背骨のモーターユニットについて

【今回の記事はブログ統合のため、他ブログより転載しました(初出2014年12月)。】

 

カイロプラクティックでは、骨を標的に施術を行っていきます、その事によって神経の通りが改善され健康になります、ということはそれぞれのカイロプラクティックのホームページにどこでも載っています。

では実際、骨を動かすというのはどういうことなのか?について具体的に解説されているホームページはあまり見かけないので、ここではカイロプラクティックの手技が関節にどう作用しているかをお伝えし、カイロプラクティックの理解に少しでも役立てればと思い載せてみました。

 

 

背骨の構造

背骨はいくつもの骨が積み重なってできています。背骨の形状は大きく分けると、前側が背骨の本体になる椎体という円柱上の部分と、その後ろに飛び出た突起、その突起の根元の部分に左右に椎間関節とよばれる関節部分で構成されています。1個の背骨は椎骨と言います。

上の骨と下の骨を繋いでいるのは、円柱状である椎体の部分をヘルニアで有名な椎間板と言う円盤状の軟骨が連結しています。丁度、ハンバーガーのパンの部分が椎体で、パテ(肉)の部分が椎間板のイメージです。そして後ろに左右セットである椎間関節と言うところでも連結しています。

上の背骨と下の背骨の間を一区切りとして分節と呼びます。そして上の椎骨と下の椎骨とその間の椎間(椎間板や椎間関節があるところ)を1まとまりとしてモーター・ユニット(もしくはモーター・セグメント)と呼びます。

 


(c)フリーメディカルイラスト図鑑を改変

椎間はとても大事な部分で、骨自体は形が変わらないので、体を動かす為にはこの椎間が動いてあげないといけません。したがってここの部分の運動の事は分節運動とも呼ばれます。

この椎間からは、背骨を通ってきた脊髄という神経線維の束が、各々枝分かれをして背骨の外に神経を送り出している部分でもあるのです。この神経の出る穴を椎間孔といいます。椎間孔からは神経だけでなく、神経に栄養を送っていた動脈や静脈も一緒に出ています。そして、この孔の隙間は脂肪組織や結合組織がクッションとして埋めています。

また、骨と骨を繋ぐものは関節だけでなく、後縦じん帯、前縦じん帯、黄じん帯、棘上じん帯などの各種じん帯や、椎骨と椎骨を結び付けている棘間筋、横突間筋、多裂筋などの各種筋肉があります。訳の分からない名前がいっぱい羅列されていますが、覚える必要は一切ありません。ただ、モーターユニットには色々なものが付いていたり、出ていたりしていると言う事をご理解いただければよろしいかと思います。

椎間から出た神経は、神経の走行に沿って、体を帯状に支配していきます。これをデルマトーム(皮膚分節)と言います。この椎骨間とそこから出た神経の分節領域の反応を含め、モーター・ユニットの事を日本語に訳す場合、椎骨分節反射複合体とされます。

 

カイロプラクティックの矯正の作用

一般に骨を矯正するというと、右にずれた骨を左に持ってくるようなイメージに捕らえられがちですが、それは少し違います。

骨を矯正するためには、関節にアプローチするのですが、ここでポキッという矯正をしたとすると、関節が動くとすると癒着や硬縮と言う関節が固まった状態であるなら、それを直接動かす事になります。

また関節の周辺にはじん帯や筋肉が付いており、それが硬くなったり緊張していて二次的に関節の動きを制限している場合は、関節に加えた刺激が腱・じん帯の神経を刺激し、その情報が伝わる事により筋の緊張を取ることになります。

さらに関節が動く事で、椎間の圧力が減少することにより、椎間孔から出ていた神経の可動性や圧迫が直接的または間接的に改善し、神経機能の回復に役立ちます。また、椎間孔からでる動脈静脈の血流の滞り(うっ血)を改善することによる周辺組織の炎症や、圧迫、神経組織の代謝などの改善に繋がります。

このように骨の矯正は、外から関節であろうと思われる部分にコンタクトをし、関節を動かすと言う作業ですが、その中の椎間の部分では、様々な神経や血管やじん帯や筋・腱や関節包などの構造物に影響を与えているのです。このような様々な影響の中で、特に機能障害を起こしている部分に、改善を促す方向に刺激が影響していると考えられます。

椎間孔から出た神経は末梢神経となり、運動神経・感覚神経・自律神経を含んで手や足の先の方まで支配しています。したがって、椎骨からの影響は末端の方まで関与します。

カイロプラクティックが矯正の対象としているモーター・ユニットというものは、このように様々な要素を含んだ概念であり、また様々な要素が複合的に絡んだ状態であります。昔はこれを「サブラクセーション」と呼んでいました。

したがってよくクライアント様からポキッとやって症状が改善し、「何が悪かった?」と聞かれても、関連している要素が複合的なので、これ一つと挙げる事は実は難しいのです。複合的な機能障害を改善しているのがカイロプラクティックだからです。

カイロプラクティックにおける矯正の概念をお伝えする試みでしたが、なんとなく分かって頂けたでしょうか?

ちなみに、神経学にもモーター・ユニットと言う言葉がありますが、こちらは運動単位のことで、1本の運動神経でどのくらいの筋線維を活動できるかの単位で、今回話題の脊柱のモーター・ユニットとは別物です。

では、今回はこんなところで。

 

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