肺炎からの関連痛による背中の痛み
ダフィーカイロプラクティックです。
今回は最近お越しいただいた症例で、内臓由来の背中の痛みの訴えです。内臓からの腰や背中の痛みは、それを疑わないと見逃してしまうことが多々あります。
当院では、何かおかしい、通常の反応と違う、と思えるものは率先して病院での検査を受けていただくようご案内しています。このケースでは、それが功を奏し隠されていた病気が判明したものです。
症例
その方は普段の運動習慣がない男性で、いつも帰宅電車で立っていると背中が痛くなるという訴えで来院されました。
ただ体を動かしても背中の痛みは誘発されず、呼吸による痛みとの関連も見られません。しかし、慢性の腰痛や肩こりでも体の動かして痛みは出ず、ずっと同じ姿勢を続けてると痛くなるというのはよく見られる現象なので、普通の筋肉のコリであったとしてもおかしくはありません。
特段、関節や椎間板に問題があるようにも見受けられなかったので、筋肉の疲労性の問題であろうとして、筋肉は緩める処置を中心に施術を進めました。
2~3回ほど施術を行った時点で、施術後はスッキリした感じは受けられるそうですが、2~3日すると元に戻るというので、あまり変化がないようです。3回目の時点で、背中を押すと痛みが強く出て、しばらくすると消えてしまうという現象あり、あまり通常の反応で見られない兆候があったので、病院での検査をお勧めしました。
検査の結果は、感染症による肺炎のようでした。幸い人から人への感染は認められないカビによる病気のようで、動物からの感染のようでした。通常では人から人へ感染することはなく、極端に免疫機能が弱くなった状態で感染するそうなので、この方も病院からは通常通りの生活を送ってかまわないように言われているそうです。
解説
この方は当院にいらっしゃる時は別段、咳き込んでいるような様子もなく、お話の中でも日常的に咳き込んでいるという話題がでてこなかったので、肺炎の想定はできませんでした。逆に咳き込みがひどく背中が痛い場合は、まずは咳による肋間筋の挫傷か、ひどい場合は肋骨の骨折を疑ったであろうと思われます。
通常の反応と違うような所見は非典型的所見といい、今回も通常のコリと違うような感じで、何か違うものあるように思われたので医療機関での受診をお勧めしました。
発見された菌は鳥からのもので、そのための治療薬を服用するようになってから背中の痛みも消えたそうで、明らかに感染症と背中の痛みが関係しているという証拠になります。もし仮に医療機関への受診が滞りその病気の発見が長引けば、それだけ無意味な施術を繰り返す、さらには症状の悪化を招くということも考えられました。
健康な状態では一般的にはかからない病気でも、大きな病気の後や病気の治療中、強いストレスにさらされ体調を崩していたり、高齢者など極度に免疫機能が低下している場合はこのような病気にかかることがあります。何が起こるかわからないので、疑問に思ったらすぐ検査したほうがよいのです。
参考資料
ご参考までに鳥から感染する病気の代表的なものを挙げておきます。
オウム病
・クラミジア・シッタシという病原菌が引き起こす。
・ほとんどの鳥類が持っている菌。感染した鳥のフンが粉塵となり、それを吸い込むことにより人に感染する。
・感染後、1~2週間で発症。
・症状は、発熱、咳、頭痛、筋肉痛などインフルエンザと似た症状。重症化すると肺炎、脊髄炎になる。
・388人の感染者の内、8人死亡。
・治療は抗生物質の投与。
・予防は、鳥類との過度な接触を避ける。鳥のフンはこまめに清掃する。
クリプトコッカス病
・鳩のフンで増殖したカビ(真菌)が原因。乾燥し、粉塵となったものを人が吸入し、感染する。
・通常は、感染してもほぼ無症状で自然治癒する。免疫機能が低下していると増殖し発症する。
・症状は、頭痛、咳、痰、肺炎。重症化すると脊髄炎、脳炎。
・年間発生数は、10万人につき0.2-0.9人。
・クリプトコッカス病になった人や鳩以外の動物から、他の人や動物への感染は見られない。
・治療は抗真菌剤の投与。
・予防は鳩の集まる場所へ近づくことを控える。フンが飛散しないよう除去。
参照
まとめ
当院で医療機関への受診を勧めても、「面倒くさい」「時間がもったいない」「時間が取れない」等の理由で拒絶する方がいらっしゃいます。しかし、今回のようなケースもあるので、信頼の置ける医療機関にかかることには意味があります。
いい加減な施術院では、施術していれば(例えば、脳脊髄液の循環が整えばとか、体のバランスが整えばとか…)体の自然治癒力が上がって、どんな病気も改善する、みたいな幻想を謳っているところがあります。しかし、無責任なことを言って放置させ、しまいに重症化(今回の病気で言えば脊髄炎など)させてしまったらどうするのでしょうか?
医療機関への受診を面倒くさいと考えているクライアント様は、「放置していてもいいよ」という甘い言葉に乗っかりやすいです。今回の症例のクライアント様は自主的に医療機関へ行っていただいたため、正しい処置を受けることができました。
今回の症例報告が、どなた様の役に立てば幸いです。
では、今回はこの辺で。
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