今日は、最近「ワンパンマン」と「モブサイコ100」にやたらはまっている坂木です。今回は手術と関連して引き起こされた腰痛の訴えでご来院されたクライアント様のご報告です。

胆石手術後の腰痛著作者;Jack Batchelor

 

主訴と経緯

40代の女性の方で、4年前から右の肋骨周辺からミゾオチにかけて痛みが出始め、それが背中側に広がっていたそうです。整形外科では肋間神経痛、内科では逆流性食道炎と診断が下ったようですが、症状は治まらず続いたままでした。

それが4ヶ月まえに胆石が見つかり、腹腔鏡手術にて摘出をしました。しかしその後、腹腔鏡を挿入した傷口が感染し、治癒したのが1月前のことだそうです。

そして今回は、腰が最近になり急に痛くなってきたという事で、ご紹介でのご来院となりました。

 

初回時

腰は反らした時や、座った状態から立ち上がろうとした時が痛いそうです。腰部が座っている時も、立っている時も彎曲がなく、いわゆる後彎姿勢に近いフラットバックと呼ばれる姿勢になっています。

背骨の動きを見ていくと背骨全般的な動きは硬いのですが、骨盤と腰骨の付け根は他の部位と比べ過剰に動くようです。また、ここの骨間が狭くなっていて、少し前方滑りっぽいかな?とも思われましたが、腰部の筋肉がかなり硬く縮こまった状態になっているので、それで圧縮されて狭いようにみえている用に思われます。

神経学的なテストでは全て問題はありません。足への痺れもありません。

一番、背骨の変位として目立つのは、やはり下部胸椎辺りで、ちょうど肝臓や胆のうがある辺りです。ここが窪んでいる様にみえます。腰部が固まって盛り上がっているので余計、窪んで見えます。

状態としては、4年間に及ぶ繰り返された胆石の痛みによるものなのか、手術後の感染による化膿部の痛みをかばって動きを制限していた為の緊張性のものなのか、手術による内臓組織の癒着によるものなのか、定かではありませんが、右下肋部周辺の緊張から波及して背中全体が硬くなっています。

本来ですと、腹部の方も癒着や緊張のため可動性・柔軟性が制限かかっているのでアプローチをしたいところですが、まだ傷口の治癒より1月をたっていない状態でしたので、今回は背中側のアプローチのみで様子を見ることにします。

腰部の可動性の回復には、まず背骨を反らす動きを回復するように介助しながら骨の動きの軌道が正しく動くように促します。しかし、これで痛みの軽減に繋がらないので、逆に牽引手技による下部腰椎の圧力がかかっていたのを除くように矯正します。こちらの方が痛みが軽減するようなので、方針としては背部の筋の緊張を軽減し、腰部下部の圧力を減らすような手技を加えます。

初回施術後は、一応、腰の動きでの痛みは軽減したようなのでこれで様子を見てもらいます。次回は、9日後にご予約をお受けしました。

 

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2回目

前回後から4~5日して、お子さんの運動会に参観に行った際、一日中立っていなければならなくなり、半日を過ぎたあたりから再び腰痛が強く出てきた、という訴えを告げられました。

一瞬、また一からやりなおしか。。。と凹みそうになりましたが、このような方は実は結構いらっしゃいます。そして、この悪くなったという話も、実は症状を改善するための貴重な情報となるのです。

要は、一日中立っていたら痛くなったというのは、一日中立つだけの体力がない、ということなのです。長い間の内科的な痛みで日常的に動きを控えていたためか、手術後の後遺症で動きが制限されていたせいか、いずれにしろ筋力的に弱くなっている、もしくは痛みのために神経的に抑制がかかっている状態で、腰を支える筋肉が力をちゃんと発揮できなくなっています。

今回は、前回からの施術ゃ刺激に対する耐性をちゃんと評価する事ができたので、徐々に腹部からのアプローチも大丈夫そうということが分かりました。そのため、硬くなっていた腹部の筋や肋骨の可動性を回復する手技を取り入れることにしました。

また、下部肋骨の可動性に関係し、神経学的にも肝臓・すい臓・腸管の神経支配をおこなっている、そして実際、骨の不整列が見受けられる下部胸椎部への矯正も行っていきます。

また、腰部の背骨を支えている深いところにある筋肉は、働かせないでいると廃用性萎縮といい筋肉が弱くやせ細っていく現象があるのですが、丁度それが起っているようなので、そこを活性化しキチンと働くように刺激をしていきます。

 

3回目

10日空いてのご来院となりました。腰部の調子は改善していて、今では座った状態からの立ち上がりもなくなったそうでした。腰の骨の動きも多少ギコチなさは残っているようですが、初回に比べて大分スムーズになっています。

今回からは、腰や体幹部の機能向上は引き続き行っていきますが、それ以前から続いていたという肩甲骨周りのコリもみてもらいたいというご要望から、そちらにメインターゲットをシフトしていくことになりました。

 

考察

内臓からの痛みによる筋の緊張が起る事を筋性防衛といい、自律神経の反射によるものです。また、内臓からの痛みの感覚が背中側から来た感覚神経と合流するので、そこで感覚のごちゃ混ぜが起り、内臓の痛みが背中側に感じられる関連痛と呼ばれる現象もあります。痛みがあれば当然、筋肉は緊張もします。また、痛みがあれば動かさないようにもします。今回のように手術後の感染症で化膿してしまい、治癒するときに組織の癒着が起ってしまっても体の動きが制限されてしまいます。

今回のクライアント様にはこれらのどれか、もしくはいくつかが複合して体が固まってしまい、体幹部分の動きが悪いのを下部腰部で動きを補おうとし、動き過ぎで痛みが出てきたようです。

その部位の改善と、特に神経的にも関連が深く、骨の配列的にも崩れていた下部胸椎部の矯正、そして弱くなってしまった腰部深部筋の強化をする、という内容が上手くいったようでした。

 

まとめ

人それぞれ体が悪くなる事情は違います。その事情ということには、その人の日常の過ごし方や、ものの考え方、行動の起し方、もっと大げさな事を言えばその人の人生感とかが反映されています。そこを探し出す事が一番大事ではないかと思います。

中には、もっとこうしたら良いのに、と思えるような方もいらっしゃいますが、それこそその人と自分とは違うので押し付けるような事はできません。ホント、人それぞれ事情がありますからね。

ですが、折角、当院にお越しいただいたのだから、より良くなるためのご提案は色々させていただきます。間違った思い込みで振り回されている方も結構いらっしゃいますので。少しでも当院がその人のお役に立てること駕できれば幸いです。

では、今回のご報告はこんなところで。