skeezeによるPixabayからの画像
 

こんにちは、ダフィーカイロです。ちなみに上の写真と本文の内容は一切関係ありません(笑)

今回は前回に引き続き腰痛コルセットの話題です。前回は関係する研究の紹介でした。今回はコルセットが筋肉の弱化を引き起こさない理由を当院独自の視点で考えていきたいと思います。

 

固定点と可動部

人間の姿勢を大まかに把握するのに、固定点と可動部に分けて考える方法があります。体の動きを制限させる時もこの考え方を用いるとわかりやすいです。

固定点とは土台となる部分で、下肢で言えば足部になります。その上の固定点は骨盤部となり、その間の部分が可動部となります。土台に対して次の固定点がどの位置にあるかで、そこまでの大まかな姿勢が把握できます。例えば足に対して骨盤部が前にあれば、骨盤部の前方移動している姿勢だなと分かります。また、足に対し骨盤部が右にずれていれば、骨盤部の右の側方移動している姿勢だなと分かります。

上半身の場合は、骨盤部が固定点(=土台)となり、その上の固定点は肩甲骨帯となります。便宜的に肩の左右のラインと考えていただいても差し支えありません。土台となる骨盤部とその上にある固定点の肩甲骨帯の間が可動部となります。

 

骨盤部に対して肩甲骨帯が後ろに移動していれば、上体の後方変位と分かります。また、肩甲骨帯が右に傾いていれば、上体の右へ傾斜していると分かります。

 

頭の位置の歪みはどうでしょうか?肩甲骨帯(肩のライン)が固定点となり、その上の固定点は頭部となります。肩のラインに対して頭部がどのように傾いているか、捻れているか、前後に移動しているかを見れば頭の変位の方向が把握できます。そして、頭部と肩ラインの間の首の部分が可動部となります。

 

 

体の動きを制限するために

今回のテーマはコルセット長期着用により筋肉の弱化はおこるか?ということで、頚椎カラーとの比較なので、お話のメインは体幹部について説明していきます。

筋肉が弱くなるということは廃用性萎縮というものが起こっていると想定できます。これは、筋肉は働いていないと筋力が弱くなり、細くなっていく現象を指します。寝たきりの人のことを考えていただくと分かりやすいと思います。体を動かしていなかったり、物を持ったりというような運動をしていないと、筋肉に対する負荷が足らずに衰えていきます。

装具により体の動きを制限される状態が長期間続けば、動かすための筋肉が衰えてしまうであろうと考えることは無理もありません。実際、頚椎カラーの長期使用は首の鞭打ち症の治りを遅くするという報告も出ています。

首の動きを制限させる場合、固定点である肩のラインから次の固定点である頭部まで橋渡しに装具が装着されることによって動きを制限させることが可能になります。

こんな感じ↓

こうすると、頭を反らせたり、前に曲げたり、横に倒したりという動きが制限できます。

この考え方を腰に適用しようとすると、骨盤部の上の固定点は肩甲骨帯なので、脇の下あたりまで覆う格好になります。

ここまで覆うと背骨の動きがかなり制限されます。脊柱の外科手術後や側弯症の矯正で用いられる装具はこのようなものになります。

しかし実際、腰部の動きの制限のみではここまで覆うことはなく、肋骨の下部までを覆うことで要件を満たします。胸郭は肋骨がある分、動きが制限されるので、肋骨下部を覆えば腰部の動きが制限できます。

病院で処方されるようなしっかりしたものや、サイズを測って処方されるものは、このタイプのものが多いです。

一方、市販の腰痛コルセットは装着感の快適さを求めてそこまで高さがないものがほとんどです。肋骨下部にかかる装具は動いたときに縁が体に食い込みやすく、不快なので大抵幅が浅く作られています。

したがって動きの制限は起きづらく、体の動きがなくなるから廃用性の萎縮がおこる、筋肉の弱化がおこる、というのは考えづらいのです。

首で例えてみると、ちょうどこんな感じ↓

装具が動きを制限するための大きさがないため、首が自由に動いてしまいます。動きの制限はないので、筋の弱化は起こりません。ただし、痛みの軽減もできません。

 

市販の腰痛コルセット・サポーターの装着効果

では、市販の腰痛コルセットは何の効果を狙って着けるのでしょうか?

それは前回の記事の中でも触れましたが、フットボール理論を狙ってのものです。サッカーボールの空気が抜けていると足を乗っけたときにグニョッと潰れてしまい、空気をパンパンに入れて膨らますと足を乗っけてもしっかり支えられます。腹部内圧を高めることはこのサッカーボールの状態と同じようなものであり、これをフットボール理論といいます。

腹部を締め付けることにより、腹部の内圧が高まり、脊柱を支えやすなります。その強力なバージョンが、パワーリフティングの選手などが腹部に巻いているパワーベルトです。あのような選手達は、ベルトをかなりキツク巻きます。そのことによって腹部内圧を高いレベルに引き上げ、高重量に耐えられるようにするのです。

ベルトを巻くことが筋肉の弱化に繋がるのなら、パワーリフティングの選手達はわざわざ練習のたびに体を弱めるものを巻いていることになります。そんなナンセンスなことをしているはずはありません。

一般市販用腰痛コルセットは、そもそもそこまでの締め付けがありません。快適性も求められるからです。収縮性・弾性があり、支えを作るためにステーというプラスチックでできた支柱が挿入されているといったものが一般的なモデルです。

つまり、市販の腰痛コルセットの効果は若干の腹圧を高める効果、若干の動きの制限があるといえます。さらに付け加えると固有受容器(筋内の体の位置情報を伝える神経)を刺激し、それも筋肉の出力にプラスに働きます。

 

当院の考え方

市販の腰痛コルセットの固定力レベルでは若干の運動制限が行われます。そのため若干の筋力低下がもたらされる可能性はありますが、心配するレベルではありません。逆にコルセットをすることにより、いつも行っている作業が普段通りのレベルに近い状態でこなせるようになるなら、その方がよっぽど腰部の回復に貢献するでしょう。

このブログで何度もいっている「リスクとベネフィット」。

得られる利益(ベネフィット)とこうむるかも知れない損失(リスク)を天秤にかけて考える必要があります。当院では腰痛コルセットを着けることは、リスクよりベネフィットが上回ると考えられるので推奨しています。

 

まとめ

2回に渡り、「腰痛コルセットの装着は筋肉が弱くなるということはない」ということを説明してきました。

一部では、依存的になるので良くないという意見も出されているようですが、当院に通われているクライアント様に関して言えば、逆に言っても着けてくれない人の方が多いと思います。自分が腰痛になった時もそうでしたが、着けてるのって、鬱陶しいかったり、面倒くさかったりして、最初の内は着けていても、すぐにしなくなりますもんね。

従って、あまり心配する必要ないと感じています。

少しは、腰痛コルセットに対する疑問は晴れたでしょうか?

今回はこの辺で失礼します。では。

 

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