PfilAtesと運動選手における体幹筋の使い方の違いについて

 

【今回の記事は以前、他のブログ掲載していたものを転載したものです(2015年12月初出)。】

 

この度、健康雑誌「夢21」2016年2月号においてPfilAtes認定指導施設として当院も名前をリストに載せていただきました。今回は、このイベントに関連して骨盤底筋・体幹筋群のエクササイズで、それぞれの運動する人の活動レベルの違いで、やり方や意識するところが違ってくるというお話をしていきます。

 

 

1、今回の目的

当院では従来より、産後の骨盤底筋・体幹筋群の回復のための運動指導としてPfilAtesを推奨しております。PfilAtesは数多くのリサーチに於いて、産後の諸問題を改善するための、骨盤底筋群を鍛える方法のベストなやり方をプログラム化したものです。

一方、コアトレなどという名称で体幹筋群を鍛える方法もここ数年、かなり世間一般に浸透してきました。しかし、そのための弊害も出てきました。今回は運動選手と、一般的に運動活動を行っていない人の場合の、体幹筋エクササイズの違いと注意点を解説していきます。

 

2、骨盤底筋群と体幹筋群の関係のおさらい

2-1、体幹筋、骨盤底筋の構造

体幹筋群とは、簡単に申しますとおへそ周りを中心とした胴体部分の筋肉群の事を指します。背中側は、背骨を支えるため筋肉と、背中を反らすような動きをするための筋肉があります。

お腹側は、おへそ周りのいわゆる腹筋とよばれる腹直筋と、腹直筋と背筋群との間にある、いわゆる脇腹の筋である腹斜筋で構成されています。腹斜筋は2層構造になっていて、その深部には背骨から前面まで丁度、腹巻のような腹横筋という筋が取り巻いています。この体の表面から見えない筋肉をコア・マッスルとかインナーマッスルなどとよばれています。

骨盤的筋群は、その名の通り骨盤の底についている筋肉と組織膜で構成されて筋肉群で、詳細は当院メインWEB「尿漏れ・子宮脱・骨盤底筋の問題」で取り上げています。そちらをご覧ください。

 

2-2、筋の働き方

そして、この体幹筋群と骨盤底筋群は筋肉自体を取り巻いている筋膜組織が連続性を持ち、力の伝達を行っています。簡単に言うと連携して働いているのです。

特に重要な事は、体幹筋群の中で一番深部にある腹横筋が、手や足、または体を動かす時に真っ先にこの筋が働き、先ず体幹・背骨を安定する事により、効率的・安定的に体を動かす事ができるのです。これを予備動作と呼びます。同時に、骨盤底筋、横隔膜、背骨の際にある多裂筋も収縮し、体幹の安定に寄与します。

この予備動作での体幹・骨盤底筋の収縮がタイミングが遅かったり、収縮力が弱かったりすると腰痛の原因になったり、体の動きのスムーズさに欠ける事になります。

 

3、主動筋と共動筋

筋肉を鍛えたい場合、一般的にはその鍛えようとターゲットとしている筋肉を、なるべく単独で働かせるようにする事が指導されます。体が動く時は、メインで働く主動筋とよばれる筋肉と、その動きを補助する共動筋が一緒になり働きます。

例えば、右腕を外側に開くように持ち上げる場合、メインで働く筋肉は、肩の真上についている三角筋外側線維という部分です。共動筋として棘上筋や僧帽筋などがありますが、胴体部分が腕の土台となっているため、この部分が揺らがないように左側の体幹筋も共同筋として働きます。

もし、三角筋が弱くなっている場合、腕が挙げずらくなっているのを体幹筋を使って体を左にひきつけたり、右の僧帽筋を使って肩をすくめようという動きが出てきます。これを代償運動といいますが、このような運動のクセをつけていると、実際、三角筋を鍛えようとしても他の部分を使って動かしてしまうため、ターゲットとしている筋肉を効率的に鍛える事ができなくなってしまうのです。

 

 

 

 

4、近年のコアトレによる弊害

近年、各メディアでコアトレの特集が取り上げれれていました。健康雑誌関連や、美容関連、各スポーツ関連などの書籍や雑誌などなど。日本代表サッカーの長友選手がコアトレを積極的に取り入れているという事で、トレーニング場面がよくテレビで放映されていたので、それが一般の方々にも知れ渡ったのに役立ちました。それに習って各学校部活のチーム練習などでも取り入れらているのは、もはや当たり前になってきています。

しかし、それに伴って弊害もでてきました。特にスイング系の運動では、腹斜筋の断裂が以前にも増して多く発生していきいるという事です。

体幹筋は前述の通り、3層構造になっていて、表層から外腹斜筋、中層が内腹斜筋、一番深いところに腹横筋があります。そして腹横筋がすべての動作に先行して収縮を始める、ということは先ほど述べました。しかし、スポーツ選手の場合、この腹横筋を意識的に使う練習をしないまま、いわゆるコアトレ(体幹筋のトレーニング)を行っていると、本来、動作の一番最初に使わなければ行けない腹横筋よりもその外層にある腹斜筋群を使ってしまう傾向にあります。そのため、そこに疲労が溜まり、筋の負傷をしてしまうのです。

 

5、非運動選手における骨盤底筋エクササイズの失敗要因

一方、普段、運動に疎い人々には、先ず体幹・骨盤底筋群のトレーニングをやっていただこうとしても、その筋肉自体を意識する事が難しいことがあります。

筋肉を鍛えるためには、鍛えようとする筋肉が意識できないと(動いている事を感じられないと)効果的に鍛える事ができません。しかし、普段運動をしていない人は、体の対する身体感覚が鈍くなっている事が多く、その筋肉自体を意識する事ができくなっています。

そうすると実際その運動を行ってもらっても、キチンと動かす事ができず、やっていてもちゃんと出来ているかどうかが分からず、達成感もないので、その内やらなくなってしまいます。特に、骨盤底筋群はもともと意識して動かすという事が日常的になされない部分であるため、特に動かしづらいのです。

 

 

 

6、運動選手に必要なコアトレのポイント

運動選手の場合、4章で述べたよな事を踏まえ、次に挙げるポイントを意識してトレーニングをする事が望まれます。

 

6-1、体幹筋をなるべく分けて使えるようにし、腹横筋を強調して使う練習をします。

主動筋と共動筋を完全に分離して働かせる事は無理ですが、なるべく意識して単独で使えるような練習をしていくと、運動パターンに変化をもたらす事が可能です。

 

6-2、拮抗筋も鍛える

筋肉のバランスが悪い人は、怪我をしやすくなります。主動筋と反対の働きをする筋肉を拮抗筋といいますが、この拮抗筋と主動筋が出力のバランスを取り合って動きのスムーズさを出します。特にスイング動作など急激に体を大きく動かす動作では、ブレーキ要素の拮抗筋が上手に働かないと、筋の負荷が強くなりすぎて、筋線維を損傷する可能性があります。

 

 

7、日常的に運動をしていない人のためのコアトレのポイント

日常的に運動していない人の場合は、3章で述べた主動筋と共動筋の関係を逆手にとり、こちらは分離するのでなく逆に一緒に働かせてしまう事を考えます。要は、特に骨盤底筋群は意識しずらいので、周辺の筋肉を働かせることにより、つられてターゲットとする筋肉も動かしてしまおうという考えです。これを共同収縮といいます。

このような考えでプログラムを構成されているのが、当院で提供しているPfilAtesです。骨盤底筋群は一般に運動しずらい処なので、それを如何に動かせるようにできるかという目的で作られています。そのため、一般の運動に疎い方々にお勧めできる内容になっています。

 

8、まとめ

今回は、それぞれの運動レベルによって、同じ体幹筋や骨盤底筋群のトレーニングを行うにしてもやり方が違うという事をご紹介いたしました。一般誌やテレビなどの情報では、そこら辺の紹介が曖昧で、見よう見まねで行ってはいるものの、あまり効果を実感できない、または怪我を負ってしまった、というような声が聞かれます。当てはまる方は、ご参考にして下さい。

では、今回はこの辺で。大和市の整体【ダフィーカイロプラクティック南林間】の坂木でした。

 

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