妊娠中・産後の骨盤・腹直筋離開にについて概論

【今回の記事は以前、他のブログ掲載していたものを転載したものです(2015年11月初出)。骨盤伝説シリーズの第4回目。

 

今日は、神奈川県大和市の整体【ダフィーカイロプラクティック南林間】の坂木です。今回は、骨盤の歪みに対する間違った認識(都市伝説)を変えていこうという企画の第四弾になります。テーマは、実際に骨盤が短期間で変化を起してしまう妊娠~出産期にフォーカスして、「骨盤の状態」や「リラキシン」についてや「腹直筋離開」について検証していきたいと思います。

 

1、リラキシンについて

1-1.リラキシンとは

妊娠中に骨盤を歪ませる犯人として、じん帯を緩ませる働きがある「リラキシン」というホルモンが話題に上ります。妊娠中は、日に日にお腹が大きくなり、また分娩時には産道を開かなければいけないので、その目的に合わせ、じん帯を緩ませて骨盤の形態を変えていく必要があります。そのため、リラキシンというペプチド・ホルモンがエストロゲンと協力して、結合組織(じん帯、腱など)のリモデリング(再構築)を行っていると考えられています。

リラキシンは卵巣(妊娠黄体)と胎盤から妊娠期間中ずっと分泌されています。人間だけでなく、動物全般的に妊娠期に出るホルモンで、働きとしてはじん帯を緩める他、子宮頸部を柔らかくし、子宮筋の収縮を抑え、流産を防ぐと考えられています。特に妊娠4ヶ月~7ヶ月にかけて関節の可動性が増してくるそうです。

 

1-2、骨盤関節の可動域の拡大はどのくらい?

恥骨結合においては、妊娠期間中5mm程度開くそうですが、それが痛みと関係するかは不明です。しかし、仙腸関節の左右の可動性の増大の差と、骨盤痛とは関連があるとの事です(骨盤帯/Lee著)。ただし、ここでも仙腸関節の可動域がどの程度拡大するかは明らかにされていません。

 

2、妊娠中の骨盤の変化について

2-1、リラキシンと骨盤の形状との関係

妊娠中はお腹が大きくなり、骨盤の位置や形状が変わってきているように見受けられますが、実際どの程度リラキシンが関与しているかは、実はまだ議論されている最中です。人間におけるリラキシンの作用は、まだ不明な点が多いからです。妊娠中はお腹の中の重量が増えるので、その圧力でも関節が伸ばされていく要素もあります。

また、骨盤全体の位置も前下方向にせり出してきますが、骨盤は股関節を中心に移動してきます。体全体で言うと前側に引っ張られるので、上体はバランスをとるために後ろへ戻ろうとします。

 

2-2、産後の骨盤の出っ張りについて

一般的に産後、骨盤が広がったと思われる要素の一つに、骨盤の横が出っ張ってきたというのをよく聞かれます。痛み無く立ったり歩いたりできる状態でしたら、骨盤をつなぎ合わせている関節やじん帯関係は、体の重みを支えられる程には回復しているので、その場合多くは股関節の出っ張り(大転子という)が目立っているためだと考えられます。

妊娠中は下腹部も圧迫されてくるので、足がO脚気味になってきます。そのため股関節が外旋(外に開く)状態に固定されやすいので。そうすると大転子が出っ張っているようにみえます。

 

3、腹直筋離開について

3-1、腹直筋離開とは?

腹直筋の離開とは、具体的に言うと、おへそからミゾオチにかけて縦に走っている溝の部分で、白線という結合組織が伸びてしまっている状態の事です。白線は左右の付近を繋ぎ合わせる役目があります。お腹の中はコロセットのように、筋肉や膜が引っ張って締め付ける事によって圧力を増し、体幹を安定する働きがあります。この白線は体の前面で左右をつなげ合わせているので、ここが伸びて弱まると、体幹の固定力も弱くなります。

腹直筋離開は、研究統計によりますと、妊娠第二期で27%、第三期で66%の妊婦さんに認められ、その内の36%は産後2ヶ月くらいまで残っているそうです。それ以降、腹直筋離開は何もしないでいると1年後も変化が見られず、骨盤底筋の機能低下と関連があるので、尿漏れなどを引き起こす可能性があります。また、前述のように体幹筋(いわゆるコアマッスル)の機能不全を引き起こし、腰骨の安定性を損なわせるので、腰痛などの発生にも関わっています。そのため、腹直筋離開がある場合は、改善するためのプログラムを行うことが必要になります。

 

3-2、腹直筋の幅の具体的数値

腹直筋の離開幅は、骨盤帯(著Lee)によるとノーマルの状態で、ヘソとミゾオチの間が1cm程度、ヘソの上が2.7cm、ヘソと恥骨の中間が1㎝未満となっていますが、これは外人における計測なので、日本人の場合もっと幅は小さいと考えています。この幅より離れていると腹直筋離開となります。

ただし、腹直筋離開が無ければ体幹筋群・骨盤底筋群は大丈夫かというと、そういうわけでもなく、特にそのような問題がなくても筋力的に弱い人もいるので、そのような方も改善プログラムは必要です。

 

4、まとめ

今回は、女性の骨盤に大きな変化をもたらす妊娠期から産後にかけてのトピックスをまとめてみました。ダフィーカイロプラクティックのメイン・サイトにおいても「腹直筋離開の症例報告」を載せています。また、関連内容として「骨盤底筋群の解説」も載せています。そちらも合わせて参考にしてみて下さい。

 

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