尺骨神経領域(小指側)の痺れでのご来院

 

今日は、ダフィーカイロです。春眠暁を覚えず、朝がぜんぜん起きれなくて困っている坂木です。本気で生活改善に取り組まねば!

さて今回は、右手の小指から薬指にかけての痺れのクライアント様の紹介です。

 

 

1,経緯

40代の女性クライアント様で、1ヶ月前よりジンジンと痺れる感じが出始め、整形外科で受診し、レントゲン上で下部頚椎の骨の間隔が狭まっているという指摘をされたそうです。首から肩にかけて、首を反らすと痛みが出、痺れ感も増すので、そこが原因だろうということでリハビリを通っていました。初発当事に比べ痺れ感は大分おさまってきているということですが、まだ残るというのでご来院となりした。

 

2,鑑別&調整

小指側に痺れが出るということは、尺骨神経という神経に問題が生じている可能性が真っ先に思い当たります。

神経の通り道では、どこでも障害される可能性がありますが、神経が圧迫されやすい決まった場所というのが数箇所あります。この神経の圧迫を「絞扼性障害」といいます。

①ギオン管(母指球の反対側/小指側にある小指球の付け根)

②肘部管(肘の内側のぶつけるとジーンと響くところ)

③上腕の内側(動脈が触れるところ)

④鎖骨下

⑤首の横

⑥椎間孔(背骨から出てくるところ)

これらが代表的なところです。

⑥の椎間孔はそこを圧迫するような首の向きにすると症状が悪化します。それ以外の箇所は直接的に神経に触れる事ができるため、触れば症状の再現・増悪が現れます。これをチネル兆候といい、重要な障害部位判断のサインとなります。

正常な人でも、神経を強く押せば痺れ・痛みは出てきます。障害がある人は少しの刺激でも反応が見られるはずです。ところがこのクライアント様は、神経への圧迫刺激ではチネル兆候が見られませんでした。

また、神経の問題の場合、神経が引っ張られると症状が悪化します。例えば、足の痺れの病気で坐骨神経痛というのがありますが、あれも足の後面を伸ばす動作(ストレッチなど)すると痺れ感が増悪します。それと同じ事です。

しかしこのクライアント様には、尺骨神経の伸張テストを行っても明確な陽性反応は見られません。

今回は同時に首を動かすと首が痛むという訴えもあるので、関連を調べるため頸部の骨の圧迫テストを行います。これも神経症状は見られません。このクライアント様は、以前より当院に数ヶ月に1回くらいの割合で、ご利用になっている方で、毎回、首・肩の凝りを訴えていらっしゃる方なので、今回の首の痛みもそれと性状は同じではないかと考えられ、今回の痺れと関連が薄い気がしました。

背骨から出たところから指の末端まで、この神経の部分は末梢神経といいます。対して、背骨のなかから脳に至るまでの部分は中枢神経といいます。末梢部でのテストでは、明確な陽性反応を見せないという事は、神経絞扼でない可能性があります。

残る部分は、中枢神経での問題、例えばかなり小さい脳梗塞などが考えられます。もう一つは、筋肉的な問題。

で、お話をよくよく聞いてみると、痺れ感は肘を曲げたときに起こるというお話でした。整形外科では首から来ているといわれているようですが、ちょっと違うようです。

神経を伸ばしても症状再現されず、チネル兆候もなく、肘の曲げた時にでる、ということは筋肉障害からの放散痛っぽい。

そこで、前腕の部分で怪しいところを見つけ出し、肘や手の屈筋群と、橈骨の動きの調整。残りは首の調整でOK。

最後に「これでまだ症状が出るようであれば、また来てください」と言ってあります。

その後お越しになっていないので、たぶん大丈夫でしょう。

まあ、効果なくて見切られた可能性もありますが。。。たぶん、大丈夫でしょう(笑)

 

3,まとめ

画像所見で異常が見られると、そこと症状との関連が結びつけらますが、以外と原因が違う場合があります。

特に、整体やカイロプラクティックでは、何でもかんでも首の骨や骨盤に原因を結びつけて考えがちです。しかし、末梢と中枢とをバランス良く見ることが大事かなと思います。

毎回のことですが、またまた再確認させていただきました。

 

追記

その後、2ヶ月経過してから、このクライアント様は頭痛を主訴にご来院されました。手の痺れに関しては、前回の術後から再発はないとのことでした。どうも目論見が上手くいったようです 😛

 

 

 

 

 

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