落ちるような感覚のめまいでのご来院

 

今日は、ダフィーカイロプラクティックです。今回の症例報告は30代女性の3ヶ月前より発症しためまい感の症例です。白斑などの自律神経失調状態をともなっていたので、自律神経の変化をモニターしながら施術を行い、状態把握を進めることで症状改善に繋がったケースです。

 

 

初診時の状態

めまい感は「浮動性まめい」と「立ちくらみ」の中間のような症状で、多分に労作性(動作・労働によって引き起こされる)の性状を持った症状でした。家事などで下を向いて作業していると下にガクンと落ちる感じや、フワフワ船で浮いているような感じがするという訴えだったのです。

3ヶ月前から動悸が出始め、歩行時にフワフワする感覚に襲われ、両手に白斑が出てきたので、ネットで調べたら自律神経の失調と思われたので、自律神経の調整を専門に謳っている整体院に通っていた。一旦、症状が治まったが、2週前くらいから下を向くと沈み込む感じが出始めたとのこと。そこで3日前に耳鼻科にて検査をしてもらったが、異常が見つからなかったので、当院をネットで探してこられたそうです。

先ずは一般的なめまいのテスト全般行います。椎骨動脈&神経狭窄系、眼球運動、前庭神経系、小脳系、体性感覚系、起立試験を行い、視運動性眼振のみ若干の差異が見られますが微妙。起立試験が一番、反応していました。問診から回転性めまいの原因となる前庭神経系はやらなくてもよさそうですが、カイロプラクティックの場合、一般的な医療では見ないような神経反応の差異も身体所見として考慮していくので、初回は時間かかっても一通りのテストは実施しておいたほうが良いのです。

 

方針&施術

シェロン・テストで心拍数が安定せず、時間の経過とともに心拍が増加傾向になるので、交感神経過剰の様相を見せています。また、経皮的血中酸素飽和度(SpO2)が94%を切る部分がでてきていたので、そこが怪しい部分でもあります。そこで先ずは呼吸器系の改善から取り掛かるようにしました。労作時に症状が出たり、下を向いていると出てくるフワフワ感は緊張性頭痛の一症状として出る場合もあるので、その処置も併せて行いました。

シェロン・テストについてはこちらをご覧ください。

 

初回時、術前。グラフの上段が血中酸素飽和度(SpO2)、下段が起立試験の心拍。SpO2は90近くまで落ち込むところが数箇所見られます。心拍変動も粗く、変動が激しいです。

 

初回時、術後。まだ血中酸素飽和度が90前半に落ち込む部分があります。起立中の心拍の変動は術前よりかは滑らかになりましたが、まだまだ変動が激しいです。

 

2回目

初回矯正後、一旦耳が聞こえづらくなったそうですが、矯正4日後に全ての症状が消失という報告を受けました。そこでさらに自律神経系の問題を掘り下げてみることにしました。テストとしては、発汗機能(モイスチャー・チェッカー代用)、眼球圧反射、頚動脈反射、縮瞳、ブラインド・スポットなどを追加しましたが、これといった反応所見は見られません。

また、脳の各部位(延髄、橋、中脳)に対するカイロプラクティック的検査も全て陰性でした。そこでさらに酸素の摂取の改善を目指し、鼻腔の調整、胸郭、横隔膜の調整、労作性による部分から肩背部の筋緊張の緩めることをターゲットに施術を行いました。

3~4回目

前回施術後より10日間はめまいが消失していたが、施術日当日にフワッと落ちるような感覚に一回襲われたという報告を受けました(めまい感は以前の半分くらい)。念のために心電計を測っていただきました。すると心拍の乱れがでていました。単発の不整脈(期外収縮)は健康な人にも出る現象なので、これだけでは何とも言えませんが、一応そのことも念頭に置きつつ、施術を進めることにしました。

次の回も同様の施術で様子を見ます。子供(3歳)のイヤイヤ期でストレスを感じると症状でやすいというので自律訓練法も取り入れて、自宅でもセルフで行ってもらうことにしました。

 

3回目、術前。SpO2は全体的な変動は若干初回変動が抑えられていますが、90前半に落ち込むところがまだみられます。起立試験の心拍変動は滑らかになってきました。

 

3回目、術後。術後の変化が明確に出るようになってきました。SpO2は97~99の間で一定に保たれ、心拍変動も滑らかになってきました。呼吸器の機能改善により、酸素摂取が安定しているようです。

 

5~6回目

このころになると、以前あったような落ちるような感覚や、フワフワとする浮動感は無くなっていました。シェロン・テストによる超早期脈拍変動はまだ、理想値ではありませんが、心拍の浮き沈みがかなり減りました。血中酸素飽和度が95%を下回ることが無くなり、術後の酸素血中飽和度では98~99%の理想値で一定になります。

フワフワした感じや、落ちる感じは消失し、酸素血中飽和度やシェロンテストもそれに伴って安定してきているということは、その両者は関係があったということです。胸郭機能の改善により酸素摂取量が改善され、血中酸素飽和度が安定したと推測できます。また、自律神経が血管の支配を行っていることから、その不調はバランスをとっている前庭神経系や小脳系などの神経統合の働きを乱す原因になっているとも思われます。

ただ、お子さんを連れて歩いている時、暴れるのを引っ張って耐えていると、その後若干のフラツキ感がでるとということです。また、全面が白い建物の中を歩いているとフワフワ感がするといいます。今までの訴えとは性状が違っているので、アプローチ法もそれに合わせて変えていくことにしました。

お子様の手をつないで連れている時に飛び跳ねたりして暴れるのを耐えているのは、運動負荷が上がると症状がでるので、身体的な運動機能の面で弱いことを示しています。この方はデザイナーの仕事をしているので、座り仕事がメインで持久的な心肺機能が弱くなっていると推測できます。従って、今まで胸郭の機能改善は進めているので、さらに運動負荷に耐えられるように心肺機能面のアップを図り方向へ矯正・改善方法をシフトさせていくことにしました。

また、白い背景内での歩行でフワフワ感では、視覚情報と体性感覚のズレが生じている予想が立ちます。それに合わせ足りない部分の補足テストを行い、特に足部の筋力とバランス保持能力、視機能の焦点調節機能に弱い部分がありましたので、その強化を自宅エクササイズとして取り入れていただきました。

懸念していた、以前計測して一回だけでた心電計での期外収縮も、それ以来毎回計測しているが出ることはかったので、それも運動負荷を上げる判断材料になっています。

 

5回目、術前。SpO2は90台後半に保たれているようになりました。脈拍変動は起立した瞬間の超早期脈拍変動がまだ安定しないようでした。その時の体調によってはこのようなサインが出ることはよくあります。

 

5回目、術後。SpO2は一定になっています。心拍変動もまずまずです。施術効果の積み重ねにより反応が出やすくなっているようです。

 

7回目

前回より2週間後のご来院時には、お子様を連れている時のめまい感も消失しているとのことでした。まだ、白い背景内の歩行では違和感出ることがあるというので引き続きの施術とホーム・ケアをしてもらいました。

2週間後に再訪のご予約をいただいておりましたが、ご懐妊が発覚しましたので、これで一旦施術は終了になりました。これは、当院では安定期に入る前の妊娠初期は施術を念のため見合わせているためです。

ただ、これまでの経過から初回に訴えていらっしゃった症状は改善し、ほぼ納得いく成果が収められたケースではないかと思います。

 

血中酸素飽和度について

施術の経過報告の中で、血中酸素飽和度をモニターしながら施術を進めたと述べましたが、そらはどういった意義があるのかというのをちょっと説明させていただきます。

肺に取り込まれた酸素は、肺胞から血中に取り込まれ、逆に二酸化炭素は血中から肺へ交換されます。血中ではヘモグロビンと結合し、酸素は各細胞へ運搬されます。当院ではパルスオキシメーターを使用し、この血液中にあるヘモグロビンが酸素と結合している割合(SpO2)を経皮的に確認しています。

肺における血液を酸化させる能力を動脈血酸素分圧(PaO2)といいますが、この数値のが不良だと呼吸不全を表します。健康者で100Torr(mmHg)といわれていて、60mmHgを下回ると呼吸不全です。血中酸素飽和度(SpO2)が90%を下回ると、動脈血酸素分圧は60mmHgになってしまいます。そのためパルスオキシメーターの測定値(SpO2)は、100~96%が優良、95~90%が良、90%未満が不良と区分けされています。

実際に採血をして血中の酸素飽和度を調べたものがSaO2といいます。これが95%までは動脈血酸素分圧(PaO2)は一定に保たれていますが、95%を下回るとPaO2は急速に低下します。パルスオキシメーターで測った経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)と、採血から測った動脈血酸素飽和度(PaO2)は近似値(ほぼ同等とみなせます)となっているので、SpO2が95%を下回った場合はPaO2が低下している可能性もあり、実は注意が必要です。

参考資料 Konica Minolta「酸素飽和度-酸素分圧換算表」

カイロプラクティックでは、一般的な医学上で病的と言われる手前の、いわゆる「未病」の領域も対象としているので、酸素飽和濃度が95~90%の部分でも何かの不調の兆しとして改善できるものならターゲットにしていきます。

 

考察

よくあるこのような施術院の説明で「○○が悪いから、△△な症状が起こる」みたいなのがあります。例えば、「顎の動きが悪いからめまいが起こる」とか、「首がズレてるからめまいが起こる」や「骨盤がズレてるから」とか「頭蓋骨の動きが…」などなど。これは何か一箇所不調があれば、どこかが悪くなるという原因が一元的にあるような考え方です。俗に言うう「根本原因」って言う奴ですね。

しかし、実際には体が具合が悪くなる原因は複合であると、私は考えています。例えば今回のような自律神経に対する調整では、呼吸器では延髄の呼吸中枢、循環器系では延髄網様体の血管中枢、これらに情報を送る体性感覚と、上位脳からの情報が関わってきます。また、めまい感では視機能調整、体性感覚のズレ、小脳機能などが関わってきます。

体は恒常性があるので多少の不具合があっても、他でカバーしてそうそう症状がでないようになっています。急性の場合や、外傷などの大きな衝撃があれば単一の原因で体調不良が引き起こされる場合もありますが、慢性的な症状や、原因が不明なものでは複合要因と考えるのが妥当です。単一原因で症状が引き起こされているようなものでしたら、当院に起こしになる以前の通われていた治療院での施術で問題は解決されていると思います。

自律神経など脳の中での不具合を見る場合は、その神経領域に接続する様々な刺激(情報入力)を加え、その刺激の集積として神経領域に変化を起こさせる必要があります。そのためには色々なアプローチ法を考える必要があり、またその中から有効なものを選び出して、それを適用させる必要があります。

今回のケースも多方面からのアプローチにより神経、心肺機能の強化をすすめ問題解決に取り組んだケースでした。

 

まとめ

同じ症状でも、人それぞれ体質、生活環境、そこに至るまでの背景というのは違います。そのためアプローチも違ってきます。そのことを今回も改めて再確認させられました。

「めまい」でお困りの方がいらっしゃいましたら、ご用命ください。

今回のご報告はこの辺で終了します。では。

 

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