当院では、神奈川県で不妊にお悩みの方の応援をしています。
不妊のカイロプラクティックによる対応を説明いたします。

通常の性生活を営んでいる場合、妊娠成立する割合は、1回に排卵周期につき25~33%と考えられています。日本の統計では、3ヶ月以内に50%、6ヶ月以内に70%、一年以内に85%、2年以内では90%が妊娠成立するといわれます。2年以上経っても成立しない場合を不妊と呼びます。

不妊矯正も行っている大和市のダフィーカイロプラクティック南林間整体院

 

目次

不妊症の現状

現在、全国では出産の約4人に1人が35歳以上のいわゆる高齢出産といわれています。35歳以上の出産の割合の具体的な数字では、平成12年が全体の11.9%であったのが、平成23年では全体の24.7%を占めるまでになっています。

体外受精などの高度な生殖補助医療によって生まれる子どもは、日本産科婦人科学会の2010年の統計によると28,945人となり、全出生の約37人に1人に当たります。

日本産婦人科学会発表の平成22年度体外受精実績を挙げますと以下の通りです。

新鮮胚(卵)を用いた治療 延べ人数67,714人 出生児数4,657人 成功率15.9%
凍結胚(卵)を用いた治療 延べ人数83,770人 出生児数19,011人 成功率22.4%
顕微授精を用いた治療 延べ人数90,677人 出生児数5,277人 成功率13.5%
全ての治療の延べ人数 242,161人 出生児数合計 28,945人

現在の不妊治療の問題点

治療費が高額になりやすい

不妊治療には、保険が適用される範囲と不適応の範囲があります。

保険適用になる不妊治療
 ①排卵誘発剤などの薬物療法
 ②卵管疎通障害に対する卵管通気法、卵管形成術
 ③精管機能障害に対する精管形成術

保険適用にならない不妊治療
 ①人工授精;精液を直接、子宮に注入
 ②体外受精;IVF-ET(体外受精による胚移植)とICSI(顕微授精)

自由診療で行われる人工授精では、1回1万~3万円が相場といわれています。
体外に卵子を採り出して受精させる体外受精では、1回で30万~80万円かかってしまいます。

また、若い人でも体外受精などの高度生殖補助医療で出産できる可能性は高くなく、1回につき2割ほどとなります。40歳では1割を、45歳で1パーセントを切ると言われています。

現実的には、出産に辿り着くためには複数回、治療を受ける事になります。
そのため、治療費もかさむ事になります。

これに対し、厚生労働省は不妊治療に対し公的補助金の制度を設けています。
・タイミング法、薬物療法、人工授精などの治療およびその検査⇒一般不妊治療費助成事業
・体外受精および顕微授精など高度生殖補助医療の保険診療外の費用⇒特定不妊治療費助成事業
しかし、所得制限(夫婦合算で前年所得が730万円未満)や回数、通算年数、年齢制限などが設けられていて十分な治療を受けられないケースが出ています。

医原病としての問題点

薬には副作用が存在するように、高度生殖治療にも少なからず医原性の問題が起こる可能性があります。代表的なものを挙げてみたいと思います。

①卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

重症の場合、生命の危険にかかわる、不妊治療による医原性症状では最も注意しなければいけない状態です。卵子を多数採取するため、排卵刺激が過剰にかかり、卵巣が腫れ、エストロゲンが過剰に分泌されたことから毛細血管の血中より水分が腹腔に染み出し、腹水が溜まります。また、腎臓に影響し、腎不全や血栓症を引き起こします。

②採卵時の腹痛・腰痛

膣壁を貫通させ、卵巣に針を刺すので、その後腫れます。数日間、下腹部痛や腰痛で悩まされます。痛みの程度は個人差があります。

③卵管検査や治療時の痛み

ひっついている卵管を剥がすので、その際、痛みを伴います。痛みの程度は癒着具合などにより個人差があります。

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photo credit: JessicaLindsay04 via photopin cc

 

妊娠のメカニズム

妊娠は、男女両方の協力で達成されます。何故、妊娠しないのか?を知るためには、まず妊娠するためのメカニズムを理解する必要があります。特に男性の場合は、妊娠メカニズムを知らないばかりにタイミングを逃している場合が多く見受けられます。

男性の場合

男性における性ホルモンは精巣から出されるテストステロンが95%を占め、残り5%を副腎からつくられるDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)が占めます。精巣は女性と同じく、脳下垂体からでる黄体化ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)によりコントロールされます。

精巣では、精子の元になる祖精細胞というものから、精母細胞、精子細胞、成熟精子へ64~74日かけて成長します。精子細胞になる各段階で、細胞は分裂し、2ヶづつ増えていきます。

精巣は体温より低い温度に保たれている必要があり、通常では約32°になっています。静脈瘤などの血管障害により精巣の温度が上がると、精子の形成に問題が出てきます。

精子は1日に5000万~1億くらいを精巣で作られ、1回の射精で1億~4億くらいが放出されるといわれています。卵子の細胞は生まれてから新しく作られる事がなく、生涯の個数が決められているが、精子の場合は、思春期から作られ始め、高齢になっても作る事ができます。

女性の場合

子宮断面図(内部名称図解)
(c)フリーメディカルイラスト図鑑

①卵巣

子宮の横に左右1ヶずつ卵巣があります。そこに卵子の元になる原始卵胞が胎児のときに約680万個作られ、その後は新しく作られることはありません。卵子は、卵巣で出番がくるまで休眠しています。
卵胞の蓄えは出生後200万に減り、思春期には20~30万に減ります。さらに排卵前段階へ到達することができるのはたった400の卵胞だけと推定されています。

原始卵胞は覚醒(成長のスタート)から120日くらいかけて前胞状卵胞になり、そこから月経周期1回分を経て(35日くらい)、成熟卵胞(胞状卵胞/グラーフ卵胞ともいう)になります。この頃から卵胞刺激ホルモン(FSH)の影響を受けるようになり、成長が加速します。

この時点で、排卵前卵胞が3~11個だけ生き残る事になり、残りの成長していた卵胞は死滅します。そこからさらに月経周期を1回と14日を過ぎたあたりで、最終的に最も大きい卵胞(主席卵胞)のみが排卵されます。このときの主席卵胞の直径は18~20mmになっています。検査では、超音波等でこの卵胞の大きさを測定し、排卵日を予測する事ができます。

発育の過程で多くの卵胞が死滅し、その数は報告によると、毎回の月経時に300~1000個とあります。数字に開きがありますが、これは年齢が上がるにつれ、覚醒に参加する卵胞自体が少なくなっていくためと思われます。つまり、年齢が上がるにつれ原始卵胞のストックが減ってくという事です。

月経から排卵までの間が卵胞期とよばれる、基礎体温表でいうところの低温期に当たります。

排卵後、卵子が飛び出た穴は、血が固まり塞がれ、卵胞内の細胞から黄体が形成されます。
排卵から月経までを黄体期といい、黄体から黄体ホルモン(プロゲストロン)が作られ、放出されます。このホルモンが子宮に働き、子宮内膜の状態は受精卵の着床しやすいように、厚みが一番厚くなっていきます。基礎体温表でいうところの高温期に当たります。

大和市の整体ダフィーカイロプラクティック受精卵模式図
(c)フリーメディカルイラスト図鑑

②子宮内膜

子宮内膜は卵巣から分泌されるステロイドホルモンによって制御されています。子宮内膜は3層構造で、中間層(海綿層)と表層(緻密層)がホルモンにより変化し、厚みが増したり、月経時にはがれて排出されたりします。

月経1日目から数えて5日目より14日目くらいにかけ子宮内膜の厚さは、1mmから3~4mmに厚くなります。これを増殖期とよびます。
その後の15日目~28日までにかけて、子宮内膜の厚さは7mm以上に達します。
卵巣の黄体が萎んでプロゲストロン、エストロゲンがともに低下してくると、子宮内膜の中の動脈が収縮し、内膜の中間層・表層がともに死滅し、脱落し、血液とともに月経として排出されます。

③着床

排卵後、卵巣のすぐそばにある卵管の取り口から卵子が取り込まれ、卵膨大部という精子の待合所があり、そこで精子と合体し、受精となります。卵管に到達した精子の受精能力は、24時間以内といわれています。卵子も排卵後の受精能力は、12~24時間と考えられています。つまりこの時間内にうまく受精が成功しないと死滅します。

めでたく受精すると、受精卵は子宮に降り立ち、子宮内膜に食い込みます。子宮内膜に着地するのが受精後6~7日、内膜内に進入完了するのが12~13日ごろとなり、これを着床と呼びます。

【0485】受精卵の分割【成長】
(c)フリーメディカルイラスト図鑑

受精卵は、受精後どんどん分割していきますが、外側をトロホブラスト(栄養胚葉)とよばれるもので取り囲まれています。通常、外から自分の細胞とは違うものが進入してくると、外敵とみなし排除しようとします。これを免疫と呼びます。受精卵も自分の細胞とは違う、他人の遺伝子を持った精子からできているので、排除されそうなのですが、トロホブラストなどが作用し、母体から攻撃されないようになっています。

また、トロホブラストからはヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンが出て、卵巣の黄体に働き、プロゲストロンやエストロゲンを作り続けるように作用します。

ヒト絨毛性ゴナドトロピンは受精後8~10日目から尿中にも排出されるので、妊娠検査薬ではこのホルモンを検出する目的で作られています。

子宮内膜は着床すると表層と中間層が脱落膜というものに変化します。これは、受精卵が母体からの免疫で攻撃されないように、また受精卵の組織が母体に進入しないように保護する機能があります。受精卵の栄養も担っています。次第に脱落膜は増殖して妊娠4ヶ月末には子宮内の空間は閉じられます。

妊娠メカニズムの問題点

それは、年齢とともに成功率が下がるということです。

男性の場合

精子数は加齢とともに減少していきます。精子の運動能力も落ちるといわれています。しかし、それが不妊に直接関係あるかは不明です。精子の受精能力は年齢に関係なく、高齢になっても大して変化しないといわれています。しかし、自然流産のリスクが上がることは研究で指摘されています。

女性の場合

女性の妊孕性(にんようせい)(妊娠する力)の低下は、おもに卵子の老化によるものと考えられています。

女性の卵子は年齢を重ねるにつれ卵子内にあるミトコンドリアというATP(アデノシン三リン酸)をつくる器官が劣化し、ATPを作れなくなる事で生存エネルギーを得ることができなくなり、活力が弱ってしまいます。そのため、受精に支障がでたり、受精後の発育不良や、染色体異常になったり、着床できなくなります。

卵巣にある卵子は、分裂している途中で休眠状態になっています。それが排卵をきっかけに分裂が再開され、受精をすることで分裂が完了するのです。

分裂過程の途中で休止期間が長くなると、それだけ染色体にも障害を受けるリスクが増す事になります。ミトコンドリアが劣化していると細胞のエネルギーが十分でないので、細胞分裂も上手くなります。それも染色体の異常を発生させます。

高齢出産のハイリスク要因にダウン症の子供が生まれやすいというのがあります。20歳代で1500人に1人、30歳で1000人に1人、35歳で400人に1人、40歳で100人に1人、45歳で30人に1人の確率で生まれるというのが統計学上あります。これは、染色体異常によるもので、年齢が上がるにつれ、染色体にも異常が生まれやすくなるという証拠です。

一般に、細胞や遺伝子が傷つく原因に酸化(活性酸素)が挙げられます。卵子の劣化にも同様に活性酸素が要因に挙げれれていて、そのため抗酸化物質を摂ると良いとされています。

 

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不妊症のメカニズム

不妊症の原因は女性の原因のみが約40%、男性の原因のみが約24%、男女ともに原因がある約24%、残りの12%くらいが原因不明といわれています。報告書によっては、原因不明不妊症は20%くらいあると報告しているものもあります。

不妊の原因には、器質性不妊と機能性不妊があります。

女性の場合は、①排卵障害 ②卵管障害 ③着床障害 ④頚管障害 が挙げられます。
器質的性不妊とは、原因が明らかで、診断可能なもを言います。問題が判っているので、治療方法も明確になります。
機能性不妊とは、原因不明な不妊症のことを指します。

原因がわかっているものは、病院での治療ですむと思いますので、カイロプラクティックがアプローチしていくのは、原因不明の機能性不妊がメインになると思います。これは、構造的な問題がなく、生理学的なシステムが上手く働いていないために起こると考えています。

また前述の通り、最近では年齢的な問題で卵子の老化も話題になっています。

器質的な問題は不妊治療関連の書籍や、医療関係のホームページなどで詳しく掲載されていますので、ここでは割愛させていただき、機能的な問題に焦点をあてて述べて生きたいと思います。

不妊で考えられる機能的問題とは

女性に関する部分で考えられる可能性としては次に挙げるものが主だったものです。

①免疫系の調整が上手くいっていないために起こる。
②子宮内膜が着床にふさわしい状態にならない。
③生殖器以外の臓器でも妊娠に対し、状態が備わっていないため

次の項からは、上記に挙げた内容を説明していきたいと思います。

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photo credit: Cristi Sebastian Photography via photopin cc

 

免疫系から見た不妊のメカニズム

当院では、世界的免疫学者である新潟大学大学院医学部教授の安保徹先生の生物学的2進法を基にした免疫論を採用しています。

免疫系の話は、細かい細胞や物質の名前がいっぱい出てきたり、複雑でややこしいので、かいつまんだ概要を基礎知識としてまとめてみました。先にそちらをお読みください。

>>免疫システムの基礎知識

妊娠免疫

安保理論によると妊娠時の免疫は、以下のような状態であると指摘されています。

①胎児が母体に付着する胎盤成分の主体である絨毛上皮細胞上には、多様したMHC抗原が発現されないので、胎児は母体から拒絶の対象とならない。

②子宮脱落膜中に、多数のNK細胞や胸腺外分化T細胞が存在する。増殖し続ける胎児細胞群が母体に迷入しないように、子宮が防衛体制を敷いている。

③妊娠が進むにつれ妊婦は交感神経優位となり、アドレナリン受容体を持つ顆粒球、NK細胞、胸腺外分化T細胞が子宮粘膜に増加してくる。胎盤から分泌されるエストロゲンも白血球を増す力に供与する。

④アドレナリン・レセプターを保有する顆粒急・NK細胞・胸腺外分化T細胞は、母体の交感神経過剰反応によって増えすぎる事がある。胎児を攻撃する。

⑤顆粒球やNK細胞が増加する反応が過剰に生体に起こった時は、着床卵の拒絶などという妊娠に不利な現象が引き起こされる

免疫システムと女性ホルモン

免疫システムには、古い系統と新しい系統があります。
腸管と肝を中心とする古い系は、自己細胞の異常が生じた場合、速やかな排除することが目的となります。
胸腺、リンパ節、脾臓を中心とする新しい系では、外から進入してきた抗原の処理を目的に発達してきた系統です。

ストレスを受けると副腎からカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン)の産生されますが、同時にグルココルチコイド(糖質コルチコイド)やエストロゲンも放出されます。これらのステロイドホルモンは、通常の免疫システムを緊急時に対応した古い免疫系システムに変える役割を持ちます。

女性ホルモンのエストロゲンは妊娠・出産のための性器の成熟などを促すものであるが、同時に妊娠を成功させるための免疫パターンを作ります。それは、新しい系統である胸腺中心の免疫システムを、粘膜(腸・肝・子宮)中心の古い系統の免疫システムに変える事によります。
妊娠時の免疫状態とストレスに立ち向かう免疫状態はほぼ同じといえます。これは、交感神経が興奮した状態と同じという事を指しています。

妊娠による白血球の変化

妊娠の進行に伴い、白血球分画が変化します。白血球総数が増え、顆粒球自体も増加するためです。そのため相対的にリンパ球の比率が下がる事になります。妊娠39週目くらいがピークで、産後1ヶ月くらいで元に戻ります。

の研究によると、顆粒球はアドレナリン受容体を持ち、リンパ球はアセチルコリン受容体を持つ事がわかっています。
そのためリンパ球のT,B細胞はアセチルコリン受容体を持ち、交感神経優位の状態で減少します。
一方、NK細胞、胸腺外分化T細胞は、顆粒球と同様に、アドレナリン受容体を持ち、交感神経優位の状態で増加するといわれています。

 

免疫システムの狂いにより引き起こされる事

免疫システムの基礎知識でも掲載してある通り、正常妊娠の免疫状態は、アドレナリン受容体を持つ顆粒球、NK細胞、胸腺外分化T細胞を妊娠子宮に集積させ、増殖の盛んな胎児側の細胞が母体に迷入することを防でいます。この破綻が、良性の泡状奇胎や悪性の絨毛上皮腫になります。

交感神経が過剰になりすぎると高圧血症になります。また、過剰に増えた顆粒球、NK細胞、胸腺外分化T細胞が、子宮に付着した胎児細胞を攻撃して流産を引き起こすと考えられます。さらに増加した白血球群は、腎障害や肝障害を引き起こす可能性もあります。これが妊娠中毒症となるのです。

もともと妊娠前より交感神経過剰状態の人は、女性ホルモンの分泌が低下し、女性性器の成熟が抑制され、ふくよかさが少なくなるともいわれています。そのため受精卵が着床しにくくなります(子宮粘膜の血流障害や顆粒球の攻撃による)。

 

カイロプラクティック的免疫系を正常に働かせる方法

免疫と自律神経は関係が深い為、自律神経が乱れていると免疫系統も乱れます。自律神経系の乱れの要因として有名なのは、やはりストレスによるものです。ストレスには肉体的ストレス、生化学的ストレス(食べ物や毒物)などありますが、真っ先に思い起こされるのは精神的ストレスでしょう。

カイロプラクティックの効果の大きなものに身体のリラックスがあります。特に高度生殖医療を受けている最中は、心身ともにストレスを受けやすくなっています。前述の通り、ストレスを受け交感神経が過剰に働きすぎた状態でいると、免疫系が乱れ、妊娠成立を妨げる可能性があります。

高度生殖医療を受けている最中は妊娠する事ができず、やめてから自然妊娠した、という話はよく聞きます。これはまさにストレスにより妊娠成立を遠ざけていたと考えられます。

自律神経のおおもとは視床下部とよく言われていますが、ここはコントロールをしているところで、さらに脳の上位中枢と呼ばれるところから命令を受けています。そのため、上位中枢を含めて自律神経の調節を考えていく必要があります。

脳には右脳と左脳で役目が違い、そのバランスで機能しています。自律神経は両方の脳からの支配で機能していますが、やはり左右の脳バランスの影響を受けます。

脳は外からの刺激・情報を受け、その反応として体に命令を出しています。したがって、色々な刺激を体から入れてみて、その結果としてでてくる体の様々な反応を見て、脳機能の左右バランスを判断します。そのような方法から脳機能の左右バランスが整う方法をみつけ、修正に応用していきます。

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子宮内膜から見た不妊のメカニズム

子宮内膜は、受精卵の寝床になるところで、免疫や栄養の供給に重要なところです。

子宮内膜の厚みについて

子宮内膜は、排卵時に7mmくらいに発達していますが、妊娠に理想的なのは8~10㎜以上としている所が多くあります。逆に7mm以下や20mm以上では妊娠しずらい傾向にあると言われます。しかし、不可能では無く、妊娠例も多数あります。なお、多くの研究論文では最低でも5~8mmの厚みが着床には必要との見解を出しています。

子宮内膜は月経から排卵までの増殖期はエストロゲン(卵胞ホルモン)により厚みが増し、排卵後の分泌期はプロゲストロン(黄体ホルモン)によりさらに厚みと柔らかさが増します。

人工授精の研究によると10㎜に内膜の厚みが増すと、それ以上に内膜の厚みが増した場合と比べ妊娠成功率は同じであった、ということです。逆に内膜の厚みがありすぎると、内膜の内部の血流が不全になり、内膜内の栄養状態がよくなくなるという報告もあります。

内膜の厚みが厚い病気に子宮内膜増殖症と言うものがあります。原因はエストロゲンの過剰反応や、子宮内の不正出血、月経時に古い内膜が出きらずに残ってしまい、異常細胞の増殖ものと考えられています。

子宮内膜が薄い場合も着床しずらいので、産科ではエストロゲンやプロゲストロンの投与で内膜の発達を促したり、子宮内の血流を促進する薬を投与したりします。

不妊の場合は、内膜の厚さが薄いということで悩まれる場合が多くなります。

子宮内膜改善のためのポイント

子宮内膜の厚みは、卵巣より出される2つの女性ホルモン(プロゲストロンとエストロゲン)に左右されます。またそれに加え、内膜の充実度は子宮粘膜の血流具合で左右されるようです。この2点がポイントになると考えられます。

子宮や卵巣への血液の供給は、内腸骨動脈から血管が分岐して到達します。腹部大動脈から腰椎4番/5番あたりのところで分岐した左右の総腸骨動脈が、骨盤内に入ったところで内腸骨動脈と外腸骨動脈に枝分かれします。内腸骨動脈から子宮動脈や卵巣動脈に枝分かれします。一方、外腸骨動脈は鼠径部を通過して、大腿動脈になり脚へ血を送ります。
静脈はだいたい動脈と平行して走っています。
従って、下肢を中心とした全身の血流を促してあげる事は骨盤内の臓器の血流改善にも繋がります。

月経周期による矯正の仕方

子宮内膜の環境整備の為には、月経期、増殖期、排卵期、分泌期とあるそれぞれのステージで子宮が役割を果たせるように環境を整えてやる必要があります。

①月経期

月経時は、骨盤の中の臓器が充血し、骨盤内神経が圧迫されるため、頭痛・腰痛・腹痛などの不快な症状に悩まされます。その時期は人に触られたくないと、矯正を避ける傾向にありますが、月経中もしくは月経の前後に矯正を加える事により、子宮などの機能を整えて,子宮内の不要物をきれいに出し切ることが、次回の子宮内膜増殖で良質な内膜をはぐくむ事に繋がります。

また、子宮体の痛みを伝える神経は、交感神経と一緒に走行し、腰部交感神経幹(交感神経の束)を通り越して11、12胸髄あたりの脊髄に入ります(溝落ちの裏の少し下の辺り)。このように子宮の痛みを伝える神経は、腰から上の交感神経幹を介して脊髄に連絡しているので、直接、骨盤に触らなくても胸部・腰部を操作する事で生理時の不快症を軽減する事の可能です(ちなみに子宮頚・膣上部は2~4仙骨神経が支配しているので、骨盤の操作が必要です)。卵巣に行く知覚神経も下部胸椎からでて、交感神経、動・静脈と一緒に走行しています。

②増殖期

子宮内膜の機能層が作られていく増殖期では、主体となるのはエストロゲン(卵胞ホルモン)と栄養を供給する血流です。卵巣の働きが悪かったり、脳からの性腺刺激ホルモンの働きが悪かったりすると、ホルモンバランスが狂い、子宮内膜の発達にも影響が出ます。また、子宮への血液供給が調子悪いと同様に影響出ます。

子宮内膜の発達を促すため、また排卵がスムーズに行くようにするため、増殖期や排卵期前に子宮内環境を整える目的で、血流改善と支配している神経への刺激を加える事が有効です。

③分泌期(排卵~月経まで)

分泌期は、胚移植やタイミング法などで結果待ちの方は、この時期はそのまま様子を見ます。卵巣過剰刺激症などで不妊治療を休止中のや、特に妊娠の為の活動を行っていない方は、生理周期の順調な運営化のために分泌期にも矯正を加えます。

この様に月経周期に合わせた矯正タイミングで行うと、最大月4回くらいになりますが、生殖治療中を考えますと、月経前・排卵前の月2回くらいのタイミングを見計らって矯正を加えていくのが良いと思います。

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体内環境から見た不妊のメカニズム

妊娠中は胎児の成長を助けるため、内臓諸器官の働きがいろいろ忙しくなってきます。

循環器系統 

胎児に栄養・酸素を供給するための血液を送らなければいけないので、その分、血液量が増加します。妊娠34週ごろをピークに妊娠前より約40%強増えます。血液を送り出す心臓の仕事も増え、心拍出量も34週くらいをピークに妊娠前の40%増しになります。この頃が一番心臓に負担がかかるので、心臓に問題のある人は、心不全を起こしやすくなります。また、分娩時や分娩数日間も心臓負担が大きい時期といわれています。

消化器系統

胃や腸の動きが鈍くなり、便秘になりやすくなります。また、妊娠後期には大きく膨らんでくる子宮に押し上げられ、余計に便秘しやすくなります。胆のうも緩み、胆汁の流れが滞り、胆石症を起こしやすくなります。

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泌尿器系統

腎臓の働きが忙しくなります。糸球体ろ過値(GFR)が妊娠中期をピークに妊娠前より50%増しになります。尿量も増加し、膀胱は子宮に圧迫され、頻尿になります。

全身の代謝

胎児の成長に合わせ、各代謝が顕著に変化します。基礎代謝や酸素消費量が妊娠末期をピークに妊娠前の20~30%増加します。水分代謝量が妊娠前より、胎児・胎盤・羊水・母体の血液と細胞外液の増加の分で、7.5㍑ほど増えます(妊娠末期)。胎児はグルコース(ブドウ糖;炭水化物/糖質を分解したもの)をエネルギー源にしているので、母体の糖代謝がかなり変わります。それは、食後の血糖値とインスリン値が高くなり、空腹時でもインスリン値は高い値で、逆に血糖値は低くなります。

ホルモン系統

下垂体前葉からプロラクチンが増加。妊娠末期がピークで妊娠前の10倍量が出る。子宮の脱落膜からも羊水に向けプロラクチンを作る。したがって、羊水中はプロラクチンの濃度が母親の血中よりかなりの高濃度になります。これは、胎児の水・電解質の調整や、肺の形成に関わっています。

胎盤からは、プロゲストロンが大量に作られます。子宮の収縮を抑えています。エストロゲンも妊娠後期に向け大量に作られます。子宮組織を丈夫にします。

甲状腺ホルモンも妊娠18週くらいに妊娠前の50~70%増しになり、そのまま維持します。副腎からのホルモン(コルチゾールやアルドステロン)も増加します。

カイロプラクティック的体内環境の整え方

この様に妊娠中は、心拍数・心拍出量、甲状腺ホルモン・副腎ホルモン、基礎代謝、酸素消費量などが増加し、逆に消化器系統が鈍化してくるなど、まさに交感神経が興奮しているときと同じ状態になっています。つまり活動的な状態がずっと維持されている事になります。そのため、もともと母親の体がその活動過多の状態に耐えられるような体調や基礎体力がないと、妊娠することを受付け無いと思われます。

もともと自律神経の交感神経・副交感神経のバランスが乱れていたり、疲れすぎていたり、ストレスを抱え込み過ぎていたり、ということが要因として考えられます。

自律神経とホルモンバランスは密接に関係があります。それは、視床下部というところが両方の司令部だからです。妊娠に多大な影響を及ぼす女性ホルモン(エストロゲン、プロゲストロン)は視床下部の下にある脳下垂体というホルモンを分泌する器官から卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)(二つを合わせてゴナドトロピン/性腺刺激ホルモンという)を放出します。ともに卵巣に働きかけ、そこから月経周期が作られるのです。

この様に各内臓器官が不調であったり、体内を調整している神経系統やホルモン系統が乱れている事も妊娠を遠ざけている要因になっていると考えれれます。

また、カイロプラクティックやオステオパシーでは、内臓は消化管の蠕動運動(食べたものを消化しながら送り出す動き)の他に、呼吸器系の動きや脳脊髄液の動き、循環器系の動きなど、色んな動きの影響を受けながら内臓自体も独自のリズムで動いていると考えています。

そのため、これらの動きを整えてあげる事も体内環境の整備に繋がります。

不妊のためのカイロプラクティックのまとめ

体内環境・体質改善を図りながら、子宮内膜の厚さと充実度が理想的になるように、また卵巣機能が正常に働くように、神経系統と血流の改善をまずは目指していくのが第一歩になると思います。

精神的、肉体的にリラックスすることは、神経系統にも重要で、カイロプラクティックの手技は心身のリラックスに効果的です。

人それぞれ体調を崩す原因は違うので、その障害箇所や改善方法を探していく事になります。ここと、ここをやっとけばOK!っていうのは無いです。

不妊治療は長期になる場合が多くあります。あせらず、心に余裕を持って挑んでください。カイロプラクティックが手助けになれば幸いです。


大和市の整体、ダフィーカイロプラクティック不妊矯正photo credit: Adrian Dresler via photopin

 

 

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