ヘルニア様のギックリ腰でのご来院

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今日は、ダフィーカイロの坂木です。

今回は、ヘルニア既往のあるギックリ腰のクライアント様のご報告です。腰痛の発症原因にはいくつか種類がありますが、今回は障害部位が椎間関節であるのと、椎間板や筋肉であるのとでは対するアプローチも違ってくると言う事を中心にお伝えしようと思います。

 

また、回復過程には時間が必要であり、それが何故、必要なのかという事もお伝えしようと思います。今回の記事が、現在、腰痛の回復を図っている方への何にか参考になれば幸いです。

 

 

1、腰痛へのアプローチで絶対的に必要な事

ギックリ腰は放っておいても治ります。

しかし中には、平均的な回復の仕方より時間がかかったり、治りが悪く何時までも痛みが残ったりするケースがあります。そのために我々がしなければいけない事は次の2点です。

①腰痛が治らない要因を取り去ってやる事

②腰痛を起こさないように予防してやる事

そのために必要な事は、何故、腰を痛めたかのメカニズムを探し出す事です。この点が非常に重要です。この腰を痛めるメカニズムの修正が行われないと、何時までも腰痛が治らなかったり、一時治ったとしても再び発症します。

 

2、腰痛の分類とそれに対する手技の効果

一般的な腰痛は4種類あります。

①椎間板性腰痛…椎間板ヘルニア、椎間板変性など

②椎間関節性腰痛…椎間関節変性、椎間関節捻挫など

③筋々膜性腰痛…筋肉の炎症、トリガーポイントなど

④仙腸関節性腰痛…仙腸関節捻挫、仙腸関節機能不全など

これらの障害が起るためには、その部位に継続的な負荷がかかっている必要があり、それを取り除いてやる事が根本的な治療となります。つまり根本的な治療とは、この日常的に負荷がかかっている事柄(作業内容や姿勢など)を修正する事なので、ご自分でやらなければいけない事だということです。日常的にその人に指導者が張り付いて、事細かに修正させていくなどと言う事は現実的ではありません。実際、そんな人がいたらうっとうしくてたまらないですよね?

何か骨や姿勢に施術を行い、その場で症状が改善する事を即時効果と言います。例えば腰が前かがみにすると痛かったのが、ある手技を施し、再び腰をかがめると痛みが出なくなっていたというような事です。しかし、すぐに効果が出る事は、すぐに効果がなくなります。

それに対して効果がずっと続いている事を継続効果といいます。継続効果を生み出すためには反復して体に刺激を加えたり、動かしたりする事が必要です。そのことで神経を通し、体と脳にインプットする事ができます。これが根本治療の要点です。

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3、症例

3-1、初回時

今回のご紹介のクライアント様は、30代の大工の男性です。床材の貼り付けでずっとかがんで作業していたら腰が痛くなり、立ち上がるのも困難になってきたという訴えでご来院されました。特に現状では腰が痛くて曲げれない、これでは仕事にならない、ということです。

実際、腰を動かしていただくと前かがみは30°で痛みが出ます。逆に反らす動作では痛みが出ません。屈めて足の方に痺れが出る事も無く、腰の痛みと若干の太もも裏の違和感を感じます。

教科書的には、この様な兆候を見せる方は、椎間板のヘルニアの疑いがあります。腰を曲げる事により、後へ椎間板が押し出され症状を悪化し、逆に腰を反らす事により、椎間板が前方へ押し出され症状が軽減するためと言われています。

しかし実際には、筋肉性の炎症だろうと、椎間関節性の炎症だろうと、炎症が起きていれば刺激を加える事により痛みが出るので、これだけでは一概にどこが悪いかは言えません。

完全に椎間板のヘルニアが飛び出している状態では、神経を押してしまうので、足先に向かって痺れが出てしまいます。今回は、足先への痺れは出ていないので神経症状は否定できます。

前述のように骨の関節の動きを促すような手技をすることによって、この症例の方もすぐに前かがみが痛み無くできるようになりました。これを鑑別的施術と言います。障害部位の原因特定を行うために行います。

しかし、この場合考えなければいけない事は、この手技をこのまま進めていく事が果たして良いことかどうかという事です。

前かがみを促すという事は、椎間板の後方移動を促すという事なので、仮に椎間板が後方へ出ている事が障害の原因となっている場合、それを促進している事になります。

そこで、今度は椎間板を前方へ戻す手技を行います。すると今度は前かがみの動きが再び阻害されるようになります。このように前かがみが痛くてできないので、前かがみの動きを促す施術をそのまま施術のゴールとして設定していくのが良いのでしょうか?また、前かがみの動きは一旦置いておいて、毎日の作業姿勢から椎間板が後方へ移動させられているのは明確なので、前方に促す施術をゴール設定にするのが良いのでしょうか?このように考えると、目指すものやアプローチの仕方が違ってきます。

理想的には一つの手技で両方達成できればベストですが、当院はいらっしゃるクライアント様はなかなかそのような「ぬるい」症状の方はおいでになりません。

したがって今回は椎間板性の問題の可能性が高そうなので、そちらメインのアプローチで施術をすすめることにし、実際の施術に入りました。椎間板の矯正は、腰骨の伸展運動(反らす動き)を促すように関節運動をつけていきます。また、炎症がある場合は患部に負担がかからない様にコロセット等で負荷の分散をさせ、患部を休ませることが回復を促すポイントになります。

 

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3-2、2~3回目

2日後に2回目の再来院となります。前かがみが45°の位置まで痛み無くできるようになりましたが、まだ残ります。2回目は初回と同じ椎間板性の処置を行っていきます。

その3日後に3日目の施術となります。痛み自体は大分治まり、午前中は痛みもなく仕事をこなせるようになったとのことですが、1日中床材の貼り付け作業で屈んでいるので、午後になると背中・腰が張ってくると言う事です。筋肉性の問題の方が割合が高くなってきたみたいなので、その処置を重点的に行うようにしました。内容としては、超音波による血流促進、筋のリリース手技と運動療法になります。

3-3、4回目

その日、調子がかなりよかったらしく、作業中のコロセットをはずしてしまい一日中床材の貼り付けで屈み作業を続けていたそうです。日中は何とも無かったそうですが、帰宅後腰の痛みがぶり返してきたとのことで、急遽、ご来院になられました。この時は、初診時とは少し痛みの性状が違っていて、今度は腰を反らすと痛く、曲げる方が痛みが少ないとのことでした。

治りかけの時は、まだ患部は不安定な状態であるので、痛みが軽くなったからと無理をするとぶり返すと言うのはよく経験する事です。炎症が起っているという事は組織が傷ついているという事です。組織の回復には2週間以上時間がかかります。ですので、その期間は無理に負荷をかけないという事が必要です。

この回では再びぶり返してきた炎症を抑えるための処置を行い、改善のアプローチも振り出しに戻った状態になってしまいました。

 

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3-4、5回目

2日後のご来院となりました。今回の痛みは関節性より筋肉性の炎症の方が強いようでした。不安定になっている関節・椎間板を固定しようと周辺の筋肉ががんばって炎症を起こしたようです。

この様なときにグイグイ揉んだりすると逆に悪化します。アイシングを中心として炎症処置と、周辺関節の可動性の向上で患部に負担がかからないような状況を作っていきます。

基本的は、急性期は安静にしているのが一番回復が早いですが、この時は仕事の忙しさがピークで、休んでいられないとのことなので仕方ないです。少しでも回復が早く促されるように、また仕事中も患部に負担がかからないようにという2点を目標に施術を進めていきました。

 

3-5、6回目

3日後のご来院。現状ではかなり腰の動きは回復してきていますが、まだ鈍い痛みが残るとのこと。回復期は、急性期と違い壊れた組織がどんどん修復されている時期なので、その修復組織がなるべくもとの状態に近づくように矯正・運動を加えてあげなければいけません。

現在、まだ加療中ですが、痛みがなくなったあとも再び同様の症状を起こさないように、予防的な処置をしていく事が大事となってきます。

 

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4、症例の考察

今回の症例では、当初の急性腰痛は椎間板性もしくは椎間関節性と思われる腰痛でした(椎間板性の可能性の方が高い)。その後の2度目の急性腰痛は筋肉性の腰痛でした。これらは割合の問題で、両方が痛みに絡んでいると思われます。もともと日常的な作業内容からどちらの障害を受けていても不思議ではありません。

しかし、対処するときは、やはりどちらの問題の割合が強いかを確認し、それに対してアプローチする方が改善効果がより大きく現れる可能性があります。また、それに基づいて日常の気を付けていただく注意点やケア法などの指示もさせていただいているので、この問題を引き起こしている原因の特定はできるだけ出来たほうが良いのです。

そして、一旦痛みが軽減しても、内部の組織はまだ修復段階で、安定していません。組織の炎症は周囲の筋肉の働きを弱らせます。そのため、キチンと背骨を支えていけない深部の筋の働きが弱くなり、それを支える他の部位も負担がかかる、といった具合に悪循環になっています。

ある程度痛みが引いたら、この筋の機能不全を改善するような処置をしていかないと、機能不全はそのまま残ってしまいます。そのことを解消する事がが腰痛予防では大事な事なのです。

 

5、まとめ

今回の症例報告では、腰痛の種類別に対するアプローチの違いの重要性と、回復途中で油断すると再び悪化するということを時間系列的にご紹介していきました。

現在、腰痛の回復を図っている途中の方も、この様なケースもあるので油断せず、無理をしないで回復に取り組まれるといいとおもいます。

今回は、この辺で。では。

 

 

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