保険と整体

【今回の記事は以前、他のブログ掲載していたものを転載したものです(2016年3月初出)。】

 

たまに来るお問い合わせで「保険使えますか?」というのがあります。

結論を先に述べさせてもらうと

 

いかなる整体・カイロプラクティックも

保険の適応になりません!

 

今回は、このテーマについてご説明いたします。

 

 

 

1、健康保険が適応される範囲

健康保険が適用されるものは、医師、歯科医師が行う医療(医業)行為に対するものです。そして、医療(医業)類似行為とよばれる、いわゆる手技療法のなかの一部が適応になります。

医療(医業)類似行為とは何か?というと

①鍼灸師(はり師、きゅう師)

②按摩・マッサージ・指圧師

③柔道整復師

となります。これらは国家資格となります。

カイロプラクティックは民間資格となります。従って、カイロプラクティックや整体は、法律上はエステティックや、リフレクソロジーと同じような慰安行為にはいります。ですので治療とみなされず、保険の適応にもなりません。確定申告の医療費控除にも適用できません。

 

2、民間資格VS国家資格

ここで一つお断りを入れておきますが、世間的に一部では国家資格が勝っていて、民間資格が劣っている、というようなことを言う人がいますが、それは施術者各個人の技能・知識レベルの優劣の違いで差が出るのであり、資格自体に優劣は関係ないと思います。中にはお粗末な資格もあるとは思いますが、真っ当なカイロプラクティックをやっているところはそんなに問題ないのでは。。。ただし、その真っ当なのっていうのが難しかったりするのですが。

例えば、病院の精神科で活躍している心理カウンセラーという職種がありますが、あれも全て民間資格です(2017年から公認心理士という国家資格ができますが)。とは言え臨床心理士などは専門大学院を出ないと取得できませんし、取るのが難しいと言う事です。

第一、はり師・きゅう師(一般に鍼灸師という)や按摩・マッサージ・指圧師だって昭和22年になって国家資格になった訳で、それ以前は資格は無かった事になっています。

という訳で、カイロプラクティック業も早い事、国家資格化してほしいのですが、現状からすると当分無いですね。業界自体がまとまり無いですから。

 

 

 

 

3、各種医業類似行為に対する健康保険適応の条件について

3-1、鍼灸治療における保険適応の場合

鍼灸院の中では、保険が使えるという事を謳っているところもあります。しかしその症状について、いきなり鍼灸院に行って保険を使おうとしても使えません。前提として、先にその症状で医師に治療を受けていることが必要になります。そして、そのかかりつけの医師より同意書なり紹介状を発行してもらう事で保険の適応ができます。

昔、自律神経免疫療法の鍼灸師の会が存在していた頃(現在は医師の会と合併統合)、私は鍼灸師ではありませんので鍼は打てませんが、賛助会員として参加させて頂いていました。その流れで、いくつか鍼灸師の症例報告会などにも参加させていただいた事があったのですが、その中のお話で、鍼灸治療によほど理解のある医師でもない限り、医師サイドから患者様が紹介されてくることは滅多に無い、というお話でした。

特に整形外科的領域では(手技療法の業界に訪れる患者様は、この種の疾患が一番多い)、同じ専門の疾患を対象としているので、医師サイドが同業他社である鍼灸師に患者様を紹介するとい言うことは、自分の能力の限界を認めるようなもので、余計にそのような事は起こりずらいということです。

このようになかなか実情は難しいようで、鍼灸に保険を適応させたい院では、鍼灸治療に理解ある医院と提携を結び、そこで改めて同意書を作ってもらうと言う形をとっているようです。

また、鍼灸院で健康保険が適応できる疾患は6つに限られています。いづれも慢性の整形外科的症状のもので、①神経痛 ②リウマチ ③頚肩腕症(首肩の痛み全般) ④五十肩 ⑤腰痛症 ⑥頚椎捻挫(ムチ打ちなど) となっています。

 

3-2、按摩・マッサージ・指圧治療における保険適応の場合

マッサージ施術院における健康保険適応範囲は、骨折や手術後の障害や脳血管障害などの後遺症による筋肉の麻痺、関節が硬くなり動かしずらくなるなどの症状が対象です。

これも鍼灸院と同じように医師の同意書が必要になります。

 

3-3、整骨院・接骨院における保険適応の場合

整骨院・接骨院における柔道整復師の行う施術の場合、保険が適応になるのは、急性疾患の①骨折 ②脱臼 ③捻挫 ④打撲 ⑤挫傷 に限られます。したがって、筋肉疲労・肩こりなどは保険の対象になりません。また、リウマチ、五十肩、ヘルニア、神経痛など慢性期に移行したもの、または慢性疾患で治癒の見込みが立たず、漠然と長期的な施術になりやすいものも対象外です。

 

 

 

4、療養費と業界全体での揉めてる点

医業類似行為に対して支払われる保険料は、「医療費」とは言わず「療養費」と言います。もともと療養費とは、手元に保険書が無い時に医療機関にかかり、一旦、全額自己負担で払った場合、費用を後から保険組合から請求して戻してもらう保険料の事を言います。それとは別に、整骨・接骨院(以下 柔整)や按摩・マッサージ・指圧・鍼灸(略してあ・は・き 以下同じ)の施術所に対する費用も療養費と言います。

療養費給付については、柔整の不正請求や混合診療は良い悪いとか、そもそも「医療費」ではなく「療養費」だから保険外治療との混合にあたらない、などの議論がかなり前から色々ありました。

そして、前述のようよにあ・は・き師では保険適用に医師の同意書が必要など手続きが煩雑なため、あまり保険適用がなされず、自費治療がメインになっています。逆に、基本的に医師の同意書がいらない柔整では、保険治療がメインになっています。

ですので、本業の指圧・按摩・マッサージ師が保険を使えない(使いずらい)のに、本業でないマッサージ業務を保険を使って行っている柔道整復師がいるのは、けしからん!という議論も起っているのです。

 

5、整体・カイロプラクティックの保険適応

さてさて、本題の「整体・カイロプラクティックには保険が使えない」という件です。

医業(医療)類似行為で保険が適応なる範囲は、今まで述べてきたように各々の手技療法が、その決められた手技の中で、決められた疾患・症状に対してのみ適応となります。まとめますと、、、

①鍼灸師(はり師、きゅう師)は、鍼・灸の施術を行うことによって、慢性疼痛疾患である6つ(神経痛、リウマチ、頚肩腕症、五十肩、腰痛症、頚椎捻挫)に対して医師の同意のもと保険が適応になります。

②按摩・マッサージ・指圧師は、按摩・マッサージ・指圧の施術を行うことによって、骨折や手術後の障害や脳血管障害などの後遺症による筋肉の麻痺、関節拘縮に対し医師の同意のもと保険が適応になります。

③柔道整復師は、罨法、電療、後療・整復、固定などの加療により、急性・亜急性の骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷(骨折、脱臼は応急処置以外は医師の同意の下)に対し保険が適応になります。

ちなみに柔道整復師の行う整復とは、脱臼などの整形外科的疾患に行うためのもので、カイロプラクティックなどが行う骨格矯正とは根本的に内容が違います。整骨・接骨院での保険適応では、症状を起こしている患部が対象となり、局所的な処置になります。骨格矯正は全身を見ることを基本とするので、そもそもの成り立ちが違うのです。

これからも分かる通り、整体やカイロプラクティックが行う矯正手技は、上記のような保険の範囲には一切含まれておらず、これらの施術者は整体やカイロプラクティックの手技を教育機関では教わる事はありません(最近では、業務差別化のため教えているところも出てきたようですが、まだまだ極めて少数です)。

この様な理由で整体・カイロプラクティックは保険は使えません。もっと言うと他の代替療法全般(オステオパシー、ホメオパシー、アロマ、AKAなどなど)も一切も使えません。

 

 

 

6、まとめ

基本、手技療法は全て自費でやる、と思っていたほうが良いです。昔は景気もよかったので、「保険使えま~す」となあなあでやってる整骨院もありましたが、今は不景気なので健康保険組合もお金が無く、厳しくなってきました。整骨・接骨業界もどんどん自費治療に移行しているところが出てきています。

健康保険に関する疑問に今回の記事が少しでもお役に立てれば幸いです。では、今回はこの辺で。

 

 

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