2ヶ月以上続く頭痛で来院
経緯
運送業ドライバーの女性のクライアント様です。2ヶ月前あたりから両こめかみに頭痛が出始めましたが、そのまま2ヶ月間継続したため、人のご紹介で当院へお越しになりました。痛み性状は、歩くと響く感じで、それが一日数回起こるということでした。また、腰の根元部分も慢性の腰痛で、1年半前に変形性の関節症で膝の手術をしていました。頭痛に関しては、2週間前にMRIを撮り、画面上では特に異常は見当たりませんでした。その他の対処として、この2ヶ月間はたまにマッサージを受けに行くという程度でした。
初診時テスト
圧痛点(押すと痛いところ)は複数見られ、腰の上部・下部、でん部の上部、側頭部などそれぞれの筋肉上に見られました。それぞれ部分はかなり過敏になっていて、軽い押圧でもかなり痛みを訴えています。また、側頭部は浮腫といいプヨプヨとした感じが見られました。
腰の下部は、体を前かがみ・反り返りしてもらうと緩い感じがして、動きすぎているようです。骨盤や腰骨の動きを修正すると腰の上部が痛み出します。逆にこの腰の上部が動きが悪いと腰の下部が代償として過剰に動こうとするので痛みを作っている可能性があります。また同じように、膝が悪いのでその代償としてでん部の筋が過剰に働き痛みを作っているようにもみえます。
首は動きでは痛みを誘発することは無く、下部の骨の動きが硬いように見えました。詳しく頭痛の内容を伺っていくと、痛みの範囲は耳の周囲をぐるっとCの字状に取り囲んだ範囲ということなので、丁度、小後頭神経から耳介神経にかけての領域なので、頸神経2番、3番の支配領域になります。
方針
後頭神経や耳介神経は筋肉の締め付けにより頭痛を発生させやすい神経です。しかし何故、頸の上部で神経を締め付けるような筋の緊張を生んだのかを考えると、頸の下部の硬さの代償として起きていると推測されます。腰の痛みの部分も膝やでん部からの影響と考えられます。
この方は配送のドライバーで、頻繁に荷台から飛び降りたりしているということなので、悪い膝で吸収しきれず、その衝撃が上部に波及していると想像できます。
硬い筋肉はゆるめ、動きの硬い関節は動きをつけ、逆に緩い関節や筋は緊張をつくり、全体的に均一化して衝撃を分散できるような体作りを目指します。
経過
初回は頸の矯正、頸上部の筋のリリース、でん部全体と腰上部の筋のリリースを中心に施術を行う。術後は腰の動作時の痛みは軽減していたようですが、頭痛に関しては再現痛がもともと無いので、日常で様子を見てもらうしか判断できないので、そこで終了。
9日後の2回目来院時は症状が元に戻っているようで、頭痛も多少の改善のみとのことでした。そこでさらに詳しく見ていくと、でん部の上部の筋が力が入った時に特に痛みがでるようなので、そこが障害部位のようでした。その部位の集中的リリースする施術と関連する股関節の動きの修正、太もも外側の緊張をリリースを加えました。頸部に関しては間違ったことはしていないと思えたので、そのまま継続です。セルフケアとしてでん部を伸ばすストレッチを実施してもらうことも加えました。
さらに5日後の3回目ご来院時の報告では、頭痛は1日数回起こっていたのが1回に減少、腰部痛も改善傾向にあるとのことなので、さらに内容を継続で実施しました。
さらに1週間後の4回目ご来院時の報告では、ほぼ頭痛は消失に至ったとこことでした。この方は、ここで終了となります。
解説&まとめ
標準的なカイロプラクティックの施術で対応できる症例でした。よくクライアント様から聞かされる言葉に「人から紹介されたけど、実はあまり信じてなかった」という台詞があります。その度に「意外とカイロプラクティックって普及してないな~」と思います。数は多いけど。
検査・聞き取りから障害発生の原因を推測し、それに対して処置をし、反応を見て検証し、次の手立てを考える。その過程のなかでカイロプラクティックとしての手法で対応していく。この作業を黙々と粛々と続けていけば、おのずと結果はついてくると考えます。
最近、カイロプラクティック業界も飽和状態なので、目先の珍しい手法・新しい手法ばかり注目され話題になっていますが、まずはベーシックな部分をキチンとすることが肝要ですね。良いカイロプラクティックを普及できれば、皆様のよりよい生活にも貢献できると信じています。
では、今回はこの辺で失礼します。