最近、バレエ教室が流行っているようですが、無責任な指導者による健康被害も増えているようです。そのようなことからお子様を守るためにも親御様がもっと知識を持って、価格が安いからなどの安直な理由でなく、本当にその教室がお子様のためになっているかを考えて通わせる必要があると思います。

今回はそのような考えから記事を掲載することにしました。

 

バレエテクニックは身体に無理のないモノって本当か?

クラシックパレエの指導者の中には、バレエの動きは解剖学的に理にかなっており、体に負担をかけないものだと説いている者もいます。

しかし実際には、多くの方が外反母趾や足の変形、股関節、膝関節の障害を生じています。

芸術家の支援を行っている「NPO法人芸術家のくすり箱」が行っている、トップレベルのバレエ団16団体に行ったアンケート調査でも、バレエは体に負担がかかり怪我のリスクが高いという回答が上がっています。

この調査ではプロ~セミプロクラスの対象であるので練習量も一般に比べ格段に多く、怪我のリスクが高いのはいたしかたありません。しかし、体力的に劣る一般人が同じようなバレエのテクニックに取り組むめば、体に負担のかかる動きは同じなので怪我のリスクも同じように高くなります。

基礎的な技術は同じで、ターンアウトは、ターンアウト。熟達者と中級者では運動の質や精度は違いますが、行っている運動自体は同じです。

無責任な指導者による健康被害が後を絶ちません。下記にその一例として主に脚部に関することをご紹介してます。

 

リノリウムについて

あるベテランのバレエ教師が床材に関してこの様に言いました。
「ウチはリノリウムを敷いてるから騒音も衝撃もないのよ」と。

私はこのことを聞いて「この人、本気でそう思っているのか?」とちょっとビックリしました。

リノリウムとは、亜麻仁油、石灰石、木粉など天然素材を使った床材で、昔は船の甲板などに使われていました。現在では介護施設や、公共施設で使われることが多いです。

クラシックバレエ業界でリノリウムが盛んに使われるようになった背景には、フローリングの床だと滑りやすいため、滑り止めとしての効果を期待されてのことです。

リノリウムの性能として弾力性があると謳われていますが、クラシックバレエ用のシートでは2㎜前後の厚さが一般的です。この程度の厚さでは、人間が飛び跳ねる衝撃を緩衝する機能はほとんどありません。しかもバレエの場合、トゥ・シューズという接地面積が極端に小さい靴で着地するので、なおさら体重が一点に集中するのです。

実際、リノリウムが他の床材との機能差がどの程度あるかを実験した研究が多数存在します。
介護施設での床材間における骨折の割合の研究では、リノリウム、木材フローリング、塩化ビニールシート、カーペット、クッションフロア、コルク床材、プラスチックタイル、畳、その他というラインナップで比較したものがあります。
その中で、リノリウムがその他床材を除くと転倒骨折率がワーストとなります。転落骨折率がワーストから2番目、転落転倒骨折率もワーストという結果です。
これから導かれる結果は、リノリウムには衝撃吸収能力はあまりないといえることです。

また病院施設による騒音・振動防止効果に関するアンケート調査でもリノリウムはカーペットに比べ効果が低いことが述べられています。

身体がまだ完成されていない子供達の足を守るためにも、床材に対して指導者はもう少し配慮する必要があるのではないかと特に感じます。

 

外反母趾

成長期を過ぎる前にトゥシューズ(ポワント)のレッスンをするのは足の変形のリスクが高まります。イギリスの著名なバレリーナの言葉に「トゥシューズはプロになるつもりがないなら一生履かない方が良い」というのがあります。それだけ身体に悪いということです。

ポワントができるようになる以前は、バレエシューズでのレッスンがメインになります。つま先立ちを頻繁に繰り返すので、前述のように硬い床で練習していると中足骨頭に負担が集中し、炎症を起こしやすくなります。それが母指側に集中すると外反母趾となります。トゥシューズを履く事によりこの症状はより進行します。

予防には基礎的な筋力と、硬くない床が必要です。

 

ターンアウト

トップバレリーナの中でもターンアウトは身体に悪いと思っているダンサーは多くいます。ターンアウトとは両つま先を外側に横一直線になるくらい開いた姿勢で、バレエといえばこの姿勢を思い浮かべる人も多いでしょう。

しかしこの姿勢は解剖学的には全く無理な姿勢で、そもそも股関節はこのような過外旋(外へ捻りすぎ)するようにはできていません。赤ちゃんのような骨ができあがっておらず、軟骨主体であれば難なく外へ開く事もできますが、二足歩行するようになると股関節のはまりは前を向くようになり、それを補強するように強力な靱帯で固定されます。

開かないものを無理に開くので、その代償として今度は膝が無理に捻れる負荷がかかります。そのため膝が故障してしまうのです。特にジャンプからの着地で膝の捻れがあると、かなり故障リスクが高まります。

 

 

最後に

ここでお断りしておかなければならないことは、将来プロを目指してやっていくという場合は話は別です。身体に悪いからあれもこれもやらない、という訳にはいきません。ダンスに限らずスポーツ全般に言えることですが、競技者として身体を酷使していけば自ずと無理がたたり、どこかしら故障がでてもおかしくはありません。それを如何にして動作の質を高めたり、身体機能をたかめたりして故障のリスクを減らすかということになります。

また趣味、楽しみとしてやる分にも、身体に良い悪いとは別な話で、思いっきりやれば良い。ただしそれは「健康のためにやる」というのとは違ってくるということです。

現在、バレエ教室に通われている方、お子様を通わせている方、またはこれからその予定の方へ、この記事がバレエの障害やその予防に対する考えに一石を投じることができれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

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