妊娠中から続く常に揺れているようなめまい感の訴えで来院
今日は、神奈川県大和市の整体のダフィーカイロプラクティック南林間整体院の坂木です。
今回の症例は「常に船に乗って揺れているようなフワ~としためまい感」を訴えられて来院された女性のクライアント様の報告です。
経緯
8ヶ月前に突然、グルグルめまい(回転性めまい)が始まり、立てなくなり、救急車で運ばれたそうです。当時は、妊娠5ヶ月目だったので、行きつけの産婦人科へ運ばれたところ、脱水のための処置を受けたところグルグルめまいは治まったそうです。
しかし、その後の2ヶ月間くらい極度の揺れるようなめまいは続き、脳神経外科や耳鼻科などを受診したが、妊娠中ということもあり、特に薬も服用せずそのままの状態ですごしたそうです。
産後もめまい感が消えないので、めまい外来へ行き、精密検査を受けたところ、眼振は起っておらず、メニエール病などは否定されています。唯一、異常がでたのが、心拍の調整障害でした。薬を処方されたそうですが、授乳中という事で服用は見合わせる事にしたそうです。
そこで手詰まりとなり、当院を探してこられたという訳です。
初回時
まずは、例のごとくめまい全般のテストを行います。
内耳のテストは全て問題なし。頭位変換や首の可動域も問題なし。小脳系機能テストも問題なし。眼球関連では、光を当てたときに瞳孔が絞まる反応が、若干鈍いかな?という程度。一番、反応出たのは、病院でも指摘された、起立試験(寝た状態から起き上がった時に起る心拍・血圧の変化を見るテスト)で、循環器系の調節が上手くできていない様子でした。
初回は、一番可能性のある自律神経系の調整を中心に、施術を進める方針を立て、矯正していきました。特に迷走神経をターゲットにしてみました。
2回目
前回後も特にめまい感は変化がないようでした。よくよく話を聞くと、特に台所仕事など、立ちながら下を向いて作業を続けているような状態だと、症状が出てくるということです。これは下を向いた作業時の首への負担による影響の可能性があります。
頚椎性の自律神経失調は、車での鞭打ち損傷などで見られる症状で、首周辺の筋の緊張による、交感神経幹や神経節(神経細胞の塊)、迷走神経などが圧迫され乱れてしまう事により引き起こされます。
これと同様のことが、緊張性頭痛や労作性(疲労性)により頸部筋の緊張を生み、症状を引き起こします。
そこで今回は、より後頭部周辺の緊張を緩める手技を多く取り入れ、そこから自律神経系に悪影響を及ぼす要素を排除するように努めます。前回同様、施術をすると起立試験の数値は正常値になります。したがって、体に対してはプラスになる影響が出るはずなので、今回はこれで様子を見ていただきます。
3回目
前回矯正後の2日後に後頭部に鈍重感が出たが、その翌日には消失。それに伴って、今まで常にあったフワフワ・フラ~ッとした感じが急に消失したとのこと。後頭部に出た鈍重感は好転反応だったのか?
下を向いての作業を続けていても、クラッとくる頻度も大分減ったという事でした。大分、回復傾向にあるものの、目の奥や、眉間の奥のほうが重い熱っぽい感じがする、とのことなので、ひょっとしたら副鼻腔炎かなと推測。クラニアル(頭蓋骨調整)の一環として、副鼻腔の調整をしたところ、すっきりしたとのことなので、耳鼻科で処置してもらう事を進めました。
これまた、お話をお伺いしたところ、どうやら慢性の副鼻腔炎持ちらしい。そのような基礎疾患をお持ちでいると、それが頭痛の原因になる事が往々にしてあります。そのことが頭部や頸部の筋緊張を増幅し、めまいの増悪や回復の妨げになるという悪循環を形成するのです。副鼻腔炎の場合、手技でどうにかしようとするより、耳鼻科で処置してもらった方が手っ取り早いし、確実です。
4回目
前回との間で、風邪を引いたという事で、実際、耳鼻科へ行っていただいたそうで、そこで処置してもらったところ、副鼻腔も改善し、推測通りフワフワめまい感はなくなったそうです。
今までは立って作業しているとフワフワとして倒れそうになる、というのが訴えだったのですが、今度は座ってじっとしていると(テレビを見ているときなど)体が傾いてくるのが気になるとの訴えになりました。
今度は今までのめまいの訴えとは明らかに性状が違っています。どうもめまいではなさそうなので、ひょっとしてと思い筋力検査をしてもらうと、体幹を支える筋力が弱くなっているようです。その事をご本人に告げると、かなりガックリしているようでした。試しにホームエクササイズとして、体幹筋で弱っているところを刺激するエクササイズを宿題としてやってきて頂くことにしました。
この場合、実際筋力アップするところまでやらなくても充分です。上手く使えていない部分に刺激を入れさえすれば、そこの神経が活性化し、使えて異なかった筋肉を使うようになるので、それだけで良いのです。
5回目
宿題としてのエクササイズをやってきてもらった結果、体が傾く感じがなくなったとの事でした。どうも、産後を通して体幹筋が自分でも知らぬ間に弱くなっていたのでしょう。はっきり言って、産後はご自分が思っている以上に体力が弱くなっている人が多く、当院で実際に筋力検査をしてもらうと、かなりショックを受ける方が多くいらっしゃいます。
この会で治すところがなくなったので、略治となります。
考察
今までの経過を総合すると、自律神経系の不調による血圧調節の不良と、頭頸部の筋緊張による症状の増悪、および副鼻腔炎の影響、そして体幹筋の弱化という複合的要素が重なり、8ヶ月に及ぶ浮動性めまいを引き起こしていたと思われます。
人間の体は単一の原因で体調を狂わせられるより、いくつもの要因が重なって体調を崩していく場合の方が一般的です。特に慢性疾患の場合はその傾向にあります。
それらを一つずつ探しながら、絡まった糸をほぐす様にしてやることが、遠回りに見えても、結局改善に繋がります。それには、いかに探し出す行為に時間をかけたかによります。
まとめ
施術家という仕事は、正解がありません。今回のケースも上手くはいきましたが、それが果たして最適な内容だったか、もっと効率的な方法があったのでは…など考えてしまいます。
正解への道筋を探しながら、クライアント様の信頼を得(というより失わないようにしながら)、目指すゴールに辿り着かなければいけません。それが上手くいった時には、クライアント様の喜びは、私たち施術者自身の喜びとなりますが、上手くいかない時には、プレッシャーが強く圧し掛かってきます。
まだまだ、求道者です。私は今でも「先生」と呼ばれることに抵抗を感じます。そんな大層な身分じゃありません。「坂木さん」くらいで充分です。(さすがに呼び捨てではムッとしますが…)
クライアント様自身の長い人生の中で、私の施術で少しでも何かの助けになるのなら、当院の存在価値があったと思えます。
こらからの日々も元気で健康的に過ごされることをお祈りしています。
何か分からない事があれば、神奈川県大和市の整体【ダフィーカイロプラクティック南林間】まで、何なりとお尋ねください。
今回のご報告はこんなところで。
では。
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