スポーツ現場における女性周期のコンディショニング

【今回の記事はブログ統合のため、他ブログより転載したものです(初出2016年3月)。】

今日は、ダフィーカイロプラックティックの坂木です。

スポーツ業界では今、女性に対するコンディショニングということが熱いテーマなのでしょうか?先月、今月と立て続けに、スポーツ現場における女性に対するコンディショニングと言う事でシンポジウムがあったので、トレーナーの端くれとして私も参加してきました。

 

 

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参加させていただいたのは以下の2つ

①2016年 日本臨床スポーツ医学会 公開シンポジウム
『女性アスリートの健康を考える』

②スポーツ庁委託事業 女性アスリートの育成・支援プロジェクト
「月経周期を考慮したコンディショニング法の開発」事業主催シンポジウム
「指導者と考える 女性アスリートのコンディショニング法」

今回の内容は、そこで得た知識を忘備録として、また皆様に知識のシェアするために書いていこうかと思います。

女性アスリートで問題になるのは、月経不順・貧血・疲労骨折の3大疾患です。

 

 

1、女性の性周期

先ず、はじめにこれを抜きにして女性のコンディショニングは語れません。男性と女性の大きな違いは性周期が有るか無いかですから。

 

1-1、女性周期の一般的な認知度

エストロゲンとプロゲステロンを中心とした女性ホルモンが、女性の一生に大きな影響を及ぼします。そして、閉経以前はこれらのホルモンは周期的なリズムを持って体に変化をもたらします。

生理は不快感を伴うことが多く、それで悩まされている女性もいるので、生理なんて無い方がいい!と思われている方もいらっしゃいます。しかし、困った事に女性の骨代謝には女性ホルモンが大きく関わっているので、月経異常の方は骨粗しょう症になったりします。

中高生の女子選手の中には、学校の保健体育で性周期の授業を受けたにも関わらず、あまりよく分かってない場合もあります。

 

1-2、女性周期と心理的状態の関係

スポーツ選手のコンディションを考えていく時、特に疲労からの回復(リカバリー)や運動パフォーマンスとの関わりで性周期も考慮していく必要があります。

生理痛などの不快症状があると、運動パフォーマンスの低下があります。また、性周期に合わせ、精神的・心理的な特徴が出やすくなります。

性周期に合わせた心理的変化の傾向は、性周期を4つに分割すると、月経開始から1週目が気分の落ち込みが感じやすい時期で、エストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)ともに低値ですが、排卵にむけて徐々にエストロゲンが増加してきます。

次の週が急激にエストロゲンの分泌が盛んになり、この時期は気分が昂揚し、活力的になります。

14日辺りで排卵を迎えると、エストロゲンの分泌量は落ちますが、代わりにプロゲステロンの分泌が盛んになります。この週は、引き続き気分的には活力的ですが、感情に浮き沈みが出やすくなります。

4週目に差し掛かると、エストロゲン・プロゲステロン共に低値になり、精神的落ち込み・イライラ感などを感じやすくなります。

女性アスリートでは、大別すると卵胞期では活力的になり、動きやすくないりますが、黄体期では疲労感を感じやすくなります。これが無月経になると感情の起伏は少なくなります。

一方、筋力や心拍などの身体機能に関しては、性ホルモンの変動には関係ないと研究結果がでています。ただし、個人差があるので、それをどう捉えるかが問題となります。

 

1-3、女子アスリートと女性周期における変化の対応

例えば、ある女子選手が疲労感を強く訴えていたとすると、それが性ホルモンの影響で出ているのか、オーバー・トレーニングで出ているのか、という問題が出てきます。その際のリカバリー(回復の仕方)のアプローチの仕方に違いが出てきたり、練習メニューの見直しなどを行う必要がでてきます。

また、性周期の体調が不調になりやすい時期に、大会・試合が重なる場合などの対処法も練っておく必要がでてきます。どのようにコンディションを合わせていくか。さらに個人競技の場合とチーム競技の場合でも違いがあり、チーム編成などの問題も絡んできます。

このように女性アスリートのコンディショニングには色々な要素が絡んできますので、先ず基礎体温表をつけ、それに対する心理状態や身体的状態を記録し、ご自身が女性周期のそれぞれの期間でどのような心理的・身体的状態になるのか常日頃から把握しておく事が必要になってきます。

そのためには、PMSメモリーを使うと便利です。

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また、指導者はその事を把握し、的確に対処する必要があります。

 

 

 

2、女性アスリートに特徴的な疾患

女性アスリートでよくみられる疾患は、月経異常・貧血・疲労骨折などです。これらはそれぞれが関連があります。

 

2-1、貧血の問題

女性の場合、男性に比べ貧血を起こしやすいといわれています。それは月経により血液に対する影響が大きいからです。

特にスポーツ競技を行っている女性の場合、一般的なヘモグロビン値は12~14g/dLとされていますが、筋肉量が増えるとそれだけ血液の消費量も増えるので、基準値でも貧血状態になってしまうことがあります。ですので、さらに多目の15~16g/dLは必要ではないかということでした。

 

2-2、疲労骨折の問題

通常ですと疲労骨折は、骨の同じ部分に継続的に負担がかかる事によって起ります。女性の場合、骨の代謝と女性ホルモンは密接な関係があるので、無月経症などの月経異常が起ると、骨代謝が狂い、骨粗鬆症になりやすくなります。

特に、長距離ランナーは長時間、地面からの同じ刺激を受け続けるため、疲労骨折を起こしやすいのです。

 

 

3、女性アスリートにある特徴的な疾患を防ぐために

上記で取り上げた疾患の根本的原因として「低栄養状態」がある、ということが最近の各種研究により分かってきました。

 

3-1、栄養的な問題が、女性アスリートのコンディション不良の下地になる

摂食障害・無月経・骨粗鬆症を女性アスリートの3主徴といいます。そしてこれらのスタートとしてエネルギー不足があります。1日の消費エネルギーは、基礎代謝+活動消費分で、これが等しければ体重は維持できます。

LBM(脂肪を除いた身体組織での体重)あたり30kcal/㎏を継続的に下回るとホルモン分泌異常や生殖機能に異常が出るとされています。無月経になるとT3(甲状腺ホルモン)の分泌低下し、代謝機能が低下します。

審美的競技(新体操・体操競技など)は、見た目の体型が重視されるので、やせるために食事制限から栄養不足に陥り、月経異常を引き起こす代表的種目手です。そのほか、体重階級別の競技や、身体が軽い方が有利な種目でも同様に、食事制限から栄養バランス異常を引き起こします。

月経とは出血しているのと同じ事なので、栄養不足で貧血気味になると、出血を抑えようと月経異常をきたします。それが悪化すると無月経となるのです。無月経は、女性ホルモンの働きが止まっている状態です。そのため、骨代謝異常になり、骨粗鬆症に発展します。

 

3-2、思春期の時期が大事

一般的な考えとして月経異常や骨粗鬆症などの症状が起こったら、そこで対処を考えればいいや、もしくはその兆候が出てきたら予防策を打てばいいや、と考え勝ちです。しかし、実際にはもっともっと前段階の小学校高学年あたりが重要なのです。

女性は標準として、小学校高学年~中学生あたりが身体が伸びる成長期であり、第二次性徴期となります。一般に思春期とよばれる期間です。女性アスリートのコンディション作りにおいても、この時期が大事で、ここで出来た身体的な土台がその後の競技生活を送る上で重要になってきます。

講演会で発表された統計によると、女性アスリートの疲労骨折は16歳がピークとなっています。実は、骨密度の増加は9~11歳当たりで急激に増加します。この時もしくは、これ以前の成長ピークを迎える前に体重増加していないと、望むような成長ピークを迎える事ができない、そのため骨密度が増えないと言う事がわかってきています。

成長期の頃に食事を3食しっかり摂っていない、お菓子などで代用している。朝食を食べない、などの行為が月経異常を引き起こす土台となっています。そしてその後の中高大学とスポーツ競技を行う中でも栄養管理をしっかり行うことが、コンディションを整える上で大事と言う事が強調されていました。

 

4、まとめ

今回は、今年に入って行われた女性アスリート向けのシンポジウムに於いて発表された講演から、内容をかいつまんでご紹介いたしました。本当はもっと多分野にわたり有益な内容が一杯あったのですが、まだ自身が咀嚼しきれていないので、自分自身がもっと理解が進んでからご紹介していければ良いなと思っております。

今回は、この辺で。では。

 

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