腹直筋離開に対する腹部エクササイズの真実

 

 

腹直筋離開に対して現在確認できる西洋医学的アプローチは、外科手術と運動療法のみです。一方、ネットで「腹直筋離開」を検索してみると、現在1ページ目に整体治療関連のサイトがズラズラと並んで出てきますが、多くが科学的根拠が伴っていないものになっているようです。

一般的にも腹直筋離開の改善のために実施されているものは「腹部の筋力トレーニング」。前回の記事でもご紹介したように、腹部のエクササイズは当院でも腹直筋離開の改善を図るための重要なパートを占めます。しかし、ここでフト疑問に思われる方もいるかも知れません。「果たして、本当に腹直筋離開に腹筋エクササイズは効果があるのかしら?」と。

 

腹直筋離開に対する腹筋エクササイズの効果

何に対しての効果を求めているかでエクササイズ効果がある・ないの答えが変わってきます。腹直筋離開の主訴として挙がるのが次の3つです。

①美容面
②腰痛
③尿漏れ

②③は体幹機能と直結しているので、腹部エクササイズでの効果が研究論文等で認められてます。

①美容面に関してですが最初に結論として言ってしまうと、

ぶっちゃけ、効果は不確実 です。

「効果がある」とする論文もあれば、「効果がない」とする論文もあります。今回ご紹介する内容は、腹直筋離開に対して運動療法を推奨している施術者・治療者にとっては不利益な情報も含まれているでしょう。しかし、そのことを隠して自分に都合の良い情報だけを提供しているのはフェアではありませんし、一番の利益はクライアント様にあるべきなので、クライアント様自身が色々判断できるように情報を提示していくようにすべきではないかと考えています。

そこで今回は、腹直筋離開に関する研究を羅列してみます。pubmedからの検索結果から新しいものを載せているだけで、本編を精読している訳ではないのですが、全体的な傾向は読み取れると思います。

そこで分かることは次のような事柄です。

 

従来、腹直筋離開の運動療法で常識のように言われていた

「クランチ運動は腹圧が高くなり離開幅を大きくするのでやめなさい」

「ドローイン(腹部の引き込み運動)、骨盤底筋の運動しかしてはいけません」

などのようなことが、実は調べてみたら違っていたという内容の発表がいくつか出てきています。

昔、当然のように思われていたことが、研究が進むにつれ実は違っていたとうことが分かる、ということはよくある話です。当院でも腹直筋離開に対する運動指導では、当初指導していた内容より最新の知見を取り入れることにより、徐々に変化してきています。

腹直筋離開に対する研究はまだまだ数が少なく、分からないことが多いのです。ですので、当院でもできるだけアンテナを張って新しい情報を確認するようにしています。「現在の施術が最高の施術」になるように常にアップデートしていき、皆様により良い施術をご提供できるように切磋琢磨しています。

 

クランチ・エクササイズとドローインについて

さて、これからご紹介する論文の中でたびたび出てくる運動で「クランチ」というのがあります。どのような運動かというと下記の図の通りです。

膝と股関節を90°に曲げて、おへそを覗き込むように頭を持ち上げます。こうすることにより腹部の筋を収縮することができます。昔、腹筋運動のイメージとして代表格であった、足を地面につけて上体を大きく持ち上げる運動はカールアップ(上体起こし)という名前ですが、上体を下げるときに腰を反らしがちになり、それが腰を痛める原因にもなるので、現在では腰を保護する目的でもクランチ・エクササイズの方が推奨されています。

また、運動には2つの方法があり、体を大きく動かして行う運動と、動きを伴わず同じ姿勢を維持する運動があります。先ほどご説明したカールアップという方法は筋肉の線維が縮む働き方をする方法で、求心性収縮(コンセントリック)運動といいます。一方、同じ姿勢を維持する運動は筋肉の線維の長さが変わらないため等尺性収縮(アイソメトリック)運動といわれ、クランチ・エクササイズは腹部を動かす範囲が狭く同じ姿勢を維持する等尺性収縮の要素が強い運動といえます。

ドローインという運動も同じようによく出てきます。「ドローイン」とは腹部の引き込み動作のことで、簡単に言うとお腹を凹ませる運動です。この収縮方法は腹部の深部筋を有効に働かせることができるため、最近頻繁に話題になっています。こちらも等尺性収縮に分類されるエクササイズです。

詳しい腹部の運動の仕方については次回ご紹介します。

 

腹直筋離開に対する運動の即時効果

では、ここから今回の本題の腹直筋離開に対する腹部エクササイズの効果の検証についてです。関連資料を下記に提示します。論文の概要の下に簡単な説明をつけていますので、読むのが面倒くさい方はそこだけ読んで後は飛ばしても結構です。

まずは、運動に対する即時効果を調べた研究のご紹介です。「即時効果」とは一般的な言葉に置き換えると「即効性」という意味になります。何かやったら、こんな効果がすぐ出ましたよってことですね。

これらの研究で事前に想定されている腹部トレーニングの効果として、ドローインは腹部を凹ませる運動であり、ウエスト周りの径が短くなる運動なので、腹部が前に飛び出してくる腹直筋離開の修正には効果的であろうと予測されています。逆にクランチはお腹を気張らせる要素が強いので、腹圧が高まり腹部を外側に押し出し、腹直筋離開には悪いであろうと予測されています。

ところが調べてみるとちょっと違うんじゃない?っていう結果が出てきています。

 

【産後女性の腹直筋間の幅は、腹部筋の等尺性収縮によって減少させることができる:予備的症例対照研究。】

Inter-rectus distance in postpartum women can be reduced by isometric contraction of the abdominal muscles: a preliminary case-control study

著者;Pascoal AG, Dionisio S, Cordeiro F, Mota P.

出典;Physiotherapy. 2014 Dec;100(4):344-8. doi: 10.1016/j.physio.2013.11.006. Epub 2014 Jan 18.

【概要】

《参加者》
産後の女性10名(平均年齢30歳(標準偏差4歳); 平均体重58kg; 平均身長159cm)および未経産婦10名(平均28歳;平均体重56kg; 平均高さ160cm)。

《介入》
前側の腹壁の超音波画像は、安静時(仰臥位)と腹部の等尺性収縮(膝立て仰臥位からのクランチ動作により活性化して)の間に記録された。産後グループと対照グループとの腹直筋離開幅の大きさの比較と、安静時と等尺性収縮時の腹筋の活性化度合いの比較を、二元配置分散分析を使用して行った

《結果》
産後グループでは、腹直筋間の幅が対照グループに比べて有意に大きかった[14.7(SD 3.1)mm対9.6(SD 2.8)mm; 平均差5.1mm; 95%信頼区間(CI)3.4~6.8]。等尺性収縮の間に、腹直筋間の幅は、安静時と比較して有意に低かった[10.7(SD 3.1)mm対13.4(SD 3.1)mm; 平均差2.8mm; 95%CI1.2~4.5]。グループと筋肉の収縮との間には相互作用は見られなかった

《結論》
腹直筋間距離は、対照と比較して産後の女性で有意に高く、安静と比較して、腹筋の等尺性収縮(腹部クランチ)中に有意に低かった。

 

ポルトガル、リスボン大学の2014年公表の研究です。横たわってリラックスしている状態と、クランチ運動をしている状態での腹直筋の白線部の幅を、産後女性と出産未経験女性(10名:10名)とで測ってみた結果を比較しています。白線とは左右の腹直筋をつなぐ結合線維で、ここが左右に伸びてしまった状態が腹直筋離開といわれています。

腹直筋中央の白線部は、出産未経験女性では上腹部や下腹部で1cm前後が標準です(45歳以上の正常平均値は1.5cm)。ここでは出産経験者では1.5cm平均なので、離開といえる境界線ラインですね。そしてそれはクランチ運動すると1cm近くまで狭まったという報告でした。

 

 

【妊娠中および産褥期における腹部クランチおよびドローイン・エクササイズ中の腹直筋間の幅に対する即時効果】

The Immediate Effects on Inter-rectus Distance of Abdominal Crunch and Drawing-in Exercises During Pregnancy and the Postpartum Period.

著者;Mota P, Pascoal AG, Carita AI, Bo K.

出典;J Orthop Sports Phys Ther. 2015 Oct;45(10):781-8. doi: 10.2519/jospt.2015.5459. Epub 2015 Aug 24.

【概要】

《方法》
この研究には84人の初心者が参加した。超音波画像には12MHzのリニアプローブを使用し、安静時、ドローイン(腹部の引き込み動作)、クランチ・エクササイズをしている最中に、腹直筋白線上の3箇所で記録した。腹直筋間の幅(IRD)は、妊娠週35~41週、産後6~8週、産後12~14週および産後24~26週の4時点で測定した。セパレート2-way反復測定分散分析(ANOVA)はドローインとクランチのそれぞれの運動に対し、それぞれの測定箇所で、4つの時点おける腹直筋離開幅に対するエクササイズの即時効果を評価するため実施された。同様に、2-way ANOVAを使用して、IRDに対する2つのエクササイズの効果を対比させた。

《結果》
ドローイン運動を行うことにより、臍より2cm下のIRDの幅が著しく変化を見せた。妊娠35~41週で平均3.8mm(95%信頼区間[CI]:1.2,6.4mm)の減弱を見る。産後6~8週では3㎜ (95% CI: 1.4, 4.6 mm)の増加を見せ、産後12~14週では1.8mm (95% CI: 0.6, 3.1 mm)の増加、産後24~26週では2.5mm (95% CI: 1.4, 3.6 mm) の増加(P<.01)。産後の臍より2cm下の24~26週を除いて、腹部クランチ運動を実施すると、4つの時点すべてにおいて、また3つの場所すべてにおいてIRDが有意に狭くなった(P <.01)。クランチ・エクササイズは、産後24~26週のへそ下2㎝での計測以外では、4つの計測時点すべてにおける3つの計測箇所とも腹直筋離開幅の著しい減弱(P<.01)を成した。縮小幅の平均値は、測定時期と測定箇所によって1.6~ 20.9mmの間で変化した。

《結論》
全体として、2つのエクササイズの効果を対比してみると、腹部クランチ運動は一貫してIRDの有意な狭小化を生じさせる。対照的にドローインは全般的に若干の離開幅の拡大を見た。

 

ポルトガルのリスボン大学人間キネティクス学部、2015年度発表の研究です。この報告では、84名の経産婦において、妊娠35~41週目、産後の6~8週目、12~14週目、24~26週目の4つの時期に超音波画像装置を使い、安静時、ドローイン時、クランチ運動時の腹直筋白線上の3点で離開幅を計測したという内容です。

結果は、ドローインを行うと下腹部で、妊娠中は離開幅が3.8mm減ったが、それ以外の産後ではどの時期でも2~3mm増加したそうです。クランチを行うと産後24~26週目の下腹部の計測値以外は、すべての計測場所で離開幅が減少(1.6~20.9mm)したということでした。

数字的にはドローインをすると離開幅が2~3mm増加することが分かりましたが、これが現実問題として1.5cm離開幅があった人が2mm増えたとしてもそれが即外見上、不具合を起こすとは考えずらいと思います。ただし、長期的に続ければもしくは問題を引き起こす可能性はありますが。

原文はこちらからダウンロードできます。

Research Gate

 

【腹部の運動は、分娩後の女性の腹直筋間の幅に影響する:二次元超音波検査。】

Abdominal exercises affect inter-rectus distance in postpartum women: a two-dimensional ultrasound study.

著者;Sancho MF, Pascoal AG, Mota P, Bo K.

出典;Physiotherapy. 2015 Sep;101(3):286-91. doi: 10.1016/j.physio.2015.04.004. Epub 2015 May 6.

【概要】

帝王切開した女性と経膣分娩した女性で安静時の腹直筋離開幅(IRD)を比較し、異なる腹筋エクササイズがIRDに及ぼす影響を説明ことを目的に研究を行った。

多胎妊娠ではない初産の産褥期にある38名の女性(経膣分娩23名、帝王切開15名)が参加。腹壁の2次元超音波画像は安静時肢位とアドミナル・クランチの最終域肢位、ドローイン(腹部引き込み) 、ドローイン+クランチで記録された。臍の上2cmの箇所と下2cmの箇所の安静時のIRD測定値を、2つのグループ(経膣分娩および帝王切開)間で比較した。両グループとも3回の腹部エクササイズ中にIRDを臍の上下で測定した。

経膣分娩と帝王切開のグループ間で、臍の上または下のいずれのIRDにおいても有意差は認められなかった。臍よりも高い位置でのIRDは、安静時と比較して腹部クランチ・エクササイズ中に有意に減少した(平均21.7 [標準偏差(SD)7.6] mm対25.9(SD 9.0)mm、平均差4.2 mm; 95%信頼区間(CI)0.5~7.9である)。臍より下のIRDは、安静時[16.0(SD 8.1)mm、11.4(SD 4.9)mmと比較して、ドローイン運動中に有意に大きかった。平均差は4.5mmであった。95%CI1.6~7.4]。

結論としていえることは、産後の女性の腹部筋力強化トレーニングに関する既存の勧告とは対照的に、この研究は、腹部クランチ・エクササイズがIRDを減少させ、ドローイン・エクササイズがIRDを減少させるのに効果がないことを見出した。IRDに対する腹部トレーニングの効果を探るために、さらに基礎的な研究と無作為化比較試験が必要である。

 

これまた、ポルトガルのリスボン大学の2015年公表の研究です。今度は帝王切開で出産した女性(15名)と、自然分娩した女性(23名)での腹直筋離開について超音波画像を使って調べたもので、安静時、ドローイン時、クランチ時、ドローイン+クランチの同時運動時で、ヘソの2cm上と、2cm下の離開幅の変化を計測しました。

結果はクランチでは離開幅が縮小し、ドローインで広がったということで、先に出ていた研究と同じです。ここには出ていませんが、原文にはドローインにクランチを併用するとドローインのマイナス効果を打ち消すというような言及があります。

原文はこちらをどうぞ

http://www.physiotherapyjournal.com/article/S0031-9406(15)03778-5/pdf

 

 

腹直筋離開に対する運動の長期的効果について

即効性の効果は分かりましたが、今度はそれが継続して効果的かという部分を調べた研究をご紹介します。

 

【腹直筋離開を有している初産婦に対する産後訓練プログラムの効果:ランダム化比較試験。】

Effect of a Postpartum Training Program on Prevalence of Diastasis Recti Abdominis in Postpartum Primiparous Women: A Randomized Controlled Trial.

著者;Gluppe SL, Hilde G, Tennfjord MK, Engh ME, Bo K.

出典;Phys Ther. 2018 Jan 17. doi: 10.1093/ptj/pzy008. [Epub ahead of print]

【概要】

175名の初産婦(平均29.8才±4.1)は運動群または対照群にランダム化された。腹直筋間の幅は指の幅を使って触診され、指2本分の幅を腹直筋離開の目安とした。白線上の計測場所は、へその4.5cm上の部分と、4.5cm下の部分で行われた。4カ月間の介入は、産後6週間目に開始され、骨盤底筋肉の筋力トレーニングに焦点を当てた指導を受ける運動クラスで1週間が構成されていた。さらに、女性は自宅で毎日の骨盤底筋トレーニングを行うように求められた。対照群は介入を受けなかった。分析は治療目的に基づいて行われた。Mantel-Haenszel(相対リスク比)および独立性のChi Squareテストを用いて、カテゴリー間の差異をカテゴリーデータで評価した。P値は<.05に設定した。腹直筋間の幅の触診対象者は、離開がある人も、ない人も含まれていた。

結果は、産後6週の経産婦で、参加者の55.2%(介入群)および54.5%(対照群)が離開と診断された。6ヵ月(RR:0.99 [0.71,1.38])、または出産後12ヵ月(RR:1.04 [0.73,1.49])のベースラインで有病率の有意差は認められなかった(RR:1.01 [0.77-1.32] )。従って、毎週の経産婦における指導されたエクササイズ・プログラム(骨盤底筋と腹筋群の強化トレーニングを含んでいる) や、毎日の骨盤底筋のホーム・トレーニングの実践は、腹直筋離開の有病率の減少に繋がらなかった。

 

ノルウェースポーツ科学大学研究チームによる2018年発表の最新版の研究です。この研究では腹直筋離開がある人もない人も研究対象になっているようで、4ヶ月間に骨盤底筋をターゲットにした運動をしたグループで離開がある人が55.2%、特に運動しなかったグループで離開がある人が54.5%と、腹直筋離開者はほぼ半数くらいの割合を占めていたようです。

産後6週で計測とトレーニングを開始し、トレーニングは4ヶ月で終了、その後産後6ヶ月目と、12ヶ月目に離開幅の計測を再び行って、変化は見られなかったという結論を得ています。

 

腹直筋離開改善のための腹部運動の研究結果に対する考察

腹直筋離開に対する腹部筋群の運動療法の効果でしばしば言及されることは、即時効果はあるが長期に渡る効果はないのではないかといったことです。ですがまだまだ分からないことが多く、研究自体もこれからといわれている分野で、いろいろと疑問点が浮かびます。

 

①ドローインの収縮強度により結果に違いが生じるのか?

ドローインは収縮強度により動員される腹部の筋に違いが生じます。そのことにより結果に変化が生じるのかどうかといった部分が議論になります。腹部の収縮様式と効果の違いに関しては次回に考察していきます。

 

②運動療法の介入期間の長さで効果に差が出るか?

介入期間が短いと効果が出づらいことも想定されます。6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月の介入であればどうなのか、という疑問も沸いてきます。

 

③ドローインとクランチ以外の腹部エクササイズでの成果はどうか?

腹部の運動はクランチやドローイン以外にも多数あります。それらに対する研究はまだあまりないようです。また、巷ではピラティスの運動はやってはダメだとか、ヨガはやってはダメだとか発言している人がいますが、実際にそのことについて研究している論文は見たことがないので何とも言えません(探せば有るかもしれませんが)。したがって、それらの様な他の種目の運動形態との比較も必要と考えられます。

 

④離開の重症度と、運動効果との関係も漠然としている。

どんな怪我でもそうですが、症状が重いほど治りが遅いものです。腹直筋離開は重症度の基準も決まってないので、どの程度の症状レベルでは、運動療法でどの程度回復できるというのも分かっていません。その辺も今後の課題とされています。

 

⑤運動強度の設定

「骨盤帯 臨床の専門的技能とリサーチの統合」(Diane Lee著)では腹部深部筋の運動と白線の変動の超音波によるモニター法を掲載されていましたが、そこでは腹部緊張を生じさせるのに頭部のカールアップ(持ち上げ)を用いて評価していました。その動画資料を見た限りでは、その状態では別段離開幅が減じているようには観察されませんでした。

頭部のカールアップは腹直筋の離開幅を計測する際の基本的なポジションで、腹直筋が軽度緊張することにより腹直筋の輪郭が鮮明になり、幅を計測しやすくなります。この時、両足は膝を曲げて足裏は接地した状態です。一方、クランチ・ポジションは頭部は同じようにヘソを覗き込むように持ち上げるのですが、両足も股関節・膝関節ともに90°に曲げるように持ち上げ、空中に浮かせキープします。こうすると、さらに強く腹直筋が収縮します。

ここまで強く収縮させると離開幅が狭まってくるということになります。ところが、これ以上の腹圧がかかるような強度の高い運動(例えば仰向けで両脚を伸ばして45°の角度でキープなど)を行うと、今度は腹部の突出が起こります。どの程度の負荷設定が最適かも考える必要があります。

 

⑥個別対応との違い

実験の場合、被験者に対する条件を統一するために指導される運動は一律です。多様性に富んでしまうと結果が混沌としてしまい、比較することができなくなってしまう可能性があるからです。一方、実際の施術現場では運動指導は個々人に合わせ指導されることが一般的です。したがって、研究で行われた結果をそのまま現場の成果予想に当てはめることは出来ないということに留意する必要があります。

 

腹直筋離開改善のための腹部運動に対する当院の考え方

少なくとも現時点で科学的に効果が実証されているのは、外科手術以外では、有効性の高い低いは別として、腹部の運動療法のみになります。いろいろ眉唾ものの情報はネットで流布されていますが、それよりかは信憑性があります。他に方法がないのであれば、漠然とであれ効果が認められる方法にアプローチを絞り、より効果的で、成功率を高めるやり方がないかを考えていくほうが有益であると考えています。

矯正は腹部運動の効果を最大限に発揮するための下ごしらえとして行います。反り腰であれば、当然お腹が前方へ突出しやすくなります。お腹の前方への突き出しは、腹部の筋を伸ばし、筋力の弱化を促します。腹部の筋が弱く、反り腰になる可能性もありますが、その場合も胸郭や股関節との関連があるので、全体の姿勢改善を行うことは反り腰修正に役立ちます。

同じ運動を行っていても、人それぞれ必要となる筋の能力は違うので、やり方が違ってきます。上腹部をターゲットにしているのか、下腹部をターゲットにしているのか、右の腹部をターゲットにしているのか、左腹部か、層状に存在しているどの筋をターゲットにしているのかなど、アレンジすべき点が違うからです。

腹部深部筋は背骨・体幹の安定性や姿勢の維持に機能的に重要であることが分かっています。腹直筋離開の幅の改善にはつながらなくても腹部深部筋の強化はでき、そのことが体幹安定機能の向上させていることも報告されています。したがって多少のマイナスがあっても腹部深部筋が使えていないなら訓練する価値があります。これは以前のブログのどこかで述べたと思いますが(結構しょっちゅう言ってると思います)、リスクを上回るベネフィット(利益)があれば行う意義はあります。逆にベネフィット(運動)を取らないためにリスク(体幹筋が弱くなり、離開が広がる)が増大する可能性もあります。

また単純に、腹直筋の筋断面積が太くなれば、それだけ離開が押し戻される効果もあるのではないかと考えています。当院ではこれらの観点から腹部運動の指導に取り組んでいます。

 

まとめ

今回は腹直筋離開に対する腹部運動の効果の検証を、発表されている研究を題材にご紹介していきました。次回は腹部運動のことをさらに細かく述べていこうと考えています。今回は、だいぶ長くなりましたね。ごめんなさい。

では、今回はこの辺で失礼します。

 

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