西洋医学の医者のみならず、いわゆる自然療法といわれるカイロプラクティック・整体・鍼灸・マッサージなを転々としている「難治性」の症状を持っている方がいらっしゃいます。このような方は大抵の場合、色々と症状を訴えられて、診ているほうも「何がなんだかよう分からん!」ってことになります。

今読んでる神経内科の症例報告集『誤診しやすい神経疾患』(南江堂)の中にも、こういう訴えで施術院来る人いるよね~、と思ってしまう報告があります。

 

 

一般的にカイロに来る症状だが、カイロの適応外

症例; 繰り返す頭痛、吐き気、倦怠感、微熱 (20代女性)

2年前から体調崩し気味。2ヶ月半まえより午後になると後頭部が張りだし、ひどくなると額から側頭部にかけてガンガンと響く頭痛が出るようになった。その他、吐き気、嘔吐、微熱が出るようになった。検査入院を行ったが原因は特定できず。1ヶ月前より悪化。出社により悪化、休息により軽減するので心因性疑いで神経内科へ紹介された。血圧、感覚神経、自律神経、腱反射、異常なし。胸部X線、腹部CT,頭部CT・MRI異常なし。

 

このような訴えの患者さんの報告でした。

大抵の場合、原因が見つからずあちこちに症状出ている人は、最終的に心因性にされてしまいます。実際、心因性で起こる場合も多いとは思いますが、まだ見つかっていない本当の原因が他にあることもあります。

で、この報告では最終診断は次の通りでした。

血液検査より高Ca血症が見つかり、内分泌の検査をするとACTH(副腎皮質刺激ホルモン) 、コルチゾル(副腎皮質ホルモン)の減少が分かった。他のホルモンは正常値。診断はACTH単独欠損症であり、ホルモン補充療法で劇的に改善。

 

いわゆる不定愁訴って言うヤツですね。頭痛、吐き気、倦怠感、冷え性など多数の不具合をまとめて訴えてくる方はかなり多いです。全部が全部、ACTH単独欠損症ってことはありえません。発生頻度が10万人あたり4~7人といわれている病気なので。

ですが、このような病気の人も混ざっている可能性があるということですね。はっきり言って、このような患者様はお越しいただいても分からないです。病院で専門の検査をしてもらわないと。そして、ACTH単独欠損症はカイロプラクティックや整体の適応外です。一応。良くなるとか謳っているところあるかも知れませんが、あまり期待はしないほうが良いですね。薬でコントロールすることが第一選択です。

 

ACTH単独欠損症とは


from Anatomography, website maintained by Life Science Databases(LSDB).(CC-BY-SA-2.1-jp)

簡単に説明します。

図の赤い部分、脳の奥まったところに存在するホルモンを分泌する器官を下垂体といいます。この下垂体は大きく分けると前葉と後葉があり、前葉からは6つのホルモンが分泌されます。そのうちの一つがACTH(副腎皮質刺激ホルモン)です。このホルモンは副腎を刺激して、コルチゾル(副腎皮質ホルモン)を出させる役目があります。コルチゾルは、薬で使われるステロイドの成分で抗炎症作用があります。血圧を上げる作用もあります。

これらが欠乏すると全身倦怠感、食欲不振、冷え性、低血圧,低血糖、生理不順などが起こります。一般には低Na血症、高Ka血症などがみられます。今回の報告のような高Ca血症は珍しいとの事です。

発症の原因は不明ですが、自己免疫疾患と考えられています。

 

自己診断は禁物

このような普通では見つけづらい疾患は、専門機関で無いと分からないことが多いです。よくあるパターンが、1回近所のお医者さんに行き、上手く原因を見つけられ無かった場合、「自律神経が悪いから」と自己判断して見当外れのことをしてしまうことです。

ですが、今回の症例のように本当に対処すべき原因は他にあり、それを蔑ろにして違うことをやっていたりすると、逆に症状を長引かせる結果になります。

色々なところに症状がでる全身疾患では、感染症や内分泌系の問題である場合もあります。まずはその辺を詳しく調べてみるといいと思います。

 

まとめ

このブログで何回も述べてますが、病院での検査をお願いすると拒絶する方がいらっしゃいます。ですが、今回ご紹介したようなケースもあるのです。これは調べないと分かりません。そして、薬の対応が一番です。西洋医学での治療受けても、まだ不具合がのこるのであれば、その薬でコントロールできない部分をカイロプラクティックが担うことはできるでしょう。

それぞれ得意な部分と不得意な部分があるので、受け手がそれを使い分けてもらう必要があるのです。そこを踏まえてご利用いただければ、より良いケアを受けることができるでしょう。

では、今回はこの辺で。

 

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