Niki DinovによるPixabayからの画像

 

以前、バレエは側弯症悪化に関係が深いということをご紹介しました。

こちらの記事。

 

そこで、それでもバレエは続けたいけど、どうすれば良いか?というご質問を受けます。

それに対し、現時点での当院の回答を今回掲載します。

側弯症は女性に多いので、ここではバレエダンサーのなかでもバレリーナを想定してのお答えです。

 

側弯症がバレエにより引き起こされる要因を考えてみる

症状が引き起こされる要因には2つの要素が関係します。

一つが内的要因。遺伝など先天的にもっている要素です。

もう一つが外的要因。生活習慣や病原菌など外からの環境によって加わる要素です。

崖から落ちて骨を折ったなどの場合は、内的要素はなく外的要素だけで症状が引き起こされますが、大抵は内的要因と外的要因の2つの掛け合わせで症状が引き起こされます。

バレエを続けたいけど側弯症も改善するにはどうするか?のお題に対して、この要素分類の面から考えてみます。

今まで分かったバレエに関する側弯症の発症・悪化の要因を挙げてみます。

①親に側弯症があること

②痩せてること

③クラシック・バレエ(その他、新体操など)をしていること

 

この中で、内的要因(自分で対処出来ないこと)、外的要因(自分で対処できること)を分けてみますと…

①の親に側弯症があること→遺伝的要因なので、これを変えることはできません。生まれ持ったものですので。

③クラシックバレエをしている→クラシックバレエを止めれば良いのですが、お題が「バレエを続けながらどうするか?」なので、選択肢に入りません。

結局、②が自分で変えることが出来る外的要因なので、ここを変化させることを努力します。

痩せの改善のためには

①栄養をしっかり摂る

②体をしっかり作る

の2点が大事です。

次に②の体をしっかり作る、を考えてみたいと思います。

ここでいう体を作るということは、バレエをするために必要な基礎的体力要素を備えるということです。

体を作る・発達させるためには、刺激と材料が必要です。刺激とは運動のことです。材料とは栄養のことです。

 

バレエの反復練習で体はいかに歪むか?

バレエが元で側弯症になる人は、後天的に作られた側弯症ということになります。反復的な運動で作られたものならば、反復的な逆の動きで改善する可能性が高いです。

そこで他の偏った動作で反復運度を行っているスポーツを考えてみます。

片使いしているスポーツは、野球、バトミントン、ゴルフ、テニス、バレーボール、フェンシング等々多くあります。しかし、特にそれが側弯症の発症率が高いスポーツであるという報告は一般的には報告されていません(一部を除いて)。

多くの球技が片腕を頭上に振り上げる動作を行い、従来ではその動作が側弯症のゆがみを作ると考えられてきました。多少はその反復動作が側弯症の形成に関連するかも知れませんが、いわゆる「病」と名が付くほどの側弯を形成するとは考えられていません。

 

側弯症は一般的に、胸椎(肋骨がくっついている胸の部分の背骨)が右に凸して、腰椎が左に凸した歪み方が一番多いといわれています。胸椎は歪むと目立つのでそこに目がいき、側弯は胸椎から始まると考えられがちです。

利き腕の関係から、上半身からの側弯症の発生も十分考えられますが、個人的には、バレリーナの側弯症発症には下肢からの影響が大きいと睨んでいます。

ターンアウトなどは解剖学的にかなり無理な姿勢で、筋力不足や柔軟性不足があると股関節の捻じれが出てきます。それを補うために腰部の筋肉に無理がかかる可能性があります。

また、アラベスクやアティチュードの後方に足を引き上げる姿勢なども腰部の湾曲に影響を及ぼすと推測できます。もともと股関節は、骨同士がぶつかるため後ろには大して上げれない構造になっています。プロのバレエダンサーと一般人の股関節の伸展(後ろに上げる動作)の可動域は大差ないと調査されています。しかし、一見するとバレエダンサーはもの凄く足を後ろに引き上げているように見えます。実は、あの姿勢は骨盤の前傾や、腰椎の伸展(反らし)で達成しているのです。

腰の骨は通常、下部の骨が一番反りやすくなっています。一方、器械体操の選手の調査から、腰の反らす可動域が広い人は、下部だけでなく、腰骨の中部・上部も均等に反ることができる事が分かっています。腰の上部・中部の反らす動きが硬い人は、もともと動きやすい下部腰部に負担が集中し、それを支える腰部の筋肉が過剰に働かされるというのは、安易に想像できます。

また、股関節を外に開く時の柔軟性に乏しかったり、股関節の筋肉が弱い場合、その代償として骨盤が回ったり、それを補うために腰部の筋肉に過剰に負荷がかかるということも考えられます。

 

バレエの運動により作られる体の歪みをいかにして修正するか?

上記の例で言えば、関節の動きが硬いところがあれば柔軟性を出してあげて、筋力が弱い部分があれば強化していきます。トレーニング業界ではこのような運動のことをコレクティブ・エクササイズといいます。

実際のバレエの実技演習の中でこのような関節運動の修正を行おうとしても、運動中は色々な体の部分が関わってくるので、局所的な修正がなされず他の部位が代償的に働いてしまうことが多く、目的を達成するのが難しくなります。そのためにまずは部分を切り出して単体の練習をするのです。

しかし、コレクティブ・エクササイズだけだと、その局所のコントロールはできるようになったとしても、実際バレエの演習に入った途端に元に戻ってしまうということが往々にしてあります。

体の使い方の癖があるためです。したがって次に必要なことは、コレクティブ・エクササイズで身に着けた関節運動を実際のバレエの演習中に生かせるように落とし込む作業が必要になります。

このような段階を踏んで、バレエに必要な基礎的体力要素を備えるようにします。

さらに付け加えると、小さい頃は色々な運動種目をさせることが大事です。一つのことに偏った体の使い方をさせ続けると、偏った姿勢になる可能性があるからです。

 

痩せの改善のために

フィギアスケーターやフリースタイルのスキー、スノーボードなどスピンを多用する競技は、大抵その人個人で得意な回転方向があるので、同方向の回転を繰り返します。ですが、そのことで側弯症の発症比率が高いという話は聞いたことがありません。

各種目の競技者の平均体重がどのくらいなのか手持ちのデータがないので正確なことはいえませんが、側弯症の発症比率がバレエで高く、側弯症の発生には痩せていることで比率が高くなるので、バレエをしている人が痩せている比率が高いといえることが想定できます。

よく同方向の運動を繰り返しで側弯症が作られるといわれますが、上記の情報を踏まえると、同方向の運動を繰り返してもそれを支えるだけの筋量とそこから生み出される筋力があれば側弯症の発症リスクを低くすることができると考えられます。

コレクティブ・エクササイズやバレエの練習だけをやっていても体は消費するばかりで作られません。体を作るためには材料が必要です。一般的にはたんぱく質が強調されます。しかし、たんぱく質だけでは摂ればいいという訳ではありません。体の中である栄養素が働こうとする場合、他の栄養素が必要となることがほとんどだからです。

栄養素に関することを載せだすと永遠に続いてしまいますので、今回は要点だけ載せます。

①腸内環境を整える。

子供は成長過程にあるため、組織が未成熟である部分が多いです。腸壁に関してもそれは言えます。理想的な腸内細菌層から逸脱した環境であると、腸壁を痛めます。栄養素を取り込む際に不具合を生みます。いくら良い食事をしても消化器系が弱いと効率的に栄養を摂取できません。また、脆弱な腸はアレルギーを発症する元になります。

②栄養バランスをよく食事する。

当たり前過ぎます。必要なものを必要量食べる。お菓子ばかり食べているようでは駄目です。これは親の責任です。テレビで「この食べものが体に良い」というような紹介をされると、そればかり食べている、という人がたまにいます。ナンセンスです。栄養素は色々なものが分解・合成で関わりながら体に必要なものを生み出しているのです。バランスよく食べることが一番です。

③栄養はホルモンバランスに直結すると考える。

側弯症の発生は女子に圧倒的に多い病気です。つまり、ホルモンと関係するということです。女性は骨の形成に女性ホルモンが強く関与します。それは閉経後、骨粗鬆症になりやすいという事実をみれば納得されるでしょう。この点からも栄養バランス、必要量の摂取が大事と言えます。

 

この3点だけでも注意しましょう。

いづれ栄養についても記事を作成したいと思います。

 

解剖学的な骨格も理解する必要がある

最後に大事な点があります。

人間の骨格は人それぞれ違います。その事を無視して無理矢理型にはめようとすると障害の発生に繋がります。

例えば、プロ野球のビッチャーの投球ホームは人それぞれ違います。それでも投球の目的は達成されています。しかし、個人の特性を無視して型にはめると局所に負担がかかり、最後は障害に発展してしまいます。

バレエで重要視される股関節ですが、人によって大腿骨の骨頚の角度が標準よりも深かったり、浅かったりすることが往々にしてあります。その点を考慮せず無理させるのは如何なものかと考えます。

 

まとめ

バレエで側弯症を発生させないために個人が出来ることを考えてみました。

以前の記事で指摘したように痩せ気味と関係が深いので、食事管理をしっかりすること、筋量を増やすこと、が大事と考えます。特に柔軟性ばかりつけて背骨を生理的な正しい位置に保つための筋力が無い場合、片使いにより歪みが発生するのではないでしょうか?

関節運動の不均等、筋肉バランスの不均等と、バレエの動きの強制が側弯症の発生に影響している可能性があるので、部分的改善と、その動きをバレエの動きに落とし込むことが必要と考えています。

また、個人の解剖学的な骨格の特徴持つかんでおくことが必要かも知れません。

 

次回は、今回の記事を受けて側弯症と体幹部の筋の形態について考察を行う予定です。

 

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