自律神経失調の原因について

 

今回は、「自律神経の構造」「自律神経の反射」「ストレスで自律神経失調が起る訳」についてご紹介していこうと思います。

よくネットなどの情報には、「交感神経は体を興奮させ、副交感神経はリラックスさせる神経です、これがストレスなどで乱れると自律神経失調になります」などと書かれています。

しかし、これだけではちょっと簡略すぎですよね?
そこで、もう少し掘り下げて自律神経のメカニズムと、それが乱れる原因を探っていきたいと思います。

自律神経イメージ/神奈川県大和市の整体【ダフィーカイロプラクティック南林間】photo credit: via photopin (license)

 

1、自律神経には交感神経と副交感神経があります。

自律神経には、体を興奮状態にさせて運動しやすくする働きがある交感神経と、反対に筋肉の興奮を押さえ内臓の働きを促す副交感神経があります。これらの神経には各器官に命令を伝える神経線維だけでなく、情報を中枢へ送る神経線維も含まれています。

交感神経の働きは「闘争・逃走反応」と表現されます。これは動物では、相手に食べられないように逃げる時には、急いで逃げなければいけません。また、食べ物を捕らえる時も、特に狩などをする時、モタモタしていたら相手に逃げられてしまいます。このように何らかのストレスを受けた時や、行動を起そうとする時に交感神経が働きます。血管を収縮し、血圧を上げて、内蔵や皮膚から筋肉へ血液の供給を増やし、筋肉を動かしやすくします。

副交感神経は、消化器や分泌腺の働きを促し、エネルギー確保の働きがあります。交感神経の働きはエネルギー消費にあたりますので、その働きを押さえる役目になります。

自律神経と同じような働きをするものに内分泌系(ホルモン)があり、自律神経系と内分泌系は共同作業で体の恒常性を維持しています。そのため自律神経とホルモンバランスは調節しているところが視床下部というところで同じです。

更年期の時、自律神経が乱れやすいのは、このように同じ部位で両方の調節をしているので、更年期でホルモンのバランスが崩れると、自律神経も引っ張られて影響を受けてしまうからです。

 

2、自律神経のシステム

人体の神経の構造は、中心部である脳と、そこから出ている神経線維の集まりの太い束である脊髄があります。ここまでは、頭蓋骨や背骨に守られています。そして、背骨から外へ出て、色々と分岐して支配している組織のところまで神経線維は伸びています。この、骨で守られている部分を中枢と呼び、背骨から出て末端までのところを末梢と呼びます(一部の末梢神経は馬毛といい背骨の中を通ります)。

 

2-1、自律神経の中枢部

自律神経の命令系統は、大脳辺縁系・視床下部から出てます。交感神経の場合は、そこから肋骨のついている背骨(胸椎)あたりにある脊髄で、交感神経節前ニューロンという神経細胞に命令伝達を引き継ぎます。ここから先は、背骨の外に神経線維が出て行くので末梢部の項で説明します。

一方、副交感神経は脳幹の部分ですぐに副交感神経節前線維に引継ぎを行ってしまいます。
これは、頭部にある副交感神経系統と迷走神経という内臓の上2/3を支配している脳神経になります。また、内臓の下1/3を支配している副交感神経は、仙髄という胸椎と腰椎の境目にある辺りで神経の引継ぎを行います。仙髄から副交感神経の末梢が出ることになります。つまり胸椎部(肋骨のあるところ)からは副交感神経は出ていません。

2-2、自律神経の末梢部

交感神経は背骨から出るとすぐに、背骨に寄り添うようにある交感神経幹という神経線維の集まりの中に入り、再び新しい神経細胞に伝令を引き継ぎます。ここから先を交感神経節後線維と呼びます。そして運動神経や感覚神経と一緒になり末梢神経と呼ばれ、血管や内臓や汗腺などに分布します。

内臓の2/3を支配している副交感神経である迷走神経は、脳幹から節前線維が出て背骨の外を延々とお腹の方まで降りていきます。したがって、これが末梢部にあたります。

仙髄からでた副交感神経は末梢神経に乗っかって、主に骨盤内の内臓の近くまで行って、節後線維に神経を乗り換えて内臓まで到達します。

 

2-3、自律神経と間脳・辺縁系

間脳や辺縁系と言われても何それ?と分からない人も多いことでしょう。これらは、脳の一番深いところにあって、古い脳と呼ばれています。ここは、「本能行動と情動行動の統合を行うところ」とされています。また「自律神経系、内分泌系、体の感覚の統合」も行っている重要なところなのです。

では、本能行動とは何か?と言うと、食欲・喉の渇き・性欲・集団欲など学習しなくてもとる本能的な行動の事を指します。

次に、情動行動とは不快感・欲求不満・怒り・恐れなどの感情によって引き起こされる行動の事で、攻撃行動や逃避行動と言ったものを指します。

これらの行動を起すのには、自律神経の働きが不可欠なので、自律神経の命令系統の上位中枢と呼ばれています。特に自律神経に直接的に命令を下している間脳の視床下部は重要です。

自律神経失調イメージ/神奈川県大和市の整体【ダフィーカイロプラクティック南林間】

 

3、自律神経の反射作用

自律神経の働き方は次のように行われます。

内臓や皮膚からの情報は、末梢神経を上行し、脊髄やその上部の脳幹に入っていきます。その情報を元に体の状態を適切に保つように反射的に命令が出され、今度は交感神経や副交感神経を通って調節命令が伝わります。

反射作用は、情報が入ってくるとオートマティックに反応するシステムです。そこに大脳辺縁系周辺の偏桃体や海馬などから過去の経験や記憶から引き起こされる感情(恐怖、怒りなど)で修正された命令が自律神経をして通して、体内環境の調整を行います。

反射作用は、情報が入ってくるところと、命令が伝わって反応を起す場所の違いで、大きく3通りに区分されています。

2-1、体性-内臓反射

皮膚から外気温が暑いという情報が感覚神経を通って脊髄・脳へ送られると、自律神経系が働き体温調節をしようと汗がでます。皮膚や筋肉、関節からの情報を体性感覚と呼びます。したがってこのように体性からの情報を受け取って、内臓や分泌腺が反応を起す自律神経の反射を体性-内臓反射といいます。

2-2、内蔵-体性反射

内臓が炎症を起したときに、その感覚が自律神経求心線維によって脊髄に伝わり、反射として腹部の筋肉を緊張させます。このような反応を筋性防御と呼び、内蔵-体性反射の一例となります。

2-3、内臓-内臓反射

動脈にある圧力を察知するセンサーで血圧が下がった事を知らせると、自律神経系が働き心拍を上げて血圧を保とうとします。このように内臓からの自律神経求心線維の情報が脊髄・脳に伝わり、内臓を調節するよう自律神経系が働く反応を内臓-内臓反射と言います。

実際の自律神経の反射は、これらの反応が複合して体内環境を維持するように努めています。

 

3、ストレスで自律神経が乱れる訳

3-1、心因的ストレスの考察

自律神経失調の原因として挙げられる筆頭に「ストレス」があげられます。
このストレスという言葉が使われる時、心理的な要因を指す場合が多いです。

しかし、本当にストレスが原因なのでしょうか?

「現代人は昔と違ってストレスにさらされる機会が多くなった。それが自律神経を失調させる原因です。」

よく語られる台詞です。

でも、よく考えてみてください。
江戸時代より前は、飢えや戦、疫病などがあり、戦後以前は戦争など、命の危険にさらされるという最大のストレスが降りかかってくる機会が現代よりはるかに多くありました。
それが証拠に現代では、昔に比べはるかに平均寿命が高くなっています。

つまり、心因性の他にも多分に他の要素も入ってきていると思われます。人間には、負の感情(恐れ・怒りなど)を生むだけでなく、それを押さえる逆の働きをする機構があります。幸福感や快感などがそれですが、これを生み出す機構に報酬系という脳内のシステムがあります。

この神経系統は、ドーパミンという神経伝達物質で作動する神経系です。カイロプラクティック的な考えでは、この報酬系というシステムが上手く働いていない事が一つの原因と考えています。

このことに関してはこちらの関連記事もお読みください。

>>別サイト禁煙支援・依存症について

>>当サイト「禁煙支援・依存症について」

また、ストレスには心理的要因の他、栄養学的の不摂生、運動不足や睡眠不足などの生理学的な事、骨格からの神経的な不均等など多様な原因が含まれます。

 

3-2、大脳辺縁系

では、話を心因性の要因と自律神経の話にもどしてみます。

大脳辺縁系は前述の通り、脳の中心深部にあり、扁桃体、海馬、海馬傍回、帯状回、中隔核で構成されています。特に扁桃体は視床下部とつながりが強く、恐怖や怒りといった感情に関係します。また、扁桃体は側頭葉と連絡していて、視覚情報が扁桃体へ入るので、見たものから記憶情報と照らし合わせ、恐怖・怒りという感情が起る様になっています。

心理的な負荷がかかると、嫌悪感・不快感などの負の感情が生まれ、辺縁系から視床下部へ情報が伝わり、それに沿って自律神経系へ命令が出されます。そのため、心理的負荷がかかり続けていると自律神経系も過剰に働かされ調子を狂う原因となるのです。

したがって、心理的ストレスを解消することは自律神経の安定のためには大事なことである、ということは言えると思います。

 

4、まとめ

今回は、自律神経のメカニズムと、特に心理的要因が自律神経失調に繋がるプロセスを考察してみました。しかし、自律神経を狂わす要素は他にもいろいろあるので、またの機会にそちらは考察してみたいと思います。

では、神奈川県の整体【ダフィーカイロプラクティック南林間】でした。

 

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