前十字靭帯損傷の症例のご紹介

 

今日は、ダフィーカイロプラクティックです。

今回の症例報告は、膝の前十字じん帯損傷の症例です。このクライアント様は、靭帯の縫合手術の選択もありましたが、保存療法を選択し、つい最近、予てからチャレンジしていたスキーの準指導員の試験に合格しました。

当院でも、この方の目標達成のお力添えをできたことを光栄に思います。

 

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1、前十字じん帯損傷とは?

前十字じん帯の損傷は、膝のスポーツ障害でとても話題にあがる事柄です。ラグビーやサッカーなどのコリジョン(衝突)スポーツや、格闘技などで顕著ですが、ジャンプからの着地などで引き起こすことからバスケなどの球技、膝に強い負担がかかるスキーなどでもよく起こります。

一般的にみられる原因として、足部が固定された状態で膝の回旋力が強くかかると、前十字じん帯に損傷をきたします。スキーの場合では、膝上は内旋、膝下が外旋に捻られるような状態になり損傷することがよく見られます。

十字じん帯は、後と前の2本がクロスするように膝の関節内(関節包の内部ではない)で、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(ふくらはぎの骨)を繋いでいます。前十字じん帯は、膝下の骨(脛骨)が前方にズレるのを防ぐ働きがあります。前十字じん帯が損傷する場合、断裂してしまう事が多いので、ここの損傷は膝下が前方にズレて支えられなくなり、歩行中などに膝折れを起こしやすくなります。日常生活を送るだけでしたら、その状態のままでも大丈夫なことが多々ありますが、スポーツを継続される場合は、手術を勧められることが一般的です。

さらに困った事に、前十字じん帯の損傷は、内側半月板の損傷を伴うことが50%くらいの確率であり、それに伴って内側の側副じん帯も損傷することがあります。この状況を「不幸の3徴候」といいます。

何て、オドロオドロシイ呼び名でしょうか!ですが実際、復帰にかなり時間と労力を必要とさせられてしまう状態なのです。

そして例に漏れず、今回のクライアント様も、まさにこの不幸の3徴候を呈していました。

 

2、怪我をした状況と、病院でのリハビリ

今回の症例の方は50代の女性で、スキーの講習中でのポール滑走の際に損傷しました。春先の雪でコースが掘れていたため、脚をとられた状態になり、急激な方向転換を強いられた際、強い力が膝にかかったようです。

この方は、受傷後、スポーツ整形で有名な病院にかかられており、そこでリハビリもおこなっていました。そのため初期の頃は、リハビリの内容を伺いながら、リハビリの妨げにならないよう、また、リハビリ効果の促進ができるよう施術内容を選びながら、当院でも対応させていただきました。病院では、膝蓋骨周辺の可動性、周辺組織の拘縮のリリースと運動療法がメインだったようで、当院では補助的に上半身の可動性と、姿勢制御の改善を主に行いました。

幸いこの方は、もともと膝の構造組織が強い(もしくは硬い)こともあり、脛骨を前方に引き出す様なテストをしても、前十字じん帯損傷で見られるような不安定感がほとんど見られません。「アレ、これ本当に前十字、損傷してるんですよね?」と思わず、訊いてしまった程です。

確かにMRI上では、前十字じん帯の断裂と、半月板の損傷が確認されているとのことでした。この不安定感の無さは血腫が引いた後も同じで、医師からは組織が硬いのでじん帯縫合の手術をすると逆に硬くなりすぎる可能性があるので、とりあえず手術はしないで様子を見るというお話であったそうです。

 

 

 

3,怪我の回復期において重要なこと

ある程度、関節腫脹がとれてくると、関節の可動性の拡大を目指します。

忙しい病院だと、ある程度回復すると、後は自宅での自主的なリハビリが中心となります。病院では、周りが訓練する環境にあるので、おのずと取りかかれますが、自宅だと強制力がないため、リハビリをしなくなってしまうことが多々あります。

怪我の程度にはステージがあり、急性期/重症例はステージ1となります。ステージ2が回復期となり、日常生活が過ごせるというレベルがステージ3で。大体、ここまでが病院などの医療機関が対応する範囲です。それ以上の運動強度をこなすレベルがステージ4,トップアスリートや、自分の限界を超えようとするステージが5となります。

実は、運動再開を目指している人にはステージ3が大事な部分であり、ここの部分を疎かにしていると、日常生活では支障はないが運動をするたびに痛みが出たり、常に痛みに耐えながらの運動を続けなければいけなかったり、最終的には選手生命を短くしてしまうことにつながります。

 

4、膝の関節の動きと当院の行ったこと

 

関節面には理想的な関節運動上の軌道があり、怪我をしてしまうと、組織が回復してもその運動軌道にズレが生じたままになってしまうことがあります。膝関節の場合、曲げと伸ばしの他に、捻りと前後の滑りの動きがあり、それが上下にある関節(股関節や、足の関節)の動きにより、カップリング・パターンといわれる一定の複合的な動きのパターンを見せます。怪我でこれらの動きがスムーズにいかないと、症状を出す原因になることがあります。

当院では、ステージ3以降はこのカップリング/モーションの回復、とりわけ運動負荷がかかった時に生じる、カップリング・モーションの回復を中心的に取り組みました。

現状、怪我をしてから3シーズンが経過し、まだ階段の登り時に膝の痛みを訴えたりしますが、屈伸運動や、スキーでのコブ斜面も痛みなくできるようです。医師からは「使えば使う程、悪くなるから」というようなことを言われていたそうですが、現実には年々、改善されていくので疑問に思われているようです。

 

5、まとめ

改めて思うことは、『継続は力なり』。

夢が実現するかどうかは、現実問題として分かりませんが、やるべき事をやって、準備しておくということが大事だと思います。行動に移さなければ、何もしていなかったことと同じこと。

今回のクライアント様も、地道に活動していた成果だと思います。当院が微力ながら、その手助けができたのなら幸いです。

では、今回はこの辺で。

 

 

 

 

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