脊柱側弯と体幹深部筋との関わりについて

今日は、ダフィーカイロです。

当院では腹直筋離開のためのフィードバックトレーニングとして、エコーを使用してのご指導をさせていただいています。

その中で深部体幹筋の形状に一定の傾向が見られるのに気づき、それは側弯症の改善にもつながる部分があると思われるので、今回その点をレポートしていくことにしました。

 

 

側弯症の歪み方の分類と割合

側弯症は、背骨が側方へカーブを作る病気です。カーブの出方で分類分けがなされます。カーブが出現するポイントは胸椎部と腰椎部がメインででます。胸椎部とは、肋骨がついている背骨の部分で、胸椎・肋骨・胸骨で形作る構造を胸郭といいます。腰椎部は胸郭と骨盤の間の肋骨がない背骨の部分です。胸椎部・腰椎部の歪みに付随して、上部胸部や骨盤部に側方の歪みが出る場合もあります。

よく見かけるパターン(後ろから見た図)

 

①胸椎右凸カーブ、腰椎左凸カーブ

側弯全体の8割はこれに当てはまるといわれています。

②上部胸椎左凸カーブ、下部胸椎右凸カーブ

③腰椎単独凸カーブ

腰の側弯は左凸カーブが多く見られます。

④胸椎単独凸カーブ

右凸カーブが多く見られます。

⑤胸腰椎部凸カーブ

胸椎と腰椎の境目での凸カーブです。

 

 

一般的な体の歪み方

側弯症は一般にコブ角が15°以上になると診断がつきます。コブ角とは、レントゲン上でカーブの上端と下端に位置する骨の上縁&下縁から線を引きその交わる角度を求めたものです。

しかし側弯とは程度の問題であり、病名がつかない程度の背骨の歪みは大抵の人は持っています。まったく左右対称という人の方が少ないでしょう。

一説によると内臓自体が左右の配列が違うので、その影響といわれています。また、利き手、利き足の違いによるものという説もあります。さらに、運動を司っている脳自体も右脳・左脳で働きが違うので、左右の優位差が出てきてしまうとも考えられます。

姿勢分析を多く行っていると、世間一般的な体の歪み方の傾向というものがわかってきます。

それが、先ほど側弯の分類でご紹介した

①胸椎右凸カーブ、腰椎左凸カーブ

の歪み方です。少なくとも右利きにはこの歪み方が一番多いとされています。

つまり、側弯症の歪み方で一番多い形状も、一般的な体の歪み方で一番多い形状も同じであり、その程度問題と捉えることができます。

 

 

胸椎右凸カーブ、腰椎左凸カーブの場合の体幹筋の状態

胸椎右凸カーブ、腰椎左凸カーブでは、具体的にどのような歪みが筋肉・骨格に引き起こされているかというと、

①右肩が下がる

②右胸郭後部が後ろに引かれる。

③左の下部肋骨(胸郭下部)の前面が、右に比べ前方に突出する。

④腰の筋肉の左側が盛り上がる。

一般的には上記のように説明されています。

 

 

そして今回のテーマ、体幹筋にフォーカスしてみます。ここでいう体幹筋とは深部筋とされる外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋のことで、すべて腹筋群に属します。

左の肋骨下部の前面が前方へ出ているということは、左の骨盤から左の肋骨下部までの距離が広がっていることを意味します。

さらに右の胸郭の後ろ側が後方へ引かれているということは、比較すると左の胸郭の後ろ側は前方へ移動しているとみなせます。つまり、胸郭全体では右に回旋していると考えられます。そのため左の腹部筋はより伸ばされていると想定できます。

逆に右側の腹部筋は左に比べて縮こまっていると考えられます。これらを図にすると下記のようになります。青矢印が筋の長さの状態を表しています。

 

一方、側弯症の理学療法で有名なシュロス法では上記の考え方とは違い、左上腹部の腹筋は縮こまっていて、そのため左の肋骨下部が前方に引っ張られて前に出ていると考えています。逆に右の上腹部の筋は伸びていて、そのため右肋骨の下部は後方へ移動し、胸郭下部全体としては右回旋をし、右肋骨下部の後ろ側が後方へ飛び出てくると説明しています。

胸郭の回旋は腹部の筋肉で行われます。回旋の動きを司る筋は内腹斜筋、外腹斜筋ですが、これらの筋は走行が互いにクロスするように配置されているので、胸郭が右回旋を行うと左の外腹斜筋と右の内腹斜筋が収縮するようになっています。

これら2つの考え方で共通する部分は、左下腹部の筋は伸びている、右下腹部の筋は縮んでいるというところです。逆に食い違っている点は左右の上腹部の筋の収縮状態が反対になっています。

これらの知識を踏まえて実際の筋肉の収縮状態や形態を観察してみます。

 

 

 

エコーによる観察

本来、エコー観察は腹部の深部筋のトレーニングのために行っていました。ちなみに、ここで腹部深部筋としているのは内腹斜筋と腹横筋を指します。一般に外腹斜筋も内腹斜筋と働きが対になっているため腹部深部筋に含めますが、実際は表面にある表在筋です。ですので、今回は外腹斜筋は省きます。

エコーを使い数多く観察している内に、一定の割合で似たような筋肉の形態が存在することに気付きました。

図に示すと下のような感じ。頭の方からのぞき込んだ胴体の輪切りの図です。

全体的な傾向として、右の内腹斜筋と腹横筋は筋の長さが左に比べ短く見え、厚さがあるように見えます。逆に、左の内腹斜筋と腹横筋は右に比べて筋の長さがあり、厚さが短いように見えます。極端は左右差はありませんが、違いがあるように見受けられます。

実際のエコーの動画の一例を下に示します。

一つお断りしておくと、これらの動画を本来、筋の長さを見比べる目的で撮影したもので無く、筋の収縮具合を観察するために撮影したものです。従って、筋の長さを左右比べるという目的からすると、かなり分かり辛くなっています。その点、ご了承ください。

同一人物の左右の深部筋の様子です。まずは右の腹部筋群を観察。ヘソの高さでの見比べています。

 

 

次に左側。

 

 

別の方の腹部筋の観察。以前、ブログでご紹介した症例から。まずは右からです。テロップでは左腹斜筋になってますが間違いで、右です。

 

次に左側。

 

 

如何だったでしょうか?先程も述べたように、本来、筋の長さを測る目的で撮影したものでないので、分かりづらかったと思いますが、実際、実物を見てみると筋の長さと厚さの左右差というのが感じられると思います。

 

考察

今回は、側弯症ではない方の体の歪みを持った方の腹部筋の形態について話題にしています。ですが、側弯症で一番多い歪みパターンと、一般的にみられる歪みの一番多いパターンは類似しています。つまり、一般的にみられる歪みパターンの、歪み具合が酷くなったものが側弯症に発展しているとも捉えることが出来ます。

左の肋骨の下部前面が前方へ出ていて、それと比べて右の肋骨下部前面は引っ込んでみえる、というのが一番多いパターンです。そこで想定されるのは左の腹部筋は引き伸ばされ、逆に右の腹部筋は縮こまっているというものでした。

今回提示した映像では、ヘソの高さにおける腹部筋の観察でしたが、下腹部に関しては同じ傾向にあります。当院の観察では、上腹部に関しても同様の傾向にあるように見受けられます。ただし、上腹部に関しては、文献により左右の腹部筋の収縮/伸張具合で意見が違っているので、当院でも引き続き注意深く観察していきたいと思っております。

これらの情報から言えることは、一般的な歪みパターンを持つ人に対して歪みを修正するための運動をする場合、側弯症に対する運動療法(シュロスなど)が有効であると考えられます。また、側弯症の方は修正トレーニングを行う場合、これらの筋の形態の左右差を考慮しながら行う必要があると考えられます。

ここで強調しておきたいことは、筋の形態が変わっているということは、背骨の矯正をしただけでは目的を果たせず、筋バランスを整えるためのトレーニングが必要ということを表しています。骨の矯正だけで、筋肉の厚さが増したりすることはないからです。緊張して縮こまっている筋肉は伸ばせば良いのですが、伸びて弱くなっている筋は鍛える必要があります。

さらに左右で筋のバランスが違うということは、左右で行うトレーニングの違いも出てくるということも物語っています。修正トレーニングを行う場合は、自分で判断するのはむずかしいので、専門家にご相談されることをお勧めします。

 

まとめ

今回は、側弯症と一般の体の歪みの類似性があるということ、その歪みによる腹部筋の左右の形態の違い、そしてそれらを修正するにはどうすれば良いかをご紹介しました。

これらの情報が何かのお役に立てれば幸いです。

では今回はこの辺で。

 

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編集後記

サマソニ2019東京に行ってきました。

初、生babymetal見られて、感動しました。

 

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