梨状筋症候群からの坐骨神経痛と思われる症状
今日は、神奈川県大和市の本格的超整体【ダフィーカイロプラクティック南林間】の坂木です。今回は梨状筋症候群と思われる坐骨神経痛のクライアント様のご紹介です。
1、梨状筋症候群とは
我々、カイロプラクターが坐骨神経痛を教わるとき、真っ先に原因として習うのがこの「梨状筋症候群」です。ですが私は今まであまり梨状筋症候の方と出会ったことが無く、実際にはそれほど多くない症例であると認識していました。ところが今年の夏に入ってから立て続けにこの症例では?と思われるクライアント様がご来院になっています。
引用;wikipedia
著者 ミカエルHäggström。
When using this image in external works, it may be cited as follows:
Häggström, Mikael. “Medical gallery of Mikael Häggström 2014“. Wikiversity Journal of Medicine 1 (2).DOI:10.15347/wjm/2014.008. ISSN 20018762.
赤い部分が梨状筋です。
坐骨神経には総腓骨神経と脛骨神経があり、膝裏の少し上の部分で枝分かれします。一本の坐骨神経が途中で2本に分かれるようなイメージをもたれますが、実は骨盤内ですでに最初から2本の神経束として存在し、それがくっついて走行しているのです。梨状筋はお尻の横の骨の出っ張りである大転子と、仙骨を結ぶ股関節を外へ捻る働きをする筋肉です。坐骨神経はこの梨状筋の下を通って、骨盤の内側から外側にでて、太ももの後ろ側を下降し、足の裏の方まで達しています。
そして総腓骨神経が脛骨神経の上に存在しやすいことから、この神経が人口の1割くらいの割合で、梨状筋を貫通している場合があります。そのため筋肉に挟まって神経が圧迫されてしまうのです。したがって総腓骨神経の支配領域で、神経症状がでることが多くなります。これは足の甲側からふくらはぎの前外側で症状が出やすい事を意味しています。
梨状筋に神経が貫通してしまう原因を聞かれる事がありますが、これは100%先天的なもので姿勢が悪いからとか、生活習慣が悪いからとかは関係ありません。
神経が貫通していなくても、梨状筋が張ってくれば上から神経を圧迫する可能性がありますが、筋肉を貫通している場合はそのリスクが高くなることは想像に難くありません。
2、症例
40代女性のクライアント様で、立ち仕事で一日中立ちっぱなしということです。右のお尻から足にかけて、10ヶ月前より違和感を感じ始め、徐々に張り感・鈍痛が強まってきたそうです。特に前にかがんだ時に、お尻から太もも裏の痛みと、ふくらはぎ外側から足の甲の外側半分がツレるような感覚がでます。
発症して2ヶ月目くらいの時期に整形外科へも受診しましたが、特に画像診断上では問題もなく、湿布の処方で終りました。最近になり症状が悪化してきたので当院へのご来院となりました。
3、検査と施術
先ずセオリー通り、腰部からの神経症状の可能性から見ていきます。腰部の圧迫テストなどは問題なく、足への神経学的な検査(知覚・筋力・反射)も問題ありません。
坐骨神経は引っ張るようなテストですと反応がでますが、梨状筋を伸ばすような姿勢にすると、さらに症状が悪化します。また、梨状筋の筋力検査でも痛みを誘発し、圧痛も強くあり、典型的な梨状筋症候の兆候を示します。
股関節の可動域には問題が無いので、施術は筋肉性に問題にフォーカスします。骨盤・股関節のバランスを整えることで梨状筋が緩みやすくし、さらに筋の弛緩を施します。また、坐骨神経の走行に沿って神経の滑走性を向上する手技を行うことを中心に施術を進めました。
1週間おきで3回、施術をおこない、2回目の時点で8割がた症状は改善していたとのことでした。3回目は最終的な確認のため来ていただき、今回で施術は終了する事になりました。
4、結果と考察
梨状筋症候群は障害部位が明確なので、比較的改善が早いです。今回のクライアント様も、2回の施術でほぼ症状が消失しました。一日中立ち続ける職場なので、その負荷かかって疲労が局所的に出たのでしょう。
仕事上、同じような姿勢をとり続けなければいけない事はよくあります。このため負担が一定の箇所にかかって、問題を引き起こします。これに対処するには次の2点が必要です。
①作業姿勢を負担のかからないやり方に変更する
②負担がかかる部位を、他の筋肉でサポートできるように強化する
今回の場合、①に関してはご本人の職場環境などにも依存しますので、当方が関与できる機会は余りありません。したがって、②のご指導をメインにさせていただきました。梨状筋の負担を分散できるように、他のお尻周りの筋の強化運動をホームケアとしてしていただくことにし、以降の自己管理をお願いしました。
5、まとめ
今回は10ヶ月にも及ぶ症状でも、原因がはっきり分かれば意外に対応は簡単である、というケースのご紹介でした。日常的に負担がかかるところは、日常的にご自身でケアしていく事が必要になります。
その上で、自己修復ができないほどの症状が進行した場合は、当院のような施術院を訪ねられると良いと思います。
では、今回はこの辺で。