咳による肋骨骨折のケース

今日は、ダフィーカイロです。

今回は、咳による肋骨の骨折のケースについて検討します。

最初にお断りしておくと、骨折はカイロプラクティックの対象外です。

 

当院の例

直近のケースでは、50代男性のクライアント様で、当初は別件での通院でした。

前に気管支炎になり、咳が酷く出るようになったそうです。昨日も咳が酷く、それ以来脇腹に痛みがあるという事でした。

肋骨骨折の検査では、介達痛(痛い場所から離れた肋骨の部位に押したり叩いたりして痛みを誘発)を調べるのが一般的にあるのですが、結構ぼっきりといった骨折でないとよく分からないことが多いです。

咳の後の胸の痛みは骨折の可能性があるので、患部は触らないようにし、咳で緊張した腹部や、遠位の肋間筋のリリースを先ず行います。

筋の緊張の場合はこれで和らぐことが多いですが、骨折の場合は変わらないです。このケースの場合も変わらないので、医療機関の受診をお勧めしました。後日、ご報告でレントゲンで骨折の確認がなされました。

 

参考資料

ご参考のためにpubmedより、咳による肋骨骨折の疫学的な報告を挙げておきます。

 

【咳による肋骨骨折/茅ヶ崎市民病院】

Cough-induced rib fractures

《概要》

咳発症後に胸の痛みを訴えて紹介を受けた患者17名(2008年4月~2013年12月)をレントゲン撮影、及び場合によってはコンピューター断層撮影を使い分析。14名に肋骨骨折があり、1カ所の骨折が9人で、複数個所が5人であった。中~下位肋骨の羅患が一般的で、第10肋骨の骨折が最も多かった。

患者の年齢は14~84歳(中央値39.5)、10人が女性で、4人が男性であった。3人の患者は慢性肺疾患を患っていた。

2015年掲載の茅ヶ崎市民病院の報告です。

 

【咳による肋骨骨折/メイヨ―クリニック】

Cough-induced rib fractures

《概要》

1996年1月1日~2005年1月31日の間のミネソタ州ロチェスターのメイヨー クリニックで診断された咳による肋骨骨折のすべての症例を分析した。咳の後の胸部痛を訴える54人の患者(平均年齢55+/-17歳)、42人が女性(78%)。52人が胸部X線撮影を受け、30人(58%)に肋骨骨折が見つかった。その他は肋骨 X 線撮影、コンピューター断層撮影、または骨スキャンにより断定された。

54人で合計112本の肋骨骨折が見つかり、患者の半分は複数個所の骨折があった。右側の肋骨骨折のみが 17例 (26肋骨骨折)、左側のみが23例(35肋骨骨折)、両側性が14例 (51肋骨骨折) であった。両側で最も一般的に骨折した肋骨は第6肋骨であった。骨折は胸郭の側面で最も多かった。骨密度測定は26人の患者で行われ、17人 (65%) で骨減少症または骨粗鬆症が明らかになった。

2005年発表の報告です。ここでは、慢性の咳き込みの女性のリスクが高く、胸郭外側面の中央肋骨が骨折リスクが高いとされています。

 

【肋骨の自然骨折】

Spontaneous rib fractures

《概要》

 2009年2月~2011年2月の間に自発的な肋骨骨折を呈した12人の患者の分析。患者の年齢は34~77歳 (平均55.91±12.20歳) で、7人 (58.4%) が男性であった。重度の咳と胸の痛みを訴えており、骨折は第4肋骨と第9肋骨の間で最も多かった。5人(41.7%)は複数の肋骨骨折があった。8人(66.7%) は慢性閉塞性肺疾患、2人 (16.7%) は気管支喘息、2人 (16.7%) は骨粗鬆症であった。骨密度測定では、すべての患者で骨折のリスクが高いことが明らかになった。慢性閉塞性肺疾患または気管支喘息の患者は、1年以上にわたって高用量のステロイドで治療されていた。

トルコの研究チームによる2015年掲載の報告です。慢性閉塞性肺疾患や気管支喘息で長期ステロイド治療を受けている患者は咳による肋骨骨折リスクが高くなると結論付けています。

 

まとめ

外国の論文では、咳による肋骨骨折は稀である、という記述をたまに見かけることがありますが、過去の経験では意外に頻繁に見聞きすることがあるので、もっと一般的にあるのではないかと思います。

報告を見渡すと、咳による肋骨骨折はどの年齢層でも起こる可能性がありますし、肺や気管支の病気持ちではリスクが高まりますが、既存の病気が無くても起こる可能性があることが分かります。また、女性が多いようですが、男性にも起こりえます。

従って、ひどい咳が続いた後、胸やわき腹が痛む場合は、一回、医療機関を受診されることをお勧めします。肋骨骨折はレントゲンでは映りにくい場合もあるので、エコー検査を実施してくれる整形外科にかかられると良いでしょう。

 

今回はこの辺で。

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