「カイロプラクティックの安全性/危険性」シリーズを始めるきっかけ

今回の記事は、2016年5月初出の記事の加筆、修正したものになります。

 

 

1,序文

突然ですが、私はあまりテレビ、新聞を見ません。

マスメディアの偏向報道が嫌いだからです。

朝日新聞の慰安婦ねつ造報道を見て下さい。嘘の報道したばかりに、その報道を拠り所に韓国人が不当な非難(と請求)を繰り返している様。

こんな感じで偏向報道から、それに便乗して過剰に騒ぎ立て、より偏向を大きくするものがでてきます。

こうゆう風潮が見てて腹立たしいのです。

これと似たような状況が、カイロプラクティックを含む手技療法の世界にはたびたび起こります。

2016年2月にNHKのクローズアップ現代という番組で「肩こり解消”で思わぬ被害!?~癒やしブームの陰で何が~」という題目で放送されました。

ここでは、日本の現状における癒し産業の危険性を訴える内容で、たまたま帰宅してテレビをつけたら深夜の時間帯にやっていたので、見入ってしまいました。そこで、「安全性」というものについてカイロプラクティック側の関係者として、消費者である皆様に提示していかなくてはいけないなと思い、ブログのテーマとして取り上げる事にしました。

そしてこの番組の内容をネタに自分たちの施術院の優位性・安全性を訴えようと、内容を無意識なのか、意識的なのか分かりませんが曲解して、または内容をすり替えて解説している施術院のブログもちらほら散見します。

 

 

 

2、検証① 番組内での事例1

他業種(鍼灸や柔整)からのカイロプラクティック業界を攻撃するネタとして、今回の放送内容を歪曲して伝えている一例を挙げてみましょう。

番組内では2つの被害ケースを紹介していました。
その内の1つクローズアップ現代Hpより引用させていただきますと

部品工場で、立ち仕事をしていた男性は長年、腰痛に悩まされ、3年前、近くの「整骨院」に通い始めました。
ある日、腰痛に加え、右腕にしびれを感じました。

それをスタッフに伝えると…。
首を治せば、楽になると言われ、首を左右に急回転されました。
しかし、帰宅後、全身の激しい痛みに襲われたといいます。

 

この様な内容で放送されたものでした。

ここで先ず問題とされるのが、「首を左右に急回転された」という件です。通常、カイロプラクティックの頚椎の矯正には、機能障害を起こしているだろうと思われるところに、それが改善するであろうと推測される方向に矯正力を加えます。ですので、特別な事情が無い限り右からも左からも力を加える事はありません。あっちこっちからやったら矯正のベクトルがごちゃ混ぜになるからです。

それ以前に、この症例の方は手の痺れが出ている、しかも以前より腰痛が出ている、という状況をみると進行性の中枢神経問題も考えられはずでした。それに対する検査等を行ったかもここでは不明です。また、この様な場合は通常ではなるべく刺激は控えめにし、経過観察してみたり、医療機関での受診をお願いするのが常套です。

当ブログ「保険と整体」の記事内でもご紹介させていただいたように、カイロプラクティックの手技はカイロプラクターが学んで行うものです。本来、整骨院(柔道整復士)の学校では教わる内容はありません。そのため、今回放映された手技に関してもどのような手技だったのか実は明確にされていないのです。

しかし、これをとある鍼灸院や整体院のブログでは「カイロプラクティック院」で施術を受けたと改ざんして紹介してありました。

 

PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像

 

 

3、検証② 番組内での事例2

もう一つ問題となるのは、放送の内容は本当に両者の事実を伝えているか?ということです。そのことについて、番組内で紹介せれていた被害ケースのもう一つの方でご説明させていただきます。これも先ほどのHPより引用させて頂くと

近所に新しく出来た施術所で、なかなか肩のこりが取れないと訴えた女性。

すると男性スタッフは、2人がかりで施術を行いました。
1人が体を押さえ、もう1人が肩から腕にかけ、全身の体重をかけるように強く押し続けました。

朝、右腕は内出血を起こして、変色していました。
強く押されたせいで、毛細血管が破裂していたのです。
整形外科に通い、治るまでに1か月かかりました。

その時の内出血した二の腕の画像を見たいただければ分かると思いますが、常識的に言ってまともな施術院ではそこまで強い圧力で押す事は無いと思います。しかも2人がかりって…。

この様な場合よくあるのが、逆に利用者自身が「もっと強く押して、もっと強く押して」「そんなんじゃ、利かないな~。もうちょっと強く押せないかな~。」などと強く押す事を強要する場合です。実際、当院で遭遇した人でも、こちらが「強く押す事は、筋肉の線維を痛める事になって、良くないですよ。」と説明しましたが、「あんた、やる気ないね~」などと逆切れしてきました。

今回の番組内では、被害者が「やめてくれ」と拒絶した状態なのにグイグイ押されたようですが、業界内で起る事故では、傍から見ていると本当のところはどうなんだろう?と思われる事もよくあります。テレビと言うのは現実に起った一側面しか映さないで、テレビ局側が持って行きたい方向へイメージ操作する性格があります。

現実的には、無理な施術をするところもあると思いますし、そのような事は言語道断ですが、その事故があった背景と言うのをもっと掘り下げて考えていく必要があるな、と感じたのでした。

 

 

 

 

4、検証③ 番組内でのイメージづけ

番組内では進行役のキャスターは、国家資格である柔整(柔道整復師)やあ・は・き師(按摩・マッサージ・指圧師及び鍼師・灸師)は安全で、民間資格者は一方的に事故を起こすようなイメージ付けに導くような進行ぶりでした。

しかし、ゲスト解説者の矢野忠・明治国際医療大学特任教授は、やはり学者として、国家資格者・民間資格者双方共に事故は起っていると言う事を、変に偏ったイメージ付けでなく、公平な正しい事実を述べていました。

以前に、このブログ内でもお伝えしたように資格的な優劣よりも施術者個人の「知識」「技術」「心構え」の熟練度の優劣が大事であると思います。また、施術者はクライアント様の安全第一で技術の提供をしているので、受け手であるクライアント様はそれを尊重し、ご自身の思い込みで強い刺激や過剰量の手技の強要などしないことが、双方にとって大事だと思います。

 

 

PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像

 

5、カイロプラクティックの矯正技術に関して

そもそも民間資格に位置するカイロプラクティックは、いい加減なモノで信用に足るものはないのでしょうか?いえいえ、そのような事はありません。先ず、アメリカではカイロプラクティックは保険適応であり、疾患にもよりますが、高い信頼度を誇る医学系学術論文などもいくつも発表されて、有効性が認めれれています。また、腰痛などではアメリカやヨーロッパでは、医師サイドからの治療ガイドライン内に慢性期の腰痛に対する治療法の一選択肢としてカイロプラクティックが推奨されています。

この間、参加させていただいたカイロプラクティックのセミナーでは、参加者のほとんどは柔道整復師や鍼灸師の先生達でした。現在は、保険診療の点数が下がってきて、それだけでは経営が難しいことから自費治療に移行を図っている接骨・整骨院が多くあります。そのため、カイロプラクティックを導入しようとする先生達が大勢いるのですね。

そこで考えていただきたい事は、もし民間療法であるカイロプラクティックが格下で、柔道整復や鍼灸・マッサージが格上であるならば、わざわざ格上のものが格下のものを教わりに来るのか?ということです。

答えは簡単ですよね?わざわざ教わりに来られた先生達は、従来の手技療法とカイロプラクティックは別物であり、上下の比較をするものでは無い、と分かっているからお金と時間をかけてきているわけです。

以前にも言及しましたが、カイロプラクティックも法制化してくれると一番問題ないのですが、とにかく業界内のまとまりが無いので当分無理です。人がいっぱい集まる組織では、大抵そんなもんですよね。とは言え、業界人の端くれとしては、カイロプラクティックの地位向上のために、一刻も早く法制化されることを願っています。

 

6、まとめ

今回は、癒しブームに対する警鐘としてNHKが放送した番組が評判になったことを受け、当院が思うところを載せてみました。次回以降より、カイロプラクティックの安全性を議論する上で必要なエビデンス・レベルの高い学術論文のご紹介をしていこうとおもいます。正しい知識がないと議論のしようが無いですからね。よくあるのが、正しい知識も無く、正しい根拠も無く、感情論だけで好い・悪いを語っている場面が多いですが、それでは何時までも実りのない議論になってしまいます。ですので、まず議論するに前提となるエビデンス・レベルの高い学術論文を提示しないといけません。前々よりやろうとは思っていたのですが、何しろ全部英文なので訳すのが面倒くさい。。。(日本語の論文があまりないので)。

 

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