何年も続く右肩の痛み
こんにちは、ダフィーカイロです。
最近はブログの統合ということで、もう一つのブログからの転載記事が続いていました。久しぶりに症例報告のオリジナル記事を出します。
初診時
3~4年前から続く右肩の前面の痛みでご来院の40代女性のクライアント様です。痛みには波があり、痛くなると鍼灸やマッサージの施術をしてもらっています。施術を受けると少し楽になるが、しばらくすると元に戻る、というのを繰り返しているそうです。また、肩甲骨の間も痛みが継続的にあります。
姿勢は典型的な前弯-後弯姿勢です。つまり、腰が反り腰、頭部が前方へ移動している姿勢。呼吸では、胸郭の筋肉が硬く、肋骨の動きが少ないような感じです。両手を上に万歳させると肩甲骨の動きが制限されるため、上に上げきれません。ただ、よくあるような肩関節のインピンジメント(組織の挟み込み)は起きていないようです。
筋肉のいろいろな箇所が押すと痛い部分があり、肩甲骨周辺部に集中しているようでした。関節的な痛みではなく、筋肉が硬くなっての痛みのようなので、筋肉のリリースと肋骨の動きを改善することで様子を見ることにしました。
経過
2回施術すると、背中・肩甲骨の間の痛みはほぼ解消できたようです。その後、1ヶ月半後に3回目のご来院となりますが、背中の痛みはその後出ていないとのこと。ただ、右肩の痛みは再びぶり返し、以前と同様に日によって痛みの波がある状態でした。
右肩に関して、もっとも圧痛があるのが烏口腕筋という肩の前面にある深部筋に沿って存在しています。上腕を前方に引き上げる動作の補助筋になります。
上図を見ると、肩甲骨と鎖骨のつなぎ目部分に烏口突起と示してある突起が見れます。ここには上腕二頭筋の一部が付着していますが、その下層に烏口腕筋が上腕骨に向かって付着しています(図には示されていません)。この筋が痛んでいるということです。
根本的な改善を目指す
巷での施術院・整体院、または雑誌や一般向け健康本の多くが「体の歪みが症状の原因です、骨を正せば症状が消えます」みたいな事を宣伝しています。では、今回のケースでは歪みを正せば肩の痛みはなくなるのでしょうか?
それは違います。今まで鍼灸やマッサージに通っていても同じ症状を繰り返す、当院での施術を受けてもしばらくすると痛みは再発する、ということを省みれば答えは明確です。施術により痛みが軽減し、それが維持できれば問題ないのですが、それが維持できない要因があるということを示しています。その要因を探して取り除いていかなければイタチゴッコになって埒があきません。
つまり根本的な改善とは、この回復を妨げる要因を取り除いてあげることです。このケースの場合は、仕事での日常業務の作業動作がそれに当たります。
このクライント様は店舗での販売員なので、商品の品出し・陳列作業でダンボール箱の上げ下げが頻繁にあるということでした。要は、荷物の上げ下げ時に腕を支える烏口腕筋に負担がかかっているために症状を引き起こしていたと推測されます。
体の歪み云々が症状の根本原因でなく、作業動作が根本原因なので、作業動作の改善をする必要があります。
この方もよく有り勝ちな、荷物を持ち上げる時に脚をあまり曲げずに腕だけで引き上げるような動作を行っていたようでした。そこでその動作の修正を行っていただくことにしました。具体的には、背中を丸めず脚と腰の力を使って腕の負担を減らせるように、一般的な筋トレであるデッドリフトとコブレット・スクワットをご指導させていただきました。
この場合、筋力アップを目指す訳ではなく、動作の習得を目的としていますので、負荷は軽めです。実はこのクライアント様は、習慣的にスポーツジムに通われていて、マシーンでのトレーニングも定期的に行っている方でしたが、マシーントレーニングでは上記の目的を果たすことはできません。実際に仕事をしているような立位で重力がかかっている状態で望む動作を遂行するできるようにすることが必要なので、マシーンではなく、フリーウェイトでのトレーニングを行うことが最適です。
3回目以降は上記のような方法をとらせていただきました。
まとめ
今回の症例報告もいつも通り、体の改善には施術院とクライアント様との共同作業で行う、というのがテーマとなっています。院内でできることは限られていますので、ぜひともクライアント様にもお身体改善のためにはご自身でドンドン参加していただきたいものです(せっかくお金をかけているのだから)。
これ、何度も言っているな。。。
では、今回はこの辺で。