は多くいますが、今まで腰痛からバーベルスクワットに如何に復帰するかというテーマでセミナーや講習会が開かれことがあまりなかったように記憶しています。ですので、私自身もやり方を人に教わったりしたことが無く、今まで習得した知識・技術と、自身の経験から方法論ができあがってきています。ですので、このような専門誌に同じような内容が載ってると、今まで自分が指導していたことが間違って無かった再確認できて、自信につながりますね。

 

スターティング・ストレングス

やったー、ついに出た。日本語版の「Starting Strength」。待ってました。

筋力トレーニングの世界的バイブルと言われていましたが、洋書しかなかったので読んでませんでした。私の語学力じゃ読み終わるのなんて、何時になるか分かったものではありません。

バーベルを担ぐポジションでは、世間一般ではハイバーが推奨されています。しかし、スターティング・ストレングスではローバーを推奨しています。

一方、NSCAではハイバーポジションを推奨しています。思惑として、最終的にジャークや、スナッチに移行させたいからです。ローバーだと上体の前屈みがハイバーより強めになるので、オーバーヘッドの腕のポジションが無理になってしまいます。

ですが、胸椎の伸展の柔軟性を出すというのは、もともと硬い人にとっては実はかなり大変なことなのです。胸椎の伸展の柔軟性がつくのを待ってからスクワットの練習をしようとすると、いつまで経ってもスクワットの練習に入れなくなるということが実際起こります。

ただ、スターティング・ストレングスでも骨盤の前傾を保つために腰部を伸展させることに言及しています。しかし、これは腰痛持ちにかなりキツイ。

経験上、腰痛からのスクワットの復帰の初期としては、ローバーやハイバーなどこだわらず、自分が担いでみて無理がく、なおかつ鍛えたいところに負荷がかかっていると感じられるポジションであれば何処でも良いのではないでしょうか。無理に型にはめることにより痛みがでてくるのなら、体に無理をかけないためにフォーム改善しよとという目的から外れ、本末転倒といえます。

胸椎伸展可動域が硬ければ、その間に柔軟性を向上させる運動を併せて練習していって、最終的にハイバーも担げるようにしていけば良いでしょう。腰椎の伸展に関しても同じことが言えます。

 

復帰のための種目

今までの記事では下半身周りの種目のご紹介をしてきました。

最近では、よく採用する種目は

初期;レッグプレス・マシーン、レッグ・エクステンション&レッグ・カール・マシーン、コブレット・スクワット

中期;ルーマニアン・デッドリフト、パーシャル・バック・スクワット、

 

併せて体幹部のトレーニングも必要です。

流れとしては、体幹前面、後面、側面を分けて、それぞれに

第一段階;等尺性収縮(アイソメトリック)

第二段階;求心性収縮(コンセントリック)&遠心性収縮(エキセントリック)

段三段階;パワー系

の順でトレーニングをプログラムします。一例として体幹部前面では、①プローンクランチ→②カールアップ→③メディスンボール・スローといった具合です。

 

エキセントリック運動

腱の炎症の改善トレーニングとして遠心性収縮運動が注目されています。トレーニング業界では、ネガティブワークといわれているものですね。ただ、このエキセントリック運動がなぜ腱炎に効くのかメカニズムはあまり分かっていません。一説には、痛みの閾値が上がる(痛みに対して鈍感になる/強くなる)ためと言われています。

エキセントリック運動の治癒効果は主に、膝蓋腱炎やアキレス腱炎での研究が有名です。今では、それ以外にも肘や肩の障害にも応用されています。

エキセントリック運動とは、筋肉の長さが縮む方向で収縮させながら力を発揮するコンセントリック運動(求心性運動)に対して、筋肉の長さが伸ばされながら筋力を発揮する運動のことです。例えば、コンセントリック運動が荷物を床から持ち上げる運動だとしたら、エキセントリック運動は持ち上げた荷物をゆっくり床に置く運動です。

本来、運動は曲げたら伸ばすというのが一セットになっています。先の例ですと、荷物を持ち上げるコンセントリック運動と、荷物をゆっくり戻すエキセントリック運動がセットです。

従来ですと、この腱炎に対するエキセントリック運動のやり方としては、エキセントリック運動だけを行い、コンセントリック運動はパスさせます。例えば、アキレス腱炎の場合、つま先立ちのカーフレイズの姿勢から、ゆっくり足首を曲げて踵を下ろしていく運動がこれにあたります。そして、そこからつま先立ちの運動は行わず、もう片方の脚で体を持ち上げてつま先立ちのスタート姿勢まで戻します。

自重トレーニングですと、このようなトレーニング法は簡単にできますが、これをウェイトを持ったスクワットで行おうとするとかなり困難になります。スクワットで沈み込む局面のところがエキセントリックなトレーニングになりますが、そこから立ち上がるコンセントリックの局面をスルーさせるというのが難しく、バーベルの両脇から人に持ち上げてもらってスルーさせるしか方法がありません。そしてそれは現実的ではありません。

ヘビー・スロー・トレーニング

近年、腱炎に対するエキセントリック・トレーニングの代替トレーニング法として、高重量低速トレーニング(ヘビー・スロー・トレーンイング/HST)という方法が提唱されています。従来、腱炎に対してはエキセントリック・トレーニングが効果的であると言うことが証明されています。ところが、このHSTはそれと同等~それ以上の有効性があるということが分かってきました。

従来の腱炎に対するエキセントリック・トレーニングの方法では、多回数、高頻度(毎日、1日に2回など)で行わなければいけなかったので、いざ実施しても継続するのが難しく、そこがネックでした。しかし、このHSTは2日に1回の実施頻度で、内容もほぼ従来のウェイト・トレーニングと変わらない感じです。

有名なのは、四頭筋腱(膝のお皿の下についている腱)の炎症に対しての種目ですが、そこで実施されるのは①バーベルでのバックスクワット、②マシーンでのハックスクワット、③レッグ・エクステンション、といった一般的なものであり、設定重量と挙上回数もマックスの70%の重量で15~12回、80%で10~8回、90%で5回といった通常トレーニングで行われているものと変わりありません。

通常と違うのは、挙上スピードです。ウェイトの挙上時に3~4秒かけて挙げて、下降も同様に3~4秒かけて行います。下降時にゆっくり降ろすというのは、まさにエキセントリック・トレーニングそのものですが、それを挙上時も行います。

言うなれば、ウェイトを持ったスロトレです。1RM70%を15回で、1レップ6~8秒かけて行い、コレを1種目4セット行います。従って1セット行うのに意外に時間がかかり、最初慣れるまでは結構キツいかもしれません。

このウェイトを持ってのスロトレって実は昔からあり、ボディービルダーでトレーニングとして取り入れている人がいました。ゆっくりやると、筋に効いている感じがハッキリ分かりやすく、効き目が違うというのがその理由です。逆にスポーツ競技者がウェイトやる場合は、このようなゆっくりした動きは実際の競技中での筋肉の活動スピードと違いすぎるので、役に立たないと否定している人もいました。しかし、ここではリハビリとしてのトレーニング種目としてっているので、目的を明確に意識し、ゆっくり効かすことを心がけるのが大事です。

 

バーベルのスクワットで引き起こされた腰痛に対するHSTの応用

先にも述べたように、腱炎に対するエキセントリック・トレーニングが効くメカニズムというのはよく分かっていません。とりあえず、腱炎がある人に実施すると症状が良くなるという結果が分かっているくらいです。

一般的に腰痛の原因として腰部多裂筋の筋炎はよく見受けられますが、それが筋腹で起こっているのか、骨に付着している腱で起こっているのか、一つの筋自体は小さいため、実は区別は困難です。椎間関節自体も小さく、それを取り巻いている靱帯も小さく、そのどれもが痛みの発生源としてなり得ます。

これらをトレーニングで改善しようとしても個別に分けてトレーニングすることは出来ないのです。エキセントリックトレーニングでは改善するためのメカニズムはよく分かっていませんが、結果として組織の痛みに対する耐性が強化されるために効果があると考えられています。従って、これらの小さな組織をまとめて鍛えて耐性をつけさせる結果、腰痛を改善できれば良しとして、当院ではこれらのトレーニング法を腰痛からのバーベルスクワットへの復帰を行う際のプロトコルとして採用しています。

さらに言うなれば、腰痛は単発的な原因箇所から引き起こされるというより、複合的な組織の損傷と考えらるケースが多々あります。それらに関する組織のいずれかに耐性の向上が望めれば、それは腰痛改善に繋がるだろうと考えられるからです。

 

まとめ

今回は、以前バックスクワットで発生した腰痛からの復帰というシリーズものの記事をアップした時から時間が経過したので、その後のフォローアップとしての情報を載せてみました。

今回ご紹介したHSTのプロコトルも今後、いろいろバリエーションが出ると思います。今回分のが唯一正しいやり方という訳ではないので、ご興味のある方は色々調べて見るとよろしいかと思います。

では今回はこの辺で。

 

 

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