癌闘病者の運動について(1)

今日は、ダフィーカイロプラクティックです。

当院では、たま~に癌の闘病者様に運動指導をすることがあります。

闘病生活で、筋肉が細り、体力が落ちたということで、何か出来ることないか?と尋ねられるためです。

癌患者の闘病中及び再発予防に運動が有効という研究が多数発表されていますが、実際、病院で運動指導がなされることは、まだそう多くありません。

ですので、今回は癌と運動についての研究をいくつかご紹介しようと思います。また、次回ではさらに具体的な方法を述べたいと思います。

この記事が、癌のための運動をしようと考えている方の何か参考になれば幸いです。

 

【癌の治療中及び治療後の健康を促進するための運動介入の開始】

Initiating Exercise Interventions to Promote Wellness in Cancer Patients and Survivors

《抜粋》

運動は、いくつかの一般的な癌の再発と死亡率の大幅な減少に関連している。運動する癌闘病者は、倦怠感を減らし、生活の質、身体機能、体組成を改善した。効果を得るための必要な活動量は中程度(時速2.5マイル(4㎞)で1日30分歩くなど)。運動のガイドラインは、週に150分の中程度または75分の強めの強度の有酸素運動と、週に2日の抵抗運動としている。リンパ浮腫、末梢神経障害、乳房再建、人工肛門などを伴う癌患者は、特定の予防措置に従う必要がある。

癌治療により有酸素能力が10~33%ほど低下する。その他、倦怠感、筋力低下、心血管機能の低下、神経障害、体組成の変化、および生活の質の低下を引き起こす。

治療中および治療後の運動は、乳癌および結腸直腸癌の再発および死亡率を30〜60%ほど低下させる可能性がある。

スローな抵抗運動のプログラムを実行した乳癌患者では、患部側の腕の筋力強化のほか、リンパ浮腫の発生率と重症度が低下した。

2009年、アメリカスポーツ医学会(ACSM)が、癌の運動研究をレビューし、闘病者のためのガイドラインを作成した。その中で、全てのがん患者に次のことを推奨する。

・すべての主要な筋肉群に対して、週に少なくとも150分の中程度または75分の高強度の有酸素運動と、週に2日間の抵抗運動を中程度から高強度で実施すること。

・ストレッチ系の運動も推奨される。バランス・トレーニングは主に高齢者やバランスに問題のある患者に適応される。

癌の治療期には副作用として、免疫力が低下し、悪心、嘔吐、倦怠感、皮膚発疹、末梢神経障害、脱毛、痛み、不安、うつ病、などが見られる。闘病者は、反応が重症化する前段階から副作用をコントロールすることを学ぶ必要があり、医療者は支援する必要がある。

治療後も長期にわたり副作用が続くことがあり、リンパ浮腫、倦怠感、末梢神経障害、不妊症、早期閉経、体組成の変化などが見られる。それぞれに合わせ、リハビリの運動プログラムを適応させる必要がある。また、リンパ浮腫には圧迫装具を併用するなども行う。

理想的には運動プログラムは、癌の診断が下されてから出来るだけ早期に開始した方が良いが、病気の期間のいつからでも開始するのに遅いことはない。機能的能力、体組成、生活の質を維持および改善し、充実した有意義な生活を送ることができるであろう。

 

2017年Oncology 誌掲載の記事です。

この論文での要点は以下になります。

①時速4㎞のスピードで1日30分程度の中強度の有酸素運動を、週5回週行う。

・週のトータルが150分になるように。会話が出来る程度のキツさの散歩(ウォーキング)を行う。

・もしくは、週のトータルが75分くらいの高強度(会話は続けられないほどのレべル)の有酸素運動(エアロビクスやランニングなど)でも良い。

②週に2日の抵抗運動(筋トレを行う)

③ストレッチも行う。

運動は、癌と治療による、倦怠感、筋力低下、心血管機能の低下、運動機能低下、神経障害、体組成および生活の質に改善をもたらす。

 

また、身体活動を控えてしまうのは推奨されないと述べられています。

 

 

【肺癌治療の一環としての運動トレーニング】

Exercise training as part of lung cancer therapy

《抜粋》

肺がん患者、特に非小細胞肺がん(non-small cell lung cancer/NSCLC)の患者の転帰を改善するのに運動が効果的であるという証拠が増加している。肺癌の最も頻繁な症状には、咳、呼吸困難、胸痛、喀血などがあり、体重減少、食欲不振、無力症などの全身症状も報告されている。発症初期と進行期の両方の肺がんの状況における運動トレーニングの目的、安全性、実現可能性、および効果を示す。

初期段階のNSCLCの患者では、腫瘍の外科的切除が治療の選択肢として最も効果的であるが、呼吸不全、肺炎、心筋梗塞、不整脈などの合併症が起こることが多い。

進行期では、一般的には化学療法、放射線療法、標的療法、免疫療法などが行われるが、呼吸困難、倦怠感、体重減少、および痛みが、肺癌自体の影響に、治療による影響が加わり引き起こされる。

ランダム化比較試験(RCT)の手術前運動プログラムの一例によると、手術前の1週間から4週間の期間で、1日2回から1週間に5回の範囲で、エアロバイクかトレッドミルを使用した、中程度の強度の連続した有酸素運動または高強度のインターバルトレーニングが用いられた。さらに全身の筋力トレーニングと、呼吸筋のトレーニングも用いられている。

術前運動プログラムに関する5本のRCTによると(167人対象)、手術後の肺合併症が67%減少し(リスク比(RR)(95%CI):0.33(0.17; 0.61))、手術後の肋間カテーテルが必要な日数が少なくなり(平均差(MD)(95%CI): -3(-5; -1)日)、術後の入院期間の短縮(MD(95%CI):-4(-5; -3)日)および術前6分歩行距離の改善(6MWD )(MD(95%CI):18(9; 28)m)が見られた。

退院後の運動プログラムでは、手術後5〜10週間で開始され、通常は6〜12週間(最大20週間)の期間であり、運動セッションは監視下で週に2〜3回実行される。在宅でも運動を行い、トータルで週5回行うようにする。運動プログラムには、中程度の強度の連続した有酸素運動またはトレッドミルでの高強度のインターバルトレーニングと、呼吸筋トレーニングや全身の筋力トレーニングの組み合わたものである。これらのプログラムは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者向けの従来の呼吸リハビリテーションプログラムと非常によく似ている。

8本のRCT(対象者450人)によると、運動した人は、最高酸素摂取量(peak VO2)、6MWD、日常生活の質、大腿四頭筋筋力、呼吸困難などの能力改善が見られた。

急性期/高度なステージの癌の患者でのRCTは6本あり(対象者221人)、トレーニングの開始のタイミングは、治療開始直前または治療中のいずれかであった。介入の長さは6〜12週間で、監視下の運動の頻度は週に1〜5日行われた。運動をした方が、術前6分歩行距離、日常生活の質に関してより良いスコアを出したが、呼吸困難に対しては明確な結果は得られなかった。

骨転移は、肺癌患者の約20〜30%で診断時に見つけられ、さらに35〜40%の患者が病期進行中に骨転移を発症する。前立腺癌の男性のデータでは、骨転移のある男性は、病的骨折、神経または脊髄圧迫、および生存期間の短縮、生活の質の低下をもたらすリスクがあることを示している。

従来では骨転移のあるがん患者には運動は避けられていたが、行う場合は影響を受ける部位に圧力がかからないように注意深くプログラムを設計し、実施する必要がある。

 

2020年発表の肺癌に関する運動の論文です。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは肺気腫や気管支炎などの病気の総称です。そのリハビリは、呼吸筋が硬くなるので、そのストレッチや、呼吸筋のトレーニングとして腹式呼吸・胸式呼吸の練習、呼吸補助筋としての腕やお腹の筋肉を鍛える、などを行います。有酸素運動も併せて行います。

肺癌の運動療法としては、COPDのリハビリに準じたメニューをこなすようです。

手術前の運動をすると、手術後の合併症の軽減やに入院期間の短縮につながりました。手術後の運動では、酸素摂取量や、筋力、呼吸困難等の改善につながったとあります。

 

 

【癌治療中または治療後の患者の癌関連疲労に対する運動およびその他の非医薬品介入】

Exercise and other non-pharmaceutical interventions for cancer-related fatigue in patients during or after cancer treatment: a systematic review incorporating an indirect-comparisons meta-analysis

《抜粋》

癌関連疲労感(CRF)とは、癌または癌治療に関連する倦怠感または疲労感による苦痛と定義される。健康な人が経験する倦怠感と比較して、CRFはより重度で、より苦痛を伴い、休息によって軽減される可能性は低く、癌治療完了後の5年以上継続することもある。

245本の研究からCRF軽減のためには、通常用いられるケアと比較すると、リラクゼーション運動は最高ランクの介入であり、標準化された平均差(SMD)は-0.77(95%Credible Interval(CrI)-1.22〜-0.31)を示していた。次いで、マッサージ(-0.78; -1.55〜-0.01)、身体活動と組み合わせた認知行動療法(CBT)(-0.72; -1.34〜-0.09)、有酸素トレーニングとレジスタンストレーニングの組み合わせ(-0.67; -1.01〜-0.34)、レジスタンストレーニング(-0.53;- 1.02~-0.03)、有酸素トレーニング(-0.53; -0.80~-0.26)およびヨガ(-0.51; -1.01~0.00)で、これらは全て中程度から大きなSMDを持っていた。

癌治療後は、ヨガは最も高い効果を示した(-0.68; -0.93~-0.43)。有酸素トレーニングと筋力トレーニングの組み合わせ(-0.50; -0.66から-0.34)、身体活動とCBT(-0.45; -0.70から-0.21)、太極拳(-0.45; -0.84から-0.06)、CBT(-0.42; -0.58 -0.25まで)、レジスタンストレーニング(-0.35; -0.62〜-0.08)および有酸素トレーニング(-0.33; -0.51〜-0.16)は、すべての小から中程度のSMDを示した。

リラクゼーションは癌治療中の効果的な介入であるように思われるが、癌治療後はそれほど重要ではなくなる。身体活動強化により多くの時間を費やす必要がある。一方、ヨガは癌治療中と治療後の両方で有益であった。有酸素運動、筋トレ、および有酸素運動と筋トレの組み合わせのトレーニングにも当てはまるが、効果量のレベルがやや低くなった。

 

2018年British journal of sports medicine誌掲載の論文です。これは癌による疲労感に焦点をあてて運動療法の効果を見ています。

ここで言うリラグゼーション運動とは、ストレッチや瞑想を含むものを言っているようです。

ヨガやストレッチなど筋肉を伸ばす要素が高いものが評価が高いみたいですね。また、マッサージも効くようです。

 

まとめ

今回は、運動が癌の治療にも効果がある、という客観的証拠を示すことにフォーカスを当て記事を作りました。

次回は、より具体的な運動の方法は示していきたいと思います。

今回はこの辺で。

 

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