証拠写真のごまかし方

【今回の記事はブログ統合のため、他ブログより転載しました(初出2018年3月)。】

 

 

こんにちは、ダフィーカイロです。

今回は施術業界の基礎知識として、ホームページや広告に掲載されている「ビフォー&アフター」の写真について、業者側がどうやって誤魔化しているかをご紹介します。

「ビフォー&アフター」の広告手法は昔から宣伝効果が高いので、頻繁に使われてきました。最近では「ライザップ」の宣伝が有名です。

整体など施術業界でも宣伝の王道ですが、ちょっとした解剖学的な知識や、生理学的な知識を使って誤魔化すことができます。このような手口を公表することによって、自分はやらないようにしようと自分を戒める目的で、また皆様に対しては業者選びの正しい指針となるよう、記事を作成することにしました。

 

例1、O脚矯正

施術前・後の証拠写真の代表格といえば「O脚矯正」。で、このO脚矯正の証拠写真で古典的な誤魔化し方があります。

施術前は、両足のカカトとつま先をピタッとくっつけて膝の隙間がこの位あります、って写真です。施術後は、つま先を離して外側に向けて写真を撮っています。こうすると、両股関節が外側に捻られ(外旋)、両膝の間隔が狭まって見えるのです。

O脚の膝は外側に突き出るように変位しているので、脚を外側に捻って飛び出ているのを後ろ寄りに持ってくると、前からみると目立たなくなります。

昔はこの手の誤魔化し方が露骨にありましたが、今はあまり見かけないと思います。もし、目にするようなことがあれば要注意です。

 

例2、腹直筋離開

産後数日しか経っていない状態のお腹の写真を撮り、「出産したのに妊娠中と変わらない」との説明文をつけ、「施術をしたら1~2ヶ月でこんなにお腹が凹みました」みたいなことを謳って宣伝するのも常套手段です。

そもそも、出産したからって早々すぐにはお腹は凹みません!産後の子宮は約10ヶ月かかって大きくなったものを徐々に6~8週間かけて元の大きさに戻っていくものなのです。これを子宮復古といい、一般的にいう産褥期にあたります。基準としての子宮の頂点部の戻りは、分娩直後の12時間でへその高さくらい、産褥2日目がへそ下指2本分くらい、7日目が恥骨の上指2本分くらいといわれています。

これより子宮の戻りが悪い場合は、胎盤や卵膜が子宮内に残ってしまって子宮復古不全を起こしている可能性もありますが、それがある場合は1ヶ月検診で指摘されると思います。

人には個人差があるので、産後1~2週程度の状態で妊娠3~6ヶ月くらいの大きさだからといって、それが異常かどうかいえません。産後は妊娠中に伸ばされた腹部の筋や皮膚が弛むものです。さらに産後は一般に、分娩時に胎児・胎盤・羊水が排出され5kg程度が減り、その後2kgくらいが徐々に減りますが、3~4kgくらいが脂肪として産前より体に余計に蓄えられていることが多くあります。

つまり産後は徐々にお腹が凹んでくるので、施術をしての結果として減ったのか、自然経過として減ったのか分からないということです。ですので、腹直筋離開に対する効果が本当にあるかどうかは、産後2~3ヶ月経ってから施術を始めた対象者の写真で評価しなければいけないということです。

 

例3、小顔矯正

体を動かす筋肉は大抵、骨と骨を結んでおり、骨を動かすことを目的としています。ですが、顔面にある表情筋は筋肉に付着しているものが多くあり、そのため柔軟性に富んでいて、豊かな表情を作ることができます。動きやすいということは、変形しやすいということでもあります。顔面をグイグイ押すと、筋肉組織内の水分が移動するので、一時的に小さくなったように見えます。

小顔矯正とはこの性質を利用したトリックです。この場合は写真を利用した例というより、手技そのものがトリックとなっています。

そのため、一旦抜け出た水分はすぐ戻ってくるので、翌日以降には徐々に元に戻ります。特にうつ伏せ寝でもしようものなら、すぐに戻ってしまいます。別に頭蓋骨を動かしているわけではありません。

 

例4、姿勢矯正

姿勢矯正写真もビフォー&アフターで「ちょっと、これ、おかしいな?」というのがあります。

例えば、猫背だった人を横から撮った写真が、術後、上体が起き上がっているように撮れていたとしましょう。姿勢に変化が出ているということは、一定の評価はできます。しかしよく見ると腰が術前より反って前に突き出てているという写真によく遭遇します。

これは、腰・骨盤で代償作用(誤魔化しの動作)を作っているということです。腰で代償作用を作り、上体が立っているように見せていただけです。考え方によっては、矯正の過程でそのような新たな歪みがでるのも想定内で、矯正を重ねる内に全体的に整ってくる、っていうのもアリです。

ただ程度問題ですが、新たな代償ができたところは、そこに負担がかかるので耐え切れず、元に戻る場合が多くあります。

 

まとめ

最初にも述べましたが、なぜこのような業界の盛り上がりに水を差すような記事を作るのかといえば、一言で言えば業界の健全化です。他で間違った知識に染められて、それを求めて当院を訪ねてこられる方を見るにつけ、これじゃあ、いかんなぁという気持ちになります。加えて、自分はこういう事やらんぞ、という意思表明です。

ビフォー&アフターの写真で重要なのは、施術直後の結果写真でなく、何ヶ月も経過しても矯正したものが崩れていないという自然体時の状態を評価したものでなければいけない、ということを強調しておきたいと思います。当院では、そのような考えの下、矯正を行っています。

では、今回はこの辺で。

 

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