今日はダフィーカイロプラクティックです。

膝の前面内側の痛みの訴えは、成人で膝に症状を訴えるなかで一番多い障害です。同じくらいに多いのはお皿の中の痛みで、これが成人の膝の訴えの2大患部です。膝の構造から言って膝は内側に入りやすく、お皿は外側にズレやすいので、それが原因になります。

今回も特に運動をしている訳ではないが、日常的な動作で特に膝の内側を痛めたというクライアント様が続いたので、その症例のご紹介です。

 

 

 

膝のお皿の内側の痛み

膝のお皿の内側から、膝の真横までの間の区間で痛みを訴える方が多くみられます。この部位の痛みの原因となり得る構造物としては、

①頚骨内側上果の骨棘

②内側の半月板

③内側膝蓋支帯

④内側膝蓋大腿靭帯

⑤膝蓋下脂肪体

⑥鳶足

⑦滑液包

などがあります。下の図には鳶足と膝蓋支帯、膝蓋大腿靭帯は記載されていません。これらの組織は存在している位置が微妙に違うので、痛みが出ているポイントを確定し、痛み方が表層の組織からきているのか、深部からきているのかなどから、どの組織が痛みの発生源になっているか鑑別します。


From Wikimedia Commons By Tosaka – Own work by uploader (Ref: 井上和彦・福島茂著 『ひざの痛い人が読む本』 講談社ブルーバックス 2006年10月20日第1刷発行 ISBN 4062575227), CC 表示 3.0

 

痛みの箇所が特定できたなら、どうしてその部位が痛くなったのか、また、どうして痛みが治らないかを考えます。痛みが出る動作や、痛めてしまった時の状況などを考慮し、どのようにすれば痛みを感じずになるか、どのようにすれば痛みから治るかを探っていきます。

施術院の処置でその場では痛みが出なくなっても、日常の生活を繰り返す内に痛みが戻ってくることはよくあります。痛みをぶり返させる動作を無意識的に行っているためです。日常で痛みが出る動作はどのようなものであるか?痛みがでる前に続けていた姿勢や作業があるか(片膝をついて床でずっと作業していたなど)?などを考えていく必要があります。思い当たるものがあれば、それを避ける、もしくは修正していきます。

また、慢性化に伴い精神的な状態が痛みの増減に関わることがあります。イライラしていたり、不安感を持っている状態の人は痛みに対しても敏感になりやすいのです。通常ですと、すでに治癒していてもおかしくないような期間を経過しているのにも関わらず痛みが消えない、もしくは一旦消えてもすぐぶり返す、というような人は自分の精神状態を省みて、リラックスするような環境づくりを心がけてみるのも必要かもしれません。

 

 

膝を定期的に痛めている50代女性のクライアント様

初診

用事で急いでいたので道端で早歩きをしていたら、何かの拍子に膝を軽くひねったそうです。その瞬間グキッと膝が抜ける感じがしたそうですが、その時はその場では何にもなくすんだそうです。当日の夜、飼い犬の散歩中に急に膝が痛くなり、あわてて帰宅。

数日後に当院へお越しになりました。本日の朝までに痛みは減っているとのことで、検査をしてみると階段の昇りの時や、靴下を履くときに膝を深く曲げ足を又のところにもってくる姿勢(いわゆる片あぐら)の時が痛みが出るようでした。

経過

初回時の検査では圧痛点は内側々副靭帯にありましたが、片あぐらの位置では膝のお皿の内側下方が痛むと訴えます。場所的には脂肪体組織か、膝蓋支帯の部分です。どちらも痛覚神経がある場所なので、痛む原因になります。脛骨の位置を操作すると痛みが減るので、それを繰り返し、痛んでいる組織の負荷を減らします。

次に来院された時は、日常生活ではほぼ痛みを感じることは無いと報告を受けますが、検査で膝関節に関節可動域いっぱいまで動かすと靭帯にストレスがかかり痛みを誘発します。しかし今度は、片あぐら姿勢は大丈夫で、横すわりのような最大限の内股姿勢にすると内側々副靭帯部がモロに痛みます。前回のお皿の内下方はまったく痛くなく、圧痛もゼロです。

内側々副靭帯の観点からすると、前回は短縮位で痛み、今回は伸張位で痛み、ともに逆の動きでは痛みを発しないということで、痛み方が安定していません。処置の仕方としては、痛みが出なくなる方向に膝下の誘導と、周辺の構造体(膝蓋骨や腓骨)の調整、側副靭帯にストレスをかけている周辺組織のリリースなどを行っています。

その次の来院時には、内股姿勢で最大限に内側々副靭帯に伸張ストレスをかけても、痛みを誘発することはできませんでしたが、片あぐらにするとお皿の内下方に痛みが出るとおっしゃいます。股関節の最大外旋と最大内旋という痛みの再現の脚の位置が大きく違います。

痛みので方がコロコロ変わるというのは、痛みの原因がその部位でないということがあります(心因性など)。ただ今回の症例の場合は、その部位を押さえると明確に痛みの再現を見るので、この場合はその部位そのものの障害を表しています。

考察

どうも、内側々副靭帯と内側の脂肪体及び膝蓋支帯などを同時に痛めていたのではないか推測されます。内側の側副靭帯が損傷を受けると同時に内側半月板を損傷することが多いですが、それは一般的にはスポーツなどの激しい動きをしているときに引き起こされるものです。また半月板が損傷すると腫れる(いわゆる関節に水が溜まるというもの)ことが多いですが、今回それも見られず、関節裂隙に圧痛はみられません。また、整形外科での受診もしましたが、水の貯留は認められませんでした。

今回の数回の施術を通して、毎回股関節の外旋・外転筋のエクササイズをしていただきましたが、それが一番膝の痛みを抑えたようでした。このクライアント様も女性特有のX脚の形を有していたので、その修正が根本治療となるようでした。このような方は、改善のためのエクササイズをキチット取り組むことが、早期解決の最大条件となります。

 

 

 

外反膝にともなう膝の内側前面の痛みの50代女性のクライアント様

初診

元々、変形性股関節症のため膝が内側に入りやすい歩き方をしていた方でした。今回は原因不明で急に右膝のお皿の内側に痛みがでるようになり、膝を深く曲げた時や、歩行時に痛みを感じるという訴えをされました。

理学検査ではほとんど明確な陽性所見は見られません。思い当たるような原因のない関節痛では、ある程度の運動を続けないと症状が再現されないということは一般的によく見受けられます。

経過

膝前面の痛みの半数以上は、膝蓋下脂肪体が原因と言われています。このクライアント様もまさにそれに当てはまりました。脂肪体が組織の挟み込みや、癒着による引っ張られる圧力により炎症を起こしてしまっている状態なので、癒着をはがすような手技を行うと動きがスムーズになり、痛みが出づらくなりました。ただ、先天的な股関節臼蓋不全のため、脚のアライメント(骨の配列)が歪んいるクライアント様であるので、根気よく歩き方の改善をしていく必要があります。

また、組織の炎症自体は、何かをやってすぐ炎症が引くということは生理学的にはありません。手技によるアライメントの修復や、運動による補正は、炎症部位に負担がかかりづらくし痛みが出にくくなる様にしたり、悪化させない目的で行います。

したがって完全に痛みが消えるまでは、ある程度時間がかかりました。

考察

脂肪体はクッションの役目を果たします。筋肉や靭帯など組織と組織の間に存在し、それぞれの組織が摩擦しないように緩衝する働きがあります。ところが、そのクッション自体が組織を引っ付いてしまい(癒着)、本来ですと分離して動かないといけないものが、組織に引きづられて動いてしまい、組織の間に挟まってしまうことがあり、それが痛みの原因になります。

日常動作の積み重ねで、組織の癒着を作ってしまったことが予想されます。このようなことはスポーツ選手では頻繁に見られますが、スポーツを行っていない方でも、仕事で反復される姿勢や動作が元で同様なことは起こります。

 

まとめ

膝の周辺は痛みを出しうる構造物が多いので、痛みの原因になっている組織(障害されているところ)がどこなのかしっかり鑑別することが大事です。障害部位が特定されるとおのずと処置の方法が決まってきます。これはいつもこのブログで語っていることですよね。

痛みを起こしている部分の局所的なアプローチと、その障害を生じさせるための日常的に反復される動作や姿勢などの改善を行う全身的なアプローチを組み合わせていくと、効果的に問題を解決していくことができます。

今回は、膝の前面内側の痛みにフォーカスをした症例のご報告でした。では、またの機会に。