体幹インナーマッスルの左右差のある腹直筋離開のエコー観察例

前回は左右差のない体幹深部筋の方のエコー画像をご紹介しましたが、今回は左右差のある場合のご紹介をさせていただきます。

 

 

【ご注意】

すみません。テロップに右腹斜筋や右腹直筋など左右に関する記載がありますが、掲載している動画のテロップは全て左右が逆に間違って入っています。私は腹部のエコー観察をする場合は頭部の方に向いて足側に立ち、プローブ(端子)とモニターと観察対象を同じ向きに合わせるのでちぐはぐになることは無いのですが、動画編集を夜中にやっていたら寝ぼけてしまいました(涙)。前回分の記事の動画と同時に編集作業を行っていたので、同じ過ちをこちらでもしています。本文中の記述は直してあります。

前回のクライアント様は腹部の筋は左右同じように動いていたケースでした。今回ご紹介するモデルケースでは、白線部分の離開幅はドローインよりクランチなどのようなヘッドアップのスタイルの方が狭まり、また深部筋に収縮に左右差が見受けられるパターンでした。また、もともと離開幅自体も小さく、下腹部がメインの方です。人それぞれ違いがあり、それに合わせて運動指導も変えていくことが必要ということが分かります。

 

上腹部腹直筋間のヘッドアップ時の離開の確認

へそ上部より指3本分上の部分での観察です。最初に左右の腹直筋の筋腹の位置を確認し、腹直筋の間の幅を確認しています。その後、頭を上げて腹部の筋を緊張させ、腹直筋の幅がどう変化するのかを観察しています。

 

下の画像は動画の最初のパート(スタート~10秒まで)を示していて、筋肉の部分は水分含有量が多いため黒っぽく見えます。赤い点で囲んだ部分がそれで、右の腹直筋を示しています。同じ様に左腹直筋も確認しています。

 

弛緩した状態でも腹直筋の間は1cm程度であり、病的に離れているようには見えません。実際、指の指しいれテストでも離開を確認できません。

 

ヘッドアップをしてもらうと左右の腹直筋が接近して、さらに腹直筋の間が狭まるのが確認できます。

 

 

 

へそ直上腹直筋間のヘッドアップ時の離開幅の確認

次の観測点はへその直上です。へその周辺は輪状にコラーゲン繊維が構成され、上腹部や下腹部の白線とは構造が違います。この方はヘッドアップすると両側の腹直筋が中央に寄ってくるのが観察されます。

 

 

緩んだ状態のとき。黄色の点は白線部を示します。画像の両端にあるであろう筋腹はまだ映りこんでいません。

 

ヘッドアップすると両端から赤線で囲んだ腹直筋の筋腹が寄ってきて画像内に映りこんでくるのがわかります。

 

 

 

 

 

下腹部腹直筋間のヘッドアップ時とドローイン時の離開の観察

下腹部は腹直筋の筋の厚さも元々厚く、わかりやすくなっています。まず最初に左右の腹直筋の筋腹を確認し、それからヘッドアップを2回行ってもらっています。その後、ドローイン(お腹の引き込み動作)を行ってもらい、2種の運動による白線部の変化の違いを観察しています。

 

 

左右の赤点で囲んであるのが腹直筋の筋腹です。その間の組織が白線になります。

 

頭を上げてもらうと腹直筋が収縮し、筋肉の厚さが厚くなるのが観察できます。それに伴い筋腹な幅が減り近づいてくるのが見て取れます。

 

次にドローインですが、腹壁が左右に引っ張られて緊張する様子が伺えますが、腹直筋の幅はさほど変わりません。つまり白線の改善にはドローインを行っても問題はないとわかります。

 

 

 

 

 

 

左腹横筋収縮の確認

 

 

動画内のテロップでは右腹斜筋になっていますが、再三申しているように実際は左の腹斜筋です。

後で出てくる右の腹斜筋群の動画と比べてほしいのですが、まず目につくのが内腹斜筋と腹横筋の厚さの違いです。

左右を比べると、収縮前の自然な状態で内腹斜・腹横ともに左の方が筋の厚さが薄く、右の方が厚くなっています。下の画像と「右腹斜筋収縮の確認」動画の次の静止画像とを比べてください。

 

 

そして、左側の腹斜・腹横筋は収縮率が高いです。一方、右の腹斜・腹横筋は始めから筋が厚かった分、そこからの収縮の幅は少ないです。左は特に腹横筋の形態の変化が分かりやすいです。

 

 

 

 

右腹横筋収縮の確認

 

 

右と左の腹筋群の比較では、当然同じレベルの筋の比較をしなければ左右さがわかりません。ここでは、へそを基準に、へそから真っ直ぐ水平に移動させたレベルの筋群を比較しています。自然の状態で、左と比べると右内腹斜筋と腹横筋は筋の長さが短くなっており、厚さは厚くなっています。これは、右と左の筋の形態が元々違っているのか、それとも最初から緊張して収縮していることを意味しています。

 

 

右腹横筋は収縮してもらうと、左に比べ形態の変化は少しで、そもまま奥へ引っ込んでいるように見受けられます。最初から収縮気味だったため、そこからさらに収縮しても収縮率は低くなるっといった具合であるように見えます。

 

 

実際、このクライアント様の自覚では右の腹部筋の方が力が入りづらい感じがするそうです。推測するに、最初から右の腹斜筋・腹横筋は過剰に緊張している状態(最初から収縮している)のためそこからの筋の収縮率が低く、収縮している感覚がつかみづらくなっているのではないかと考えられます。

この場合、過緊張している方は緩めてあげて、弱いほうは強めてあげるなど左右の筋の働き具合をそろえてあげないと、腹直筋離開のための改善運動を行う際に正しい効果が出ない可能性が生じます。

 

 

 

 

 

 

左下腹部の腹横筋の収縮

 

 

ここでは最初、上記のへそレベルの観測点から下腹部のほうにプローブ(端子)を下げていき、下腹部の観測点を探しています。骨盤の出っ張り(上前腸骨棘)の内側がベストの観測点になりますが、ここでは先ほどの外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋という3層構造が変化し、外腹斜筋は膜状になり筋肉は内腹斜筋と腹横筋の2層構造になります。

 

 

下腹部をドローインさせてインナーマッスルの収縮を促します。内腹斜筋、腹横筋ともに筋の長さが短くなり、その分筋の厚さが厚くなるのが観察されます。

 

 

 

右下腹部腹横筋の収縮の確認

 

 

右の腹部も左と同様にへそラインからプローブを下腹部方向に移行させ、3層構造か2層になるのを確認しています。先ほどと同じ、ASIS(前上腸骨棘) という骨の出っ張りの内側が観測ポイントとなります。

緩んでいる状態が下図です。もともと左に比べて右の内腹斜筋と腹横筋は筋長が短く、筋厚が厚くなっているのが観察されます。力を入れていない時でも若干の緊張状態であるか、始めから筋の形態が右と左で違う可能性があります。

 

下の画像が収縮時のものです。

下腹部部分でも腹横の収縮率は少なく、筋の厚さにはあまり変化がないようです。腹斜筋の収縮だけが目立つような格好になっています。

 

 

 

 

このケースで推奨される運動方法

このクライアント様は自覚としても、右の腹部の収縮感が感じられないと訴えられていました。筋の収縮感が得られないということは筋肉を上手く使えていないことを意味します。上手く使えていない状態のままで筋の練習を行っても思ったような効果は得られません。

すでに述べたように右腹部の緊張が強い状態で収縮が上手にできないようなら、先に緊張している筋を緩めてあげ、そこから収縮感を取り戻す練習をします。右と左がバランスよく同じように動かせるのが理想です。

腹直筋の幅に対する影響としては、ドローインは悪影響を及ぼす懸念は少ないようなので、右腹部のドローインを意識的に行っていただき、合わせて腹直筋の幅を減少させる効果が著名にみられた腹直筋を収縮させるような運動を加えていくと良いと思われます。

 

 

まとめ

今回は前回と少し筋の収縮具合が違うケースのご紹介でした。人それぞれ微調整が必要ということです。

腹部の深部の筋は、触診だけで行おうとすると表面の筋の硬さにマスキングされてわかりづらいことがあり、施術者が思い込みで触れていたと感じていたものと実際とでは違う場合があります。そのような場合エコーは有効かなと感じます。また、クライアント様本人も自分のお腹の筋の収縮感と、モニターに映し出された筋の収縮する様子を一致させることは、腹部の収縮感覚を掴む上で一番わかりやすいようです。

今回は当院の腹直筋離開に対する取り組みの一端を、ガンバって動画つきで(笑)ご紹介させていただきました。この記事が何かお役に立てば幸いです。

では今回はこの辺で失礼します。

 

 

 

 

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編集後記

私がおもしろいと感じていた漫画がまたまた打ち切りになった。

私の感覚と、世間の感覚はどうも違うらしい。。。

 

 

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