肺炎からの背中の痛み(続編)
今年の夏は西日本の豪雨災害や、7月からの40度近い猛暑続きだったり、とにかく異常気象ですね…。ホント、熱中症には気を付けてください。今回のご報告は以前ご紹介した「肺炎からの背中の痛み」のクライアント様の続編です。以前の記事はこちら
この方の背部痛は、前回の肺炎に対する抗生物質により一時的に弱まりました。つまり、これは肺炎と背部痛は関連があったということを示唆しています。やれやれ、これで一見落着かな~と思っていましたが、しばらくすると痛みがぶり返してきたそうです。今回は、これ以降のお話です。
見立ての追加
投薬のおかげで肺炎の影はレントゲン上では小さくなっているそうです。 肺炎=背部の痛み、であるならば痛みも肺炎の縮小に比例して小さくなっていくことが予想されますが、ぶり返してきたという事はそれだけはない他の要因が関連していると想定できます。
その他の検査数値的に肝臓の数値に異常所見がでているそうで、担当医師によると肺炎の炎症の関係で肝臓にも影響が出ているそうです。確かに以前から腹部の張りは強いのは触診上感じられていました。そこでより丹念に腹部の再評価を行うことにしました。
ここではカイロプラクティックのAK(アプライド・キネシオロジー)というテクニックを使います。AKはカイロプラクティックの中でも鍼灸のような体の反応点と筋力検査を使って、体の不調箇所を探り出すというテクニックです。それによると腎臓と肝臓に反応が見られました。
また、肝臓がある右肋骨下部あたりの緊張が高く動きがかたくなっています。関連して右の腹直筋の中にトリガーポイントが見られ、その部位を押すと丁度背中のいつも痛みを生じている部分に再現痛が誘発されます。これで悪い部分の確定ができます。
そこで背中のアプローチは一切止めて、腹部のアプローチに的を絞って施術を行うことにしました。
経過
肝炎など肝臓の調子が悪く悪くなると周辺の組織の癒着や、緊張を生みます。肝臓は肝鎌状間膜という組織で横隔膜から吊るされているような形になりますので、横隔膜の動きにも影響を及ぼします。横隔膜は肋骨下部に付着しているので、同様に肋骨下部に付着している腹直筋にも緊張を及ぼしても不思議ではありません。
したがって横隔膜、肋骨下部、腹斜筋など周辺の筋緊張を緩め、腹直筋のトリガーポイントに直接リリースをかけました。また同時に内臓マニピュレーションという内臓の動きを滑らかにする手技を行い緊張が解消するようにしました。
そこから週1回ペースで3~4回目の時点でAK検査の反応が見られなくなり、同時にかなり背中の痛みが減ってきた(ペインスケールが10→2)ということなので、腹部と背中の痛みがか関連があり、またAKの反応と痛みも関連があったということがわかります。
その後は背部の痛みより、仕事の疲労による首肩の凝りがメインの主訴になりましたので、現在はそちらの施術をメインに行うようになり、通院が継続しています。
まとめ
痛みを感じる部分と、実際痛みを引き起こしている部分が違う場合があります。しかしどの痛みを必ずそうであるとは言えません。むしろ痛みを発しているところが原因となっている場合の方が多いです。
今回のケースも肺炎→肝機能障害→周辺組織の緊張→腹直筋のトリガーポイント発生→背中への関連痛という流れを想定していますが、実際本当にそのような機序で発生しているかはわかりません。肺炎・肝障害とは別に、単に腹部の筋疲労でトリガーポイントが発生している可能性もあります。
いづれにせよ、一般的な施術で反応を見せない場合は、他に色々な関連を想定して障害部位を探していく必要があると事をこのケースでは物語っています。当院ではこのような感じで施術を進めています。皆様のご参考になれば幸いです。
では、今回はこの辺で。