今日は、ダフィーカイロです。今日は平成最後の日になりましたが、皆さんどうお過ごしでしょうか?

さて、前回の症例報告では、めまい改善訓練中の強い吐き気のレポートを行いました。

今回は前回の内容を受け、めまいと吐き気の関係を考えていきたいと思います。

 

 

めまいと吐き気は取り敢えず分けて考えてみる

お酒に酔っ払うとフワフワと船に乗っているような感じになります。あれはちょうど浮動性めまいに類似しています。回転性めまいと浮動性めまいは感覚はちょっと違いますが、どちらも平衡感覚器が異常をきたしている状態です。

お酒に酔ってフワフワしている時も人によっては吐き気を催したり、実際吐いている人もいます。しかしあれはフワフワしたことに対して吐き気をもよしている訳ではなく、摂取したアルコールが処理許容量を越え、体が排出しようとするためです。アルコール(アセドアルデヒド)を処理できる人はフワフワ・フラフラしながらも楽しい~とやっている訳です。

実はめまいを訴える方の苦痛の元は、この吐き気による苦痛のほうが強いと思われます。めまいがしてても吐き気がなければ苦痛はだいぶ減るでしょう。

そこで常々不思議に思っていたのは、このめまいが起こると嘔吐を起こさせるシステムというのは、体にとって何の利益があるのだろうか?ということです。何らかの体にとって役に立つ・良いことがあるから、その様なメカニズムが存在するはずである。でなければ唯の苦しみ損であるといえるでしょう。

で、調べてみると、存在理由はわかりませ。どこにも載ってない。

 

前庭神経からの情報の伝達の復習

前回の症例の場合で見てみると、回転性めまいが起こるということは、前庭器(三半規管・耳石器)から前庭神経核までのいづれかで異常が起きているということになります。前庭神経核からの情報は主に次の5つに伝わります。

①前庭動眼反射

前庭神経核から眼球を動かしている動眼神経へ接続し、眼球の動きをコントロールする働きがあります。視線がブレないように頭の位置に合わせて眼球を両目協調させながら調節する。カメラの手ブレ防止装置のようなもの。

②前庭脊髄反射

前庭器の主に同側の耳石器から出た信号が前庭神経核に伝わり、そこから背骨内の脊髄を通って上肢・下肢・胴体部分の伸筋(関節を伸ばす筋)を働かせる運動神経に接続。これらの筋はは重力に対して体を支える筋なので、姿勢維持につながります。

③前庭頚反射

前庭器の主に両側の半規管から出た信号が前庭神経核に伝わり、そこから背骨内の脊髄を通って首の筋を働かせる神経に接続します。頭部の位置の調整に役立つ。

④小脳

前庭神経核から小脳への接続は重要。小脳は運動調節を行っているので、バランス情報を元に体の筋肉に働きかけ、体のバランスを保つように機能する。

⑤前庭-自律神経反射

前庭系が過剰に興奮すると、延髄外側網様体にある嘔吐中枢に接続があり、そこが刺激され悪寒、吐き気、顔面蒼白、冷や汗、動悸、唾液分泌などの自律神経の反応が現れます。

 

嘔吐とは?

そもそも嘔吐の役割は、体の防衛反応です。胃腸の内容物を強制的に体の外へ排出させるために起こります。消化管(咽頭、食道、胃腸)が刺激されると起こります。これは喉にモノが突っかかると詰まらないように吐き出させようとするためです。また、腐ったものや毒物など体に有害なものを食べてしまった時にも内臓の神経を刺激し嘔吐中枢に伝わり、内容物を排出するよう反応が出ます。

防御反応としてこれらの事は理にかなっています。しかし、目が回ることと胃の内容物を吐き出させることの何の関係があるのでしょうか?

嘔吐のシステムは、まず嘔吐中枢が興奮すると、自律神経を介して内臓に命令が伝わり、上部の食道が緩み、逆に横隔膜は強く収縮します。腹筋も収縮します。腹腔内圧が高まり、同時に胃が逆蠕動することで胃の内容物を押し出します。

 

めまいによる嘔吐中枢の刺激

前庭神経から嘔吐中枢への伝達は、ムスカリン受容体を介したアセチルコリンという神経伝達物質で働く神経や、ヒスタミンで働く神経を使い行われます。また同時に化学受容器引き金帯(CTZ)にも同様に神経連絡があります。CTZにも嘔吐中枢に働きかけ、嘔吐を促す作用があります。

CTZは脳室(脳中心近くに開いている空間。脳脊髄液で満たされている。)が延髄のところで脊髄の中心に開いている管に移行する部分で血管脳関門がありません。ウィルスや毒性のあるものなどが血管を通って脳に取り込まれないように大部分の脳の血管には、通過させる物質を選択する血管脳関門というシステムがあります。CTZには血管や脳脊髄液を通ってきた薬物(毒物)や代謝異常物などに素早く反応するために関門というシステムがないのです。ここで体内に入ってきた有害物を排出するために嘔吐という反応が引き起こされるようです。

めまいの吐き気を止める薬は、抗ヒスタミン薬になります。先ほど説明した前庭神経から嘔吐中枢に連絡しているヒスタミン作動性神経の働きを弱めます。

 

体の防衛反応とは思えないめまいに伴う吐き気とは?

めまいによる吐き気は自律神経によって引き起こされる反応ですが、他の自律神経の反射のような必然性が感じられません。もし尿意や発汗のように体に絶対不可欠な自律神経反応であれば、なくなる事はありません。

例えば、戦闘機の操縦士、宇宙飛行士の訓練では、目を回さなくなるようにグルグル回る訓練を行い、前庭-小脳系を鍛えます。またフィギア・スケーターがグルグルといっぱいスピンをしても目を回さないのは訓練されているからです。つまり前庭器が過剰に刺激されていても体にはそれを対処しようとする機能が備わっています。

このように上記の様な人々は前庭器が過剰刺激されても嘔吐反射につながりません。小脳が修正してくれるからです。そう考えると、前庭神経から嘔吐中枢への連絡っていらないんじゃないの?って思えてきます。

 

慢性のめまい感の訴える人は

慢性めまいの人に運動療法が効果的な理由は、先ほどお話したように訓練すると小脳の調節が修正されてめまいが出づらくなるためです。逆に安静を続けると機能が衰え、ますますめまいが治りづらくなってしまいます。

命に関わらない急性のめまいの場合、吐き気はトラベルミンなどの服用や、プリンベランなどの点滴をしてもらう方が手っ取り早いでしょう。嘔吐してしまう場合は、脱水に対する処置も同時におこないます。

慢性期に入り、ある程度吐き気が治まってきたら眼球運動の訓練や、バランストレーニング、前庭器官を刺激するような訓練を行いめまいの軽減に努めた方が吐き気の消失に繋がりやすいと考えられます。

嘔吐中枢も自律神経の一部なので、自律神経が不安定な人は反応が出やすいと言えます。思い当たる人は日ごろから前庭系機能を鍛える(その場でターンするなど)ことを実施しておくと良いでしょう。

 

まとめ

結局のところ、めまいと嘔吐の自律神経反射の繋がりの理由は分かりませんでした。

その内、有益な情報が見つかったら再びご報告します。

今回はこの辺で失礼します。