膝蓋腱炎のクライアント様

 

今回は膝蓋腱炎と思われるクライアント様のケースの紹介です。

膝蓋腱炎は運動をしている学生によく見受けられるスポーツ障害ですが、レクリエーションレベルから競技者レベルまで、成人でも見かける症状です。

 

膝蓋腱炎とは

 

膝蓋腱とは、膝のお皿の下にある腱のことです。太ももの前面の筋肉はお皿の手前で腱になり、膝のお皿を経由し、最終的にスネの骨の上部にある出っ張り(脛骨結節/けいこつけっせつ)に付着します。この腱の付着面を脛骨粗面(けいこつそめん)といいます。

お皿の下の痛みには主にオスグット・シュラッター病とジャンパーズ・ニーの2つがあります。どちらもスポーツ障害として引き起こされ、いわゆる使い過ぎによる障害です。

膝の曲げ伸ばしが頻繁に行われることにより、膝を伸ばす筋肉である太もも前面の筋肉が硬くなり、骨に付着する膝蓋腱が引っ張られます。

オスグット・シュラッター病は成長期に引き起こされるスポーツ障害で、脛骨粗面の下がまだ軟骨状であるため、腱の引っ張りにより脛骨粗面が引きはがされことで痛みを発するようになります。

一方、ジャンパーズ・ニーは成長期終了後に起きやすいスポーツ障害で、脛骨粗面が骨として完成され硬くなったため、膝蓋腱自体が引っ張り負荷に負けて損傷してしまう病気です。ジャンプすることが多い競技で起こりやすいのでジャンパーズ・ニーと呼ばれます。日本語では膝蓋腱炎といいます。

いづれも使い過ぎなので休んでいれば治りますが、重症例では後遺症が残る場合があります。膝蓋腱炎の場合は無理して使い続けると慢性炎症に移行します。腱の慢性的な炎症のため、組織内に神経や血管が増殖し過敏になっていると考えられています。6ヶ月以上の慢性炎には、神経の増殖が原因の場合は体外衝撃波が、血管の増殖にはカテーテル治療が有効とされています。

 

症例

今回のケースでは、30代の女性の方で、健康増進目的で3カ月前からジムでステーショナリー・バイクを1~2時間ほど週3回漕ぐようにしたところ、2カ月前に急に左の膝のお皿の下が痛み出したというクライアント様でした。その時の強い痛みは3日ほどで治まったそうですが、その後、日常生活で階段の降りる時やしゃがんでいる時に痛みを感じるようになったということです。

初診時において、院内で行って頂いたステップ台での昇降や、しゃがみ込みなどで再現痛は明確には出ませんでした。しゃがみ込みで若干の痛みを感じるという程度です。ただ脛骨粗面の圧痛は明確にありました。

膝に水がたまった様子もなく、検査等により半月板やじん帯での痛みでも無いように見受けられました。再現痛が少ないケースでは、改善する方法を探すのに難儀することもあるのですが、状況から見て膝蓋腱炎である可能性が高いと判断されます。

 

施術

両膝を比較すると、痛みが出ている左側はお皿と脛骨粗面の位置がズレているのが分かります。下図では赤▲で囲った部分が膝蓋骨(膝のお皿)、緑▲で囲った部分が脛骨粗面です。理想の位置は、膝蓋骨の中心と脛骨粗面が一直線上であることです。

 

 

片脚スクワットを行って頂くと、左の方が膝が内側に入る、いわゆるニー・インの状態になり易くなっています。このズレのまま膝の反復した動きを行ったため膝蓋腱にストレスがかかり損傷したと考えられます。

施術ではこのズレを矯正することをメインで行いました。また、痛みが出るのが自宅にいる時なので、自宅で矯正のための運動を行ってもらい、痛みがだ無くなることを確認して頂きました。

ジムにおいては痛みの原因となるステイショナリー・バイクを控えて頂き、代わりの持久系運動に切り替えて頂きました。同時に腱の炎症に対する運動を行って頂き、運動後のアイシングも奨励いたしました。

 

経過

セルフケアを始めて3日後くらいから、日常で痛みが出る頻度が大分消えたと報告を受けました。

従って当院での矯正は、左膝蓋骨の内方変位の修正と、左脛骨の外旋変位の修正を行い、その効果の持続化のために日常でセルフケアを行って頂くことを続けました。

数週間後に試しに持久系運動(バイクやクロストレーナーなど)を60分ほど続けると、再び膝蓋腱の痛みが出てくるというので、持久系は短時間で切り上げて頂き、腱炎に対する筋トレに時間を割いていただくように提案させていただきました。

また、ニーインの原因のひとつにお尻の横の筋肉の弱さがあるので、そこの強化も実施して頂いております。

最終的な目標としては、長時間の持久運動をしても症状が再発しない体を作ることであり、現在も継続中であります。

 

まとめ

スポーツ障害では比較的よくお見受けする、膝蓋腱炎への対処の一例を今回ご紹介いたしました。個人差がありますので、一概にみな同じ対応をするわけではありませんが、当院施術を受ける際の何かの参考になれば幸いです。

ではこの辺で。

 

 

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