姿勢が症状を作るのか?症状が姿勢を作るのか?

【今回の記事はブログ統合のため、他ブログより転載した記事です(初出2014年9月)。】

 

姿勢から痛みがわかるかな?

手技療法の基本的な考え方の一つに「姿勢が歪むと、病気になる」というのがあります。当たり前のように雑誌やテレビで言われていますが、それって本当なの?って思った事ありませんか?

今回は、そこら辺を考えてみたいと思います。

先ずは、こちらの姿勢写真をご覧ください。全て側面から撮った、施術前の自然体立位のクライアント様の姿勢の比較です。

 

 

 

姿勢の分類(ここではケンダルによる)で言うと、ミリタリー・バックやフラット・バック、前彎・後彎姿勢、スウェイ・バックが見受けられます。

しかし、訴える症状は同じ人達を集めてあります。

どこをつらいと訴えていると思いますか?

 

ちょっと、考えて見ましょう。

 

 

 

どうですか、判りましたか?

 

 

答えは、両僧帽筋上部繊維の上角付近のコリです。

ツボで言うところの「肩井」「肩外兪」「肩中兪」といった肩こりのツボで有名なところあたりです。

この様に、訴えている違和感はみな同じですが、姿勢自体はバラバラです。

この様な歪んだ姿勢があると、この様な症状(痛み・こり)が出ますよ、という一定の指標はありますが、それは力学的に見て、この歪みだとここら辺にはこういう負担がかかるであろう、と推測されるだけで絶対ではありません。

日常で習慣や仕事での姿勢、ポジション、体の使い方や癖が大きく関わってきます。

では、つぎのケースを見てみましょう。

 

 側方への歪みの場合

 

 

 

こちらの姿勢写真では、(A)と(B)ではどう違うでしょうか?

正面から撮った写真ですが、ちょっと判りずらいかもしれません。正中線の縦のラインと胸辺りの位置関係に注目してもらうと見やすいかも知れません。

(A)でも若干、上半身が左に側方へズレていますが、(B)の方がより大きくズレているのがわかります。

こちらのクライアント様は左の腰の慢性的な鈍い痛みを訴えています。そして、とにかく左の腰をグイグイ強く押してくれ!と希望しています。ご要望にお答えして、そのような処置をしたところ、確かに筋肉の硬いところは緩み、ご本人もスッキリした!とご満足の様でした。

そこで、再び問題です。(A)と(B)は施術前と施術後です。どっちがどっちか判りますか?

 

自覚症状と歪み方が違う場合もある

通常、感覚的には姿勢が正中に近い(A)の方が、自覚症状が緩和した施術後の写真に思えます。しかし、ここでは正解は、自覚症状が緩和した施術後は、姿勢が正中よりより崩れた(B)であり、自覚し症状がある施術前の写真は、より正中に近い(A)になります。

この場合、考えられるのは、上半身が左側へ傾く歪みを左側の腰部の筋肉で支えていたということで、腰の痛みはその副作用として2次的に起こっていた、という可能性があります。

なので、この場合は、筋肉が張っているからとそちらを緩めてしまうと、より歪みが増大します。筋肉を緩めると一時的にスッキリした感じが得られますが、歪みが増すので、再びそれを支えるためにすぐ筋肉が張ってきます。

このクライアント様にもこの経過写真を使って、同様の説明をさせていただきました。

この場合は、どちらかと言うと歪みから症状を作っているケースだと思います。

さらに、別のケースを検討して見ましょう。

 

 

 

 上位交差性障害姿勢

 

いわゆる、上位交差性障害姿勢と呼ばれる姿勢の、典型的な症例のクライアント様の写真です。左が一番症状が悪かったときの姿勢、真ん中が普段、仕事などの疲労・ストレスが溜まってきた時の施術前の姿勢。左がその施術後の姿勢となっています。

上位交差性障害姿勢の内容は、「腰・頭の痛み、肩こりの矯正について」のページも合わせてご覧ください。

上位交差性障害姿勢は、頭部の前方移動と猫背の組み合わせで、そのせいで重い頭を支えるため肩に負担がかかり凝りますよ、という説明に使われます。


(c)フリーメディカルイラスト図鑑より改変

しかし、実は上位交差性障害にも2種類あり、姿勢が悪いために部分的に負担がかかり、そこに痛みやコリが発生するパターンと、逆に痛みやコリが出て、良い姿勢をとろうとすると逆に不快感や症状が悪化するため、悪い姿勢を維持させているパターンがあります。

疲労による代謝不良や、反復使用や急激な外力による組織の損傷などにより、筋肉内にトリガーポイントと呼ばれる病的なモノが形成されると、多くの場合、その部位を縮めるような動作や、その部位に圧力がかかるように力を入れると、痛みを発します。

そのため、例えば、肩の部分の筋肉にトリガーポイントが出来ると、姿勢を正そうとするとその部位に圧力がかかり、痛みを発するため、逆にその部位をストレッチする(伸ばす)方向に姿勢を盛ってこようとして、背中が丸くなるのです。

これも、症状が先か、姿勢が先か?といったところです。成り立ちが違うので、対処の仕方も違います。ただ、実際には慢性化している人は、両方の要素があるので、対処も両方必要になります。

 

ぎっくり腰などの急性疾患の場合

ぎっくり腰などで急にひどく腰が痛くなった時など、姿勢がかなり歪んでいることが、よく見受けられます。これも症状が姿勢を作っている例です。

この時、レントゲンを撮るとえらく背骨が曲がっているように写るので、それであせって当院に駆け込んでくる方も居ます。

しかし、あせらなくても大丈夫です。これは、疼痛回避姿勢といい、痛みから逃げるために体が歪んでいるのです。

例えば、昔は、ヘルニアで飛び出た椎間板が神経の上側に飛び出るか、下側に飛び出るか、で体の歪む姿勢が変わると教えていました。しかし、実際は大抵の場合、ヘルニアが出てる反対側に体を傾けています。ヘルニア症状がある人は、腰痛もあり、炎症が起こっているので、そちらに体重をかけたくないためです。

ぎっくり腰の場合も、炎症が強く、疼痛回避の姿勢をとっているので、その時点では、もともとあった本当の歪み方はわからなくなっています。

逆に、痛みが引いてくると、疼痛回避姿勢もなくなってきて、本来の形が出てきます。

これも症状が姿勢を作っている例ですね。

 

 まとめ

姿勢を作っている要因は、いくつもあります。

そして、コリや痛みなどの症状を作っている要因もいくつもあります。

あまり短絡的に考えることなく、これらの要因を分析、分類して対処する事が大事です。

姿勢が症状を作る事もあれば、症状が姿勢を作る事もあり、これらは複雑に関連しています。

基本的に、症状・痛みは、体の機能的な変化の結果として、構造的・組織的変化が起こり、表出してくるものです。したがって、症状が出る前段階の機能障害の段階で、体を改善していく事が大事です。

そして、姿勢の悪さは、体全体の神経機能に悪影響を及ぼします。このことは、Chiropractic Biophysics(カイロプラクティック生物理学)の中で明確に証明されています。

したがって、症状があろうが、なかろうが、長い目で見ると、姿勢の悪さは確実に体に悪影響を与える事は確かです。

まとめると、姿勢を崩している原因、症状を引き起こしている原因を探し、それを改善していく事が大事だという事ですね。

姿勢の悪さが、神経系全体に与える影響
姿勢を崩させる機能障害とは何なのか
症状・痛みを引き起こす機能障害とは何なのか

などは、また後日書いていこうかと思います。

今回はこの辺で。
では。

 

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